映画評「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2005年アメリカ映画 監督ジョージ・ルーカス
ネタバレあり

サーガは本来北欧の古い長編散文物語を指すが、それらの一部が大河的な物語なので、最近では「ゴッドファーザー」や「スター・ウォーズ」などのような大河的なシリーズを指すことがある。
 「スター・ウォーズ」は内容的にもそうした古い伝承文学を思わせるが、一方で、ジョージ・ルーカスは物語を起こす時に色々な変遷を遂げた古代ローマが頭にあったに違いない。元老院、共和制から帝政への移行、共和制末期の寡頭政治といった共通項があるのだ。そこにアーサー王伝説<円卓の騎士>の要素を取込んだのが「スター・ウォーズ」サーガだと思っている。

第1作を作った時ルーカスは「9部作になる予定」と述べていたが、結局はこの第6作が最終作になるようだ。そう、いよいよ最後なのである。我々も年を取り、その間にCGなるものが映画界を乗っ取り、もはや最初の3作のようなわくわくする期待感はない。
 現に第4作(「エピソード1」)を観た時失望感が強かった。ロマン溢れる冒険物語がお子様ランチに変わった印象があったのだが、次の「エピソード2」で大分巻き返し、この「エピソード3」も物語の完成度が高い。

ここで語られるのは、銀河星間で成立していた共和制が如何に帝政に変って行ったか、ジェダイのアナキン・スカイウォーカー(ヘイデン・クリステンセン)が如何に悪の権化のようなダース・ベイダーになったかというお話である。

骨格は非常に単純で分かり易く腰が強いが、後半首を傾げる部分が出てきた。カットバックがぎこちない、より正確に言うと、タイミング的に不自然なのである。冗長にならないようにカットバックするのは結構だが、自然に流れていかないと観客は映画にのめりこんではいけない。

それはともかく、パドメ(ナタリー・ポートマン)が産んだ双子が、第1シリーズの主役となるルークとレイア姫。リアルタイムで観た我々は感慨無量。終結の仕方としては文句なしである。

この記事へのコメント

2006年08月14日 01:54
オカピーさんと意見が分かれてしまいました。
旧3部作の方が楽しかったと思いながら寝てしまいました。
オカピー
2006年08月14日 03:06
みのりさん、TB&コメント有難うございます。
いや、私も前の三部作のほうが遥かに好きですが、このエピソード3はエピソード4(第1作)への駆け足としてよく出来ていました。
今日見た「ブレイド3」に比べたら10倍くらい面白かったです。「ブレイド3」や「アイランド」のようにCGに操られないところがさすがにルーカス、ベテラン也の思いを強くしました。
chibisaru
2006年08月24日 05:38
去年、初めてシリーズを全部見ました(笑)
それまで一切みたことはなかったんですが、旧三部作楽しかったです。
このシスの復讐 は、うまくまとめてあると思います。
なるほど、こう繋がっていくのね・・・とちゃんと納得できました。
オカピー
2006年08月24日 18:46
chibisaruさん、こんばんは。
仰るように、アナキンの変節はやや単純ですが、あれを「ハムレット」みたいにしたら4時間はかかってしまうから、仕方ないでしょうね。
ああ、遂に終ったのか。ルーカス殿、ご馳走様でした(笑)。
カカト
2006年09月20日 18:40
9部作ということは、さらにその後を作る予定だったのですね。しりませんでした。
それはそれで気になりますが、俳優陣の年齢的に無理そうですよね・・。
オカピー
2006年09月21日 03:33
カカトさん、こんばんは。
1977年ごろの「スクリーン」を読むとそんなことが書いてあります。カカトさんがオギャーする前でしょうか(笑)。
当初は15年もあれば作れると思ったのかもしれませんが、第3作から第4作までの空白が長すぎましたね(13,4年あったでしょう?)。
その間にCGができて特撮は楽になったはず。古い人間は昔の特撮が味わいがあって良いのですが。

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