映画評「炎のメモリアル」
☆☆★(5点/10点満点中)
2002年アメリカ映画 監督ジェイ・ラッセル
ネタバレあり
消防士を愚弄するわけではないが、映画としては全く駄目である。滅多に見られないお粗末さである。
ボルティモアの穀物倉庫での火災で一人の消防士ホアキン・フェニックスが爆発に巻き込まれて現場に取り残され、消防士としての半生を回想する。
恋愛、結婚、妊娠、子育てといった家庭の描写と消防士としての活動を描くが、平板で図式通り、陳腐で教科書通りの描写が延々と続いてまるで面白味がない。全世界で何百万人もいる消防士として当然の生活を漫然と描いているだけである。
平凡な人生でも十分映画になることは過去の秀作群が証明しているので、否定するつもりはないが、深みのない描写をただ並べているだけで真に感動的な作品が生まれるはずもない。
モンタージュ理論という言葉をご存知であろうか。カットの数々が編集の仕方により付加的な意味を生み出すことを指すのだが、これは場面の積み重ねにも言える。場面が相互に連関しあい、レスポンスすることにより映画は初めて深い意味や感動を生み出す。
この映画でも幕切れに心を動かされる方があるかもしれないが、それは死や別離や消防士らの矜持がそれ自体で人の心を動かすのであって、映画が感動を呼んでいるのではない。
監督は「マイ・ドッグ・スキップ」ではそこそこの感覚を見せてくれたジェイ・ラッセルだが、この作品では回想とリアルタイムの場面の交錯なども実に下手で、どうしちゃったのという感じである。甘目の採点をしておく。
2002年アメリカ映画 監督ジェイ・ラッセル
ネタバレあり
消防士を愚弄するわけではないが、映画としては全く駄目である。滅多に見られないお粗末さである。
ボルティモアの穀物倉庫での火災で一人の消防士ホアキン・フェニックスが爆発に巻き込まれて現場に取り残され、消防士としての半生を回想する。
恋愛、結婚、妊娠、子育てといった家庭の描写と消防士としての活動を描くが、平板で図式通り、陳腐で教科書通りの描写が延々と続いてまるで面白味がない。全世界で何百万人もいる消防士として当然の生活を漫然と描いているだけである。
平凡な人生でも十分映画になることは過去の秀作群が証明しているので、否定するつもりはないが、深みのない描写をただ並べているだけで真に感動的な作品が生まれるはずもない。
モンタージュ理論という言葉をご存知であろうか。カットの数々が編集の仕方により付加的な意味を生み出すことを指すのだが、これは場面の積み重ねにも言える。場面が相互に連関しあい、レスポンスすることにより映画は初めて深い意味や感動を生み出す。
この映画でも幕切れに心を動かされる方があるかもしれないが、それは死や別離や消防士らの矜持がそれ自体で人の心を動かすのであって、映画が感動を呼んでいるのではない。
監督は「マイ・ドッグ・スキップ」ではそこそこの感覚を見せてくれたジェイ・ラッセルだが、この作品では回想とリアルタイムの場面の交錯なども実に下手で、どうしちゃったのという感じである。甘目の採点をしておく。
この記事へのコメント
オカピーさんの今回のレビューはかなり厳しいですね~
私がこの映画を観た時は、まだ衝撃の911の記憶が新しい時でしたし、あのときに命を犠牲にして人々を救っていた消防士の方々への思いが熱かったので、大変この映画で感動いたしました。
私も映画批評という分野においてそれなりに矜持を持っていますので、内容の潜在的な良さと映画としての良さを完全に分けて考えています。
つまり、この作品は潜在的な良さを半分くらいしか映像化出来ていない、という評価を下さざるを得ないのでした。
オカピーさんの視点からみると、もっと映画として成功できる素材だったのにもったいないという感じなのかしら??
確かに傑作とは違うと私も感じましたけど・・・(笑)
コメントなど要求してすみませんでしたね~。
結構淋しがり屋なので、ついつい、優しいchibisaruさんに甘えてしまいました^^;)。
>もっと映画として成功できる素材だったのにもったいないという感じなのかしら??
結論から言うとそういうことです。
どこかで「感動を押し付けようとしているところが嫌だ」と書かれた方がいらしましたが、厳密に言うとちょっと違います。完全に巧く作られていればそんなことも気にならないはずですなんですよ。