映画評「ローズマリーの赤ちゃん」
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1968年アメリカ映画 監督ロマン・ポランスキー
ネタバレあり
ポランスキーづいているので、ついでに。2004年の映画鑑賞メモより。
四半世紀ぶりの再鑑賞。
ニューシネマにも色々あるわけだが、ポーランド出身のロマン・ポランスキーがニューヨークを舞台に作り上げたこのホラーも勿論ニューシネマの代表作と言って良い。
それまでの恐怖映画はポーの小説の世界を映像化したような幻想的な感覚で構成されていたが、本作はニューヨークのど真ん中に悪魔がいて、しかも家来どもは悪魔族として日常生活を営んでいる。
ヒロインのミア・ファローが妊娠して喜ぶのも束の間、売れない俳優である夫ジョン・カサヴェテスもどうやら悪魔族であるし、やっとたどり着いた頼りになるはずの医師も蓋を開けてみれば悪魔族だった・・・という辺りの恐怖はそれ以前の作品ではなかなか味わえない凄みのある恐怖である。
こうしたリアリティーの中に悪魔を描いたポランスキーの才覚。深く追求していけば彼の戦争中の悲惨な体験にまでたどり着くが、ここはそれを語る場所ではあるまい。
5年後に発表されるウィリアム・フリードキンの秀作「エクソシスト」の見事なリアリズムもこの作品の存在なしには語れないし、恐らくこの作品の空気を凌ぐものではない。
1968年アメリカ映画 監督ロマン・ポランスキー
ネタバレあり
ポランスキーづいているので、ついでに。2004年の映画鑑賞メモより。
四半世紀ぶりの再鑑賞。
ニューシネマにも色々あるわけだが、ポーランド出身のロマン・ポランスキーがニューヨークを舞台に作り上げたこのホラーも勿論ニューシネマの代表作と言って良い。
それまでの恐怖映画はポーの小説の世界を映像化したような幻想的な感覚で構成されていたが、本作はニューヨークのど真ん中に悪魔がいて、しかも家来どもは悪魔族として日常生活を営んでいる。
ヒロインのミア・ファローが妊娠して喜ぶのも束の間、売れない俳優である夫ジョン・カサヴェテスもどうやら悪魔族であるし、やっとたどり着いた頼りになるはずの医師も蓋を開けてみれば悪魔族だった・・・という辺りの恐怖はそれ以前の作品ではなかなか味わえない凄みのある恐怖である。
こうしたリアリティーの中に悪魔を描いたポランスキーの才覚。深く追求していけば彼の戦争中の悲惨な体験にまでたどり着くが、ここはそれを語る場所ではあるまい。
5年後に発表されるウィリアム・フリードキンの秀作「エクソシスト」の見事なリアリズムもこの作品の存在なしには語れないし、恐らくこの作品の空気を凌ぐものではない。
この記事へのコメント
滅茶苦茶怖かったです。めずらしく他の人にもわかるような絶賛の記事を書いていますが、べた褒めしてます。(笑)
もうとにかく怖くて怖くて、こういう精神的に追い詰められていく空気を描ききっているのは素晴しいと思いました。
この映画の前にはこういう恐怖は殆どなかったですね。私はニューシネマ時代に映画を観始めた世代ですが、TVで古い時代の作品も並行して観ていましたから、その差が如実に解る、60年代末から70年代前半は面白い時代でしたなあ。
ポランスキーはその場所の空気を捉えるのがうまい人ですし、ムードやサスペンスの醸成も上手い。怖かったですが、楽しめもしました。
これ学生時代に観てからずっと好きな映画です。ニューヨークの町を風が吹き渡るみたいなカメラワークでそこに音楽が流れて、メロディも良かったし、いまでも口ずさむ。ミア・ファローの雰囲気にとてもマッチしたメロディ。オカルトっぽくなりそうだけど、きちんと人間ドラマとして描いているし、最後のミア・ファローがみせる母性愛。微笑。カサベテスは演技は硬いですね(笑)。でもこれのおかげで彼は自主映画作れたんですからね。そしてミア・ファローはこの映画でシナトラと離婚した(笑)。これはミア・ファローの存在感がふわふわんとした雰囲気あっての作品ともいえますよね。この映画で彼女のファッションとか新居のインテリアとかも楽しんだ作品です。ホラーっぽいけどホラーではない。とっても素敵な映画です。
>ヴィスコンティ
はまだ二本だけではなかったかなあ。ちょっとブログの時代には遅かった。そのうちまた鑑賞しますよ。
フェリーニに至っては0。時代が・・・(笑)
68年と言う年はアメリカが激変した年でもありますよね。政治は勿論、恐怖映画の流れもこの一本で変わった。
「エクソシスト」のNYの空気も良いけど、この作品のNYの空気感は抜群でしたね。
>シナトラ
そういうことです。
>ホラーではない。
ホラーでもありますけどね(笑)。
やはり彼がナチスに実際に追われたユダヤ人ということも念頭に置いて観たい作品です。
「エクソシスト」にしても派手な部分ばかり取り上げられ、本質はすっかり忘れられてしまい、やがてホラーは深みのない粗雑なジャンルになりましたね。
TBしようと思ってお邪魔して、ここに来る前にあちこちお邪魔してしまってます。お時間とらせて申し訳ないです。
先日ポランスキーの「チャイナタウン」の記事アップに続いて、大好きな本作の感想をアップできました。記事かくにあたりもう一度見たら、オープニングから好きだなってつくづく思いました。
ストーリーよりも、それも素晴らしいんですけれど、ポランスキーって「チャイナタウン」とか初期の作品みていても思うんですけど、映像で語るっていうか彼が描き出す映像感覚に惹かれてしまう。
「チャイナタウン」はレビューあげてられない?
ポランスキーとは違うけれど「炎のランナー」も? レビュー読みたいわ。
>彼が描き出す映像感覚
僕は空間把握と言っているのですが、余り評判にならなかった「フランティック」辺りの空気感、空間把握は凄かった。
>「チャイナタウン」
昔の映画評で良ければいつでもUPできるのですが、文章の品質が悪い(笑)ので、後日鑑賞して書きおろしましょう。まだHDDに残っているんですよ。
>「炎のランナー」
これも同様ですが、素晴らしい作品でしたね。
こちらは自作DVDがあると思ったなあ。
あれは怖かった! 普通の人が怖いのがショックでした。
今の視点で観ると、そこも怖いんですが、これは妊婦さんは視聴禁止物件ですね。絶対気持ち悪くなりますよ。今はCTでいろんなことがわかる時代ですが、やはり自分の体内でもう一人の人間が育っていくって、未知の世界ですもの。妊婦経験者(この記憶も忘却の彼方ですが)としては、もう初めからずっと怖くて、何回かに分けて観ました。 ミア・ファローがとっかえひっかえ可愛いお洋服に着替えるので、悪魔族はよほど悪いことして稼いでるなぁ、と変なところで感心したり。観て良かった!面白かった!
>普通の人たち(悪魔族)が普通にニコニコ
>していたところですね。
>あれは怖かった!
そこがニュー・シネマで、僕が「ジョーズ」のサメが怖いのが当たり前すぎて「激突!」ほど怖くないと言うのとほぼ同じことでしょうね。
>妊婦さんは視聴禁止物件ですね。
そうでしょうねえ。
自分の体に自分とは違う人間が育っているというのは、考えてみると、とんでもないことですね。それ自体が既に怖い。今更ながらそう思わされました。
いつかそういう感覚で観てみましょう。