映画評「透明人間」

☆☆★(5点/10点満点中)
1954年日本映画 監督・小田基義
ネタバレあり

有名な1933年のハリウッド映画にあらず。

「ゴジラ」と同じ年に生まれた東宝作品なので、「怪奇人間」シリーズで最も古いのではないか。従って、特殊撮影は実に貧しいが、捨てがたい味がある。

透明人間の自殺に始まり、もう一人いると言われる透明人間の犯行と思わせてギャングが凶行を繰り返すが、業を煮やした本物・河津清三郎が一味の征伐に遂に立ち上がる。

人間兵器として変身させられた者の悲劇という扱いだが、メッセージ色が薄くなっているので、押し付けがましい後発の作品より好感が持てる。

日高繁明の脚本は相当にそそっかしいが、主人公がピエロの格好をしたサンドイッチ・マンという辺り、どこか江戸川乱歩の世界を思わせて懐かしい。

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