映画評「マンクスマン」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1929年イギリス映画 監督アルフレッド・ヒッチコック
ネタバレあり

アルフレッド・ヒッチコック第9作。ヒッチコック最後のサイレント映画である。

原作はマン島出身の英国作家ポール・ケインの同名小説で、1916年に作られた英国映画のリメイク。しかし、サイレント時代毎年のように映画されていたこの人気作家は1931年の死後急速に忘れられた。現にこの作品以降映画化された作品は一本もない。

封鎖的で保守的なマン島、漁師ピート(カート・ブリスン)は赤貧の為愛するケイト(アニー・オンドラ)の父親から結婚を拒否され、彼女を親友フィリップ(マルカム・キーン)に託して一旗揚げるべくアフリカへ旅立つ。彼女はフィリップの子を宿しながら成功して戻ってきたピートと結婚するが、彼女が自殺未遂を起こした為、判事となっていたフィリップは真実を認めて三人で島を去る。

スリラーではないので勿論ヒッチコック本人は気に入っていないが、封建的な社会で展開される愛欲の顛末という古典的な物語をバランス良く映像化し、完成度は言われている以上に高い。僕は結構気に入った。

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