映画評「シティ・オブ・ゴッド」
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2002年ブラジル映画 監督フェルナンド・メイレレス、カチア・ルンド
ネタバレあり
2004年度第9位に選んだ時の映画評です。
カーニバルで有名なリオデジャネイロの貧民窟の現実を描いたギャング映画である。
しかし、主役は10歳から20歳前半くらいの若者からなるストリート・ギャングというべき性質のもので、所謂ギャング映画とは全く質を異にする。
10歳になれば麻薬を売るか使うかといった環境にありながら、主人公の少年はチンピラだった兄の死を見た後も麻薬に溺れることもなく、別の少年が12歳で早くも殺人に味をしめ麻薬王になりグループを組織、彼のグループに家族を殺され復讐に立ち上がった善良なバス運転手が対抗する麻薬団に加わり、次第に大きな抗争になっていくのを見つめていく。
彼は趣味の写真で麻薬王のグループに接近、新聞社から貴重な写真を提供する人物として注目される。結局抗争で双方のグループとも壊滅状態になるが、警察とつるんでいた麻薬王は解放された後新たに台頭したローティーンのグループに呆気なく殺されてしまう。
実話に基づいているというから凄まじい。
ブラジル映画自体が珍しいのだから、当然フェルナンド・メイレレスは当然日本初登場であるが、線が太く腰のある描写が圧倒的。序盤のスタイリッシュな映像より、主人公が抗争の主役にならず写真家として傍観するという構成に基づく、がっちりしたドラマ展開に感心させられた。近年の収穫と言って良い。
2002年ブラジル映画 監督フェルナンド・メイレレス、カチア・ルンド
ネタバレあり
2004年度第9位に選んだ時の映画評です。
カーニバルで有名なリオデジャネイロの貧民窟の現実を描いたギャング映画である。
しかし、主役は10歳から20歳前半くらいの若者からなるストリート・ギャングというべき性質のもので、所謂ギャング映画とは全く質を異にする。
10歳になれば麻薬を売るか使うかといった環境にありながら、主人公の少年はチンピラだった兄の死を見た後も麻薬に溺れることもなく、別の少年が12歳で早くも殺人に味をしめ麻薬王になりグループを組織、彼のグループに家族を殺され復讐に立ち上がった善良なバス運転手が対抗する麻薬団に加わり、次第に大きな抗争になっていくのを見つめていく。
彼は趣味の写真で麻薬王のグループに接近、新聞社から貴重な写真を提供する人物として注目される。結局抗争で双方のグループとも壊滅状態になるが、警察とつるんでいた麻薬王は解放された後新たに台頭したローティーンのグループに呆気なく殺されてしまう。
実話に基づいているというから凄まじい。
ブラジル映画自体が珍しいのだから、当然フェルナンド・メイレレスは当然日本初登場であるが、線が太く腰のある描写が圧倒的。序盤のスタイリッシュな映像より、主人公が抗争の主役にならず写真家として傍観するという構成に基づく、がっちりしたドラマ展開に感心させられた。近年の収穫と言って良い。
この記事へのコメント
構成、演出、音楽、役者の動き、どれ一つとっても素晴らしい作品でした。メイレレス監督の「ナイロビの蜂」もこれまた胸がつぶれそうになるほど切ないドラマでしたよ。必見!この監督さん、センスがいい、たまらなく、いい!
ところで十瑠さんからお聞き及びでしょうが「夜行列車」放映とか。
いまからワクワクしております。
良くも悪くも宣伝には騙されることが多いですね。私が利用していた二番館は大半が大きなスクリーンでしたよ。
私も度肝を抜かれましたねえ。30年前ならブラジルの映画なんて絶対輸入されていない。昔よりよくなったと言えば、それくらいですかね。その意味で70年代のヴィスコンティ・ブームの功績は大きいと言っていいでしょう。
「夜行列車」だけでなく「影」もやるんですってね。こちらも面白かった。イェジー・カワレロウィッチはタッチから言えばワイダより好きでした。NHKさまさまです。