映画評「明日、陽はふたたび」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2000年イタリア映画 監督フランチェスカ・アルキブジ
ネタバレあり

欧州の中でイタリアは地震が多い国ではないかと思うが、パニック映画以外で地震を扱った珍しい作品である。

イタリア中部で大地震が発生、フレスコ画の傑作「受胎告知」のある僧院が鎮座するアッシジも重大な被害が受ける。
 学校が壊れて子供たちは喜ぶが、大人達はサラミ工場を中心にした産業が壊滅状態になり希望を失っていく。

といったのが大枠の物語で、その間に、工場主の娘(ミケラ・モレッティ)と少女的な同盟関係を結んでいた小学生高学年の女生徒(マルゲリータ・ポレーナ)が共に熱い視線を注ぐ少年(ダヴィッド・ブラッチ)との恋を巡って友情を失い、その少年の両親(マルコ・バリアーニ、オルネッラ・ムーティ)はいざこざを乗り超え、彼らの担任教師(パトリツィア・ピッチニーニ)はフレスコ画の修繕に町を訪れていた英国男性(ジャームズ・ピュアフォイ)と道ならぬ恋に落ちていく、といった群像劇が描かれる。

2年前の新潟中部地震後の住民もかくやといった風情の物語だが、地震後の反応は日本人の方が落ち着きを感じさせる。

「かぼちゃ大王」で一度観たことがある女性監督フランチェスカ・アルキブジは、終戦直後のネオ・レアレスモの伝統を感じさせるセミ・ドキュメンタリー的なタッチで人々を捉える。完全に場面が終っていないようなところで場面変換を図る面白い傾向があり、観照的なタッチの中に優しさが滲み出ている辺りが特徴的。悪くはないが、少年少女たちの行動にもう少し野趣があればぐっと面白味が増したのではないかと思う。

出演者の中ではオルネッラ・ムーティだけがお馴染み。映画監督のパオロ・タヴィアーニも出演。

この記事へのコメント

ぶーすか
2006年10月19日 19:57
TB&コメント有難うございます。
地震災害という非日常の状態に置かれた人々の姿を通してイタリアのリアルな姿が垣間見れた作品でした。そしてあんな状態なのにユーモアも忘れずに前へ進もうとする生命力も。町中がサラミ臭いとぼやいてましたが、そのサラミを食べてみたいです^^;)。イタリアにもし行く機会があったらフラ・アンジェリコの壁画観賞と共に訪れたい土地です。
オカピー
2006年10月20日 03:24
ぶーすかさん、こんばんは。
仮設住宅での生活を見ると、2年前の新潟中部地震を思い出してしまいます。あの時はここも相当揺れて、それ以来多少地震恐怖症気味です。トラックが通って揺れても「すわ、地震か」などと思ってしまいましてね。

イタリア南部は火山地帯ですから、欧州の中では地震が多い地帯ではないかと思いますが、地震後住民の方たちは相当泡を食っていましたね。日本人は諦めが良いと言うか大人しいと言うか。
ご覧になった方は少ないと思いますが、地味な映画の中にも色々と観るべき作品がありますね。

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