映画評「Wの悲劇」
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1984年日本映画 監督・澤井信一郎
ネタバレあり
原作はTV「火曜サスペンス劇場」などでよく映像化される人気推理作家・夏樹静子の同名小説。不勉強で読んだことがないのでよくは分らないが、構成から判断して原作は土台にしているだけであろう。21年ぶりの再鑑賞。
ある劇団の研究生・薬師丸ひろ子が「Wの悲劇」という新作でヒロインの娘役を狙うが、お手伝いさんの役しか貰えない。
が、ヒロインを演ずるベテラン女優・三田佳子のパトロンが腹上死、スキャンダルを恐れた彼女はひろ子に身代わりを頼み、その代償として娘役を与える。しかし、東京公演初演で好評を得るも束の間、役を奪われた女優(高木美保)に事実を暴露されて沈没してしまう。
ミステリーの舞台劇を劇中劇とした青春映画といった趣きだが、特に注目したいのは、「Wの悲劇」なる劇の中で殺人を犯した母親の身代わりになる娘役を演ずるヒロインが実生活でも身代わりを演ずるという二重構造の鮮やかさである。
青春映画としての側面では、彼女が劇団の先輩・三田村邦彦や不動産会社の社員・世良公則との男性経験を含めた様々な体験を含めて成長していく姿が魅力的に描かれていて、澤井信一郎と荒井晴彦の共同脚本は抜群の出来栄えと言いたい。
澤井監督の演技指導よろしく、薬師丸ひろ子が断然素晴らしい。現在の堂々たる演技力はこの辺りから貯えられたと言って良いのではないかと思う。
エラリー・クィーンの「悲劇」シリーズのパロディーのような題名は、和辻家の悲劇と女性(Women)の悲劇のダブル・ミーニングだと劇中で説明されるが、現実面では高木美保演ずる新進女優にとっては役を奪われた上に犯罪者になってしまう文字通り悲劇であるので、これが本当のダブル(W)の悲劇であります。
1984年日本映画 監督・澤井信一郎
ネタバレあり
原作はTV「火曜サスペンス劇場」などでよく映像化される人気推理作家・夏樹静子の同名小説。不勉強で読んだことがないのでよくは分らないが、構成から判断して原作は土台にしているだけであろう。21年ぶりの再鑑賞。
ある劇団の研究生・薬師丸ひろ子が「Wの悲劇」という新作でヒロインの娘役を狙うが、お手伝いさんの役しか貰えない。
が、ヒロインを演ずるベテラン女優・三田佳子のパトロンが腹上死、スキャンダルを恐れた彼女はひろ子に身代わりを頼み、その代償として娘役を与える。しかし、東京公演初演で好評を得るも束の間、役を奪われた女優(高木美保)に事実を暴露されて沈没してしまう。
ミステリーの舞台劇を劇中劇とした青春映画といった趣きだが、特に注目したいのは、「Wの悲劇」なる劇の中で殺人を犯した母親の身代わりになる娘役を演ずるヒロインが実生活でも身代わりを演ずるという二重構造の鮮やかさである。
青春映画としての側面では、彼女が劇団の先輩・三田村邦彦や不動産会社の社員・世良公則との男性経験を含めた様々な体験を含めて成長していく姿が魅力的に描かれていて、澤井信一郎と荒井晴彦の共同脚本は抜群の出来栄えと言いたい。
澤井監督の演技指導よろしく、薬師丸ひろ子が断然素晴らしい。現在の堂々たる演技力はこの辺りから貯えられたと言って良いのではないかと思う。
エラリー・クィーンの「悲劇」シリーズのパロディーのような題名は、和辻家の悲劇と女性(Women)の悲劇のダブル・ミーニングだと劇中で説明されるが、現実面では高木美保演ずる新進女優にとっては役を奪われた上に犯罪者になってしまう文字通り悲劇であるので、これが本当のダブル(W)の悲劇であります。
この記事へのコメント
<高木美保の悲劇
本当はそうだったのかー!(笑)
<薬師丸ひろ子
角川映画に出演していた頃はちっとも好きになれなかったのですが、最近はとてもイイ役者になってますねー。あのかん高い声もイイ感じになっているし。
ちなみに夏樹静子は私も読んだ事ないです。あのサスペンスドラマも配役でだいたい犯人がわかってしまうんですよね…^^;)。
かなりどころか、80年代邦画のベスト1と言ってもいいくらいのお気に入り。話術が上手く、デリケートですし。
夏樹静子に限らず、日本の推理小説は松本清張で終ったという感じですので、最近の作家は余り興味ないです。推理小説は古典に限ります。
さて、この「Wの悲劇」薬師丸ひろ子だけでなく、三田佳子も良かったです。
>これが本当のダブル(W)の悲劇であります。
うまい事を仰いますねー(拍手!)
>日付変更線のことを考えると、ジョン・レノンと同じ命日ですね
ジョン・レノンにとって9はラッキーナンバー。そして自分が死ぬ日も9日だろうと言ってました。実際、日本及びリバプールでは12月9日でした。
>漱石が作家に専念するようになったのは、それが原因かな?
そう思います。「坊っちゃん」でも中学の教師としてうまく行かない主人公が描かれていますね。彼自身がモデルになった部分があるだろうし。バッタや天麩羅蕎麦事件は他の教師がモデルだそうですが。
>アイドル主演映画にしては(失礼!)出来が良かった
澤井信一郎は良い監督です。山口百恵の初期文芸作品も彼くらいの感覚を持つ監督が担当すればねえ。西河克己では物足りない。近年見直したら、それなりに見られましたが。
>ジョン・レノンにとって9はラッキーナンバー。
それはまた面白い。色々出てきますね^^
本日傑作「ジョンの魂」に関する音楽ドキュメンタリーをアップしました。お暇な時にでもご笑覧くださいませ。
>「坊っちゃん」
今まで小説は全部読んでいる漱石は、「虞美人草」以降が好きで、数年前からkindleで少しずつ再読し、今年遺作の「明暗」まで完読。来年は戯作文時代のもの(「吾輩は猫である」「坊っちゃん」「草枕」など)を読む予定です。
この映画の主題歌「Woman "Wの悲劇"より」も彼女のイメージに合っています。良いと思いました。作曲がユーミンです。
https://www.youtube.com/watch?v=8wWkMq6eAuE
劇場予告編。懐かしいです。
「Wの悲劇」も例のライヴ盤に入っていました。
原作は、劇中劇ではなかったですね。