映画評「片腕カンフー対空とぶギロチン」
☆☆☆(6点/10点満点中)
1975年香港映画 監督ワン・ユー
ネタバレあり
73年夏から75年にかけてぞくぞくと公開され続けたクンフー映画は、ブルース・リーを別にすると全く日の目を見ることがなく、「片腕ドラゴン」で日本でもそれなりに知られるジミー・ウォング(ワン・ユー)でさえ何でもありのCSを別にするとTVではまず観られない。これも<片腕ドラゴン>もので、珍品という意味では数多いクンフー映画の中で断トツである。
最初に画面に登場するのが悪役というのも通常の構成から言えば考えられないが、その彼が復讐の為に追っている男が主人公の片腕である。
クンフー道場を経営している片腕は弟子から格闘技実力No.1決定戦があると知らされるが、弟子に見学だけを許す。その異種格闘技対決がドラマ構成を無視して何と延々と30分以上も続くのに唖然とする。しかし、この模様がなかなか面白いのだから、文句は言うまい。タイのキックボクシングあり、日本の侍あり、飛び道具を駆使する者あり、下に槍を仕掛けた細いやぐらの上で戦う場面あり、退屈しない。
しかし、そこへ最初に出てきた悪役の老人が突然現れて必殺の武器<空飛ぶギロチン>を駆使して隻腕のものは誰であろうとその首をはねる。笠のような形をした飛び道具であっという間に首がはねられる。あの作りでは首ははねられないとは思うが、残酷でも失笑せずにはいられない。
老人の登場で突然中止となった大会の出場者は何故か皆老人の味方になるので、片腕道場は苦境に立たされる。この辺りの作りも大いに疑問だが、馬力で押し切る。
最後は老人対片腕の一騎打ちである。これもかなり長丁場だが、鳥の羽に紛れる決闘はそれなりに見ごたえがある。
映画批評的に言えば出鱈目の限りであるが、いつも理論どおり作れば良いというわけではないことを証明する怪作である。
1975年香港映画 監督ワン・ユー
ネタバレあり
73年夏から75年にかけてぞくぞくと公開され続けたクンフー映画は、ブルース・リーを別にすると全く日の目を見ることがなく、「片腕ドラゴン」で日本でもそれなりに知られるジミー・ウォング(ワン・ユー)でさえ何でもありのCSを別にするとTVではまず観られない。これも<片腕ドラゴン>もので、珍品という意味では数多いクンフー映画の中で断トツである。
最初に画面に登場するのが悪役というのも通常の構成から言えば考えられないが、その彼が復讐の為に追っている男が主人公の片腕である。
クンフー道場を経営している片腕は弟子から格闘技実力No.1決定戦があると知らされるが、弟子に見学だけを許す。その異種格闘技対決がドラマ構成を無視して何と延々と30分以上も続くのに唖然とする。しかし、この模様がなかなか面白いのだから、文句は言うまい。タイのキックボクシングあり、日本の侍あり、飛び道具を駆使する者あり、下に槍を仕掛けた細いやぐらの上で戦う場面あり、退屈しない。
しかし、そこへ最初に出てきた悪役の老人が突然現れて必殺の武器<空飛ぶギロチン>を駆使して隻腕のものは誰であろうとその首をはねる。笠のような形をした飛び道具であっという間に首がはねられる。あの作りでは首ははねられないとは思うが、残酷でも失笑せずにはいられない。
老人の登場で突然中止となった大会の出場者は何故か皆老人の味方になるので、片腕道場は苦境に立たされる。この辺りの作りも大いに疑問だが、馬力で押し切る。
最後は老人対片腕の一騎打ちである。これもかなり長丁場だが、鳥の羽に紛れる決闘はそれなりに見ごたえがある。
映画批評的に言えば出鱈目の限りであるが、いつも理論どおり作れば良いというわけではないことを証明する怪作である。
この記事へのコメント
仰るとおり、デタラメなのに無理やり押し切ってしまう、このパワーは凄いですね。最近の映画には、このがむしゃらさが少ないような気がします。
私は、格別カンフー映画のファンというわけではなく、大半のカンフー映画は古臭い設定に苦笑しながら観ることが多いのですが、これは勧善懲悪といった固定観念を無視してやりたいことを徹底的にやったという印象があり、なかなか面白かったです。
カンフー映画は突っ込みどころが満載なので大好きなわたしですが
特にこの映画はいいです。なにも考えなくてもおもしろいです。
根が理屈っぽいので、あれやこれや言いたいのですが、この作品はそういうことを超越した出鱈目さがあったような気がしますね。中途半端な出鱈目はいかんです。