映画評「NANA」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2005年日本 監督・大谷健太郎
ネタバレあり
矢沢あいの大ベストセラー・コミックを映像化した実写映画であるが、漫画は読まず流行も追わないので原作は目に触れたことすらない。ベストセラーの映画化は映画の出来栄えと関係のないところで批判されるので本当に困る。原作ファンの戯言は映画しか観ない人間にとっては何の参考にもならない。
東京へ向う列車の中で、東京での成功を夢見るロック・ボーカリストのナナ(中島美嘉)とボーイフレンドを追いかけて上京する奈々(宮崎あおい)が、名前が同じということで意気投合、引っ越し予定先で偶然再会したことで部屋を共同で借りることにする。
そして、奈々の失恋模様と、ナナが元メンバーで現在は人気グループのギタリストを務めるたレン(松田龍平)と元の鞘に戻るまでが、奈々のナレーションによる(一部ナナのナレーションあり)回想形式で描かれる。
「とらばいゆ」や「約三十の嘘」で錯綜する人間関係を描いてきた大谷健太郎らしい内容だが、これまでになく青春時代ならではの切なさが強調されているのは原作の持ち味故か。
我々くらいの年齢になると、完全な男言葉を使う女性(ナナ)や、ピアスだらけの男達を観るのは気持ちの良いものではないが、それでも感じ入る部分がかなりあるのは、大谷監督がゆっくりしたズームやパンを駆使して醸成した柔らかいムードの効果である。
一見対照的な二人は、全く別の意味で好対照を為す。
女の子らしい奈々は実は意外としたたかな強いところがあり、ナナは自分の弱さを男言葉で誤魔化している。そんな対照を宮崎あおいのしなやかな演技が支えているが、中島美嘉もニュアンスの出し方が存外良い。
例によって<みんなのシネマレビュー>を訪ねてみると、今度は的外れの演技批判が多かった。悲しいかな、これが日本最大の映画レビューサイトの実態なのだ。
2005年日本 監督・大谷健太郎
ネタバレあり
矢沢あいの大ベストセラー・コミックを映像化した実写映画であるが、漫画は読まず流行も追わないので原作は目に触れたことすらない。ベストセラーの映画化は映画の出来栄えと関係のないところで批判されるので本当に困る。原作ファンの戯言は映画しか観ない人間にとっては何の参考にもならない。
東京へ向う列車の中で、東京での成功を夢見るロック・ボーカリストのナナ(中島美嘉)とボーイフレンドを追いかけて上京する奈々(宮崎あおい)が、名前が同じということで意気投合、引っ越し予定先で偶然再会したことで部屋を共同で借りることにする。
そして、奈々の失恋模様と、ナナが元メンバーで現在は人気グループのギタリストを務めるたレン(松田龍平)と元の鞘に戻るまでが、奈々のナレーションによる(一部ナナのナレーションあり)回想形式で描かれる。
「とらばいゆ」や「約三十の嘘」で錯綜する人間関係を描いてきた大谷健太郎らしい内容だが、これまでになく青春時代ならではの切なさが強調されているのは原作の持ち味故か。
我々くらいの年齢になると、完全な男言葉を使う女性(ナナ)や、ピアスだらけの男達を観るのは気持ちの良いものではないが、それでも感じ入る部分がかなりあるのは、大谷監督がゆっくりしたズームやパンを駆使して醸成した柔らかいムードの効果である。
一見対照的な二人は、全く別の意味で好対照を為す。
女の子らしい奈々は実は意外としたたかな強いところがあり、ナナは自分の弱さを男言葉で誤魔化している。そんな対照を宮崎あおいのしなやかな演技が支えているが、中島美嘉もニュアンスの出し方が存外良い。
例によって<みんなのシネマレビュー>を訪ねてみると、今度は的外れの演技批判が多かった。悲しいかな、これが日本最大の映画レビューサイトの実態なのだ。
この記事へのコメント
きっともっと若い子が読むんだろうな~と、思ってたのですが、私と同じ年の子持ちのお母さんもけっこう読んでるんですよ。
そのお母さんたちには映画は好評でした。
漫画は子供の頃はそう読んだほうではないですし、成人してからは殆ど手にしていないです。
格別に素晴らしくもないですが、悪くもない、そんな感じです。若い連中が言うほど演技はひどくはありません。十分合格です。
でもずーっと安定した人気があってすごいな~と思いますよって、NANAは読んでないし観てないのですが...。
わたしは同じ時期にデビューした「ちびまる子ちゃん」派です・笑。
私が知っているのは里中満智子とか一条ゆかりとか大和和紀ぐらいまでだなあ。大ベテランのこの方たちはまだ頑張っていらっしゃるとか。
矢沢あいなんて昨年まで知りませんでしたよ。映画化されるかなり前にアメリカでも話題になっている云々のニュースで聞いたのが初めてだったような? 姉の影響で野郎の漫画は殆ど読んだことがないです。
中島美嘉さんの大ファンなので観に行った映画でしたし、コミックの映画化ですので、きっとガーリームービーだろうなと全く期待しないで観に行ったのですが、とにかく中島さんはかっこよかったですし、そのまま演じなくてもNANA像には合っていました。ことのほか宮崎あおいの好演が光っていたと思います。映画を観てから原作を読みあさったのですが、原作を先に読んでしまうと多少イメージが違うと感じるようなところもあって、不評も見かけましたが、映画としては良く描けていましたし、ナレーションで語るストーリーがなかなか良かったです。
なんと言っても、オカピーさんが酷評でないのが嬉しいです(*'ー'*)ふふっ♪
大傑作などと言う気は毛頭ありませんが、青春時代の気分がよく出ていたので宜しいと思いました。
原作と比較するのは結構ですが、違いは違いに留めて、映画として評価するのが正しい映画評です。原作を読んでいないので評が書けないといったニュアンスの文章にはびっくりします。そんなことを言っている連中は自ら映画を楽しめなくしているんです。
rikocchinさんも映画の楽しみ方を知っているようで、まずは良かったと思いましたよ。
時代の雰囲気を写し取った青春映画としてとても面白い作品でした。
>女の子らしい奈々は実は意外としたたかな強いところがあり、ナナは自分の弱さを男言葉で誤魔化している。
同性としてはかなり苦笑させられるところです。あるある、という感じなので・・・。
>同性としてはかなり苦笑させられるところです。あるある、という感じなので・・・。
ということは私の指摘も満更外れてもいない、ということですね。
自信つけちゃったかも(笑)。
大谷さんは余り明朗でないのがお好きみたいですね。「とらばいゆ」はもっと陰鬱だったですね。
続編は、映画の屋台骨だっただけに、宮崎あおいの降板が痛い。観てみないと分りませんが、市川由衣では可愛いだけで終ってしまうのではないかな。