映画評「恋する神父」

☆☆★(5点/10点満点中)
2004年韓国映画 監督ホ・インム
ネタバレあり

韓国映画には力強いものも少なくないが、全般的に泥臭い。この作品も韓国ロマンスの例に洩れず、喜劇からシリアスドラマへとトーンが一定しない。シリアスドラマの中のコメディレリーフ、喜劇の中のペーソスなら良いのだが、前半と後半で二作品を見るように思えてしまっては困る。

神学校の生徒クォン・サンウが悪友キム・イングォンと、現場修練の名目で地方の教会へ派遣されるが、到着早々米国から帰ってきたばかりの神父の姪ハ・ジウォンに振り回されてしまう。彼女を改心させるのを課題として課された彼は彼女との距離を縮めていくが、やがて彼が学校に戻り、司祭になる日が訪れる。

序盤は、デーブ大久保を細くしたようなイングォンが通俗ぶりを発揮したり、堅物クォンと酔ったジウォンが倒れた時に抱擁した形になってそれを修道女に見られてしまうといったドタバタが続くが、余り趣味の良いお笑いではない。
 突然変異的に挿入されるミュージカル的場面の後、クォンが彼女を恋の対象として見るようになってからはすっかり喜劇色はなくなり、いよいよ「ハムレット」ばりに選択に苦悩するシリアス・ドラマになっていく。

こういうブレの大きい作品を「メリハリがある」などと言って好意的に受け取る人も居るだろうが、当方にとっては「ああ、またか」と溜息が出る。
 星はもっと少なくても良いくらいだが、後半一生懸命作っているのが感じられるので★一つ進呈したい。

この記事へのコメント

2008年03月23日 15:19
こういうタイプのコメディードラマを大量生産するのが、韓国ドラマの特徴になってしまってますねー。いい加減、演じる役者も「またかよ!」と思わないのかなぁ。また、韓国で宗教がらみというと必ずといっていいほどキリスト教ですね。そんなに信者が多いのかなぁ…?
オカピー
2008年03月24日 02:08
ぶーすかさん、こんばんは!

お笑いと涙の振り幅が大きいほど良いと考える人が見る側に多いのでしょうが、僕に言わせれば逆で、これは全く泥臭い手法。

>キリスト教がらみ
日本はキリスト今日の弾圧が長い間ありましたから総人口の1%に満ちません。韓国はおよそ3割だそうですから、日本と比較すると圧倒的に多いですね。よく解りませんが、キリスト教のほうが作り易い側面があるのでしょう。

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