映画評「トゥルーへの手紙」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2004年アメリカ映画 監督ブルース・ウェバー
ネタバレあり
ドキュメンタリー映画だが、劇場用に公開されたものとしては余り類のないタイプで、雑誌などでも表現されているように正にエッセイという趣きである。監督はファッション写真家のブルース・ウェバーで、9・11が発生した時世界貿易センタービル近くの自宅に残してきた愛犬トゥルーに宛てた手紙という形で、9・11以降に彼の心の中に湧き上った心情を綴っている。
いきなり「家路(名犬ラッシー)」の映像から始まり、写真家として付き合いのあったダーク・ボガードの晩年のことを語ったと思えば、ハイチ独裁政権のもたらした悲劇や戦地に散ったフォト・ジャーナリスト(名前を失念)に思いを馳せ、サーファーが登場して、再び懐かしい「名犬リンチンチン」の場面が挿入されるといった、一見とりとめない内容であるが、実は絶妙に連関しあっている。
例えば、「家路」に出ていたエリザベス・テイラーは彼と仕事をした仲であり、エイズ撲滅の運動家である。最初登場したボガードが戦争に絡んだ詩をナレートした映像は、9・11以降にウェバーが強く感じた平和への祈りに繋がっていき、生命を讃える内容へと収斂していくのである。また、「名犬リンチンチン」ですら戦争への批判として扱われ、ジョン・レノンの名曲「ハッピー・クリスマス」から“War is over if you want it.”を引用している。
何故か分らないが時々感極まってしまう。評価したい。
2004年アメリカ映画 監督ブルース・ウェバー
ネタバレあり
ドキュメンタリー映画だが、劇場用に公開されたものとしては余り類のないタイプで、雑誌などでも表現されているように正にエッセイという趣きである。監督はファッション写真家のブルース・ウェバーで、9・11が発生した時世界貿易センタービル近くの自宅に残してきた愛犬トゥルーに宛てた手紙という形で、9・11以降に彼の心の中に湧き上った心情を綴っている。
いきなり「家路(名犬ラッシー)」の映像から始まり、写真家として付き合いのあったダーク・ボガードの晩年のことを語ったと思えば、ハイチ独裁政権のもたらした悲劇や戦地に散ったフォト・ジャーナリスト(名前を失念)に思いを馳せ、サーファーが登場して、再び懐かしい「名犬リンチンチン」の場面が挿入されるといった、一見とりとめない内容であるが、実は絶妙に連関しあっている。
例えば、「家路」に出ていたエリザベス・テイラーは彼と仕事をした仲であり、エイズ撲滅の運動家である。最初登場したボガードが戦争に絡んだ詩をナレートした映像は、9・11以降にウェバーが強く感じた平和への祈りに繋がっていき、生命を讃える内容へと収斂していくのである。また、「名犬リンチンチン」ですら戦争への批判として扱われ、ジョン・レノンの名曲「ハッピー・クリスマス」から“War is over if you want it.”を引用している。
何故か分らないが時々感極まってしまう。評価したい。
この記事へのコメント
私の愛してやまない映画をUPしてくださって本当にありがとうございます!
劇場鑑賞(単館系小劇場)はもちろんDVD、大きなポスター、みな私の宝物です。
サントラCDはマイ・ストレッチタイムの定番CDでいつも流しています。
でも「さりげな~~い映画」なので、観た方、少ないと思うなあ。(悲)
1曲目のドリス・ディでもうノック・ダウン、ゴロニャ~~ン!(笑)
ドリス・ディと言えばおととい「夜を楽しく」を観たんですけど、どうもやっぱりロック・ハドソンが“イケ好かない”のね~、私。(笑)
TBさせていただきました。
今度はプロフェッサーの方からもOKよ~!
映画詩より一段と複雑な構成のシネ・エッセイでしたが、クラシックな音楽が好きな人にも魅力がありますね。私にはちょっと古すぎて、ブレンダ・リーの"I'm Sorry"くらいしか解りませんでした。ドリス・デイは歌い方ですぐに分りますが、曲は知らんかったです。
>「夜を楽しく」
レニー・ゼルウェガーが主演したこの時代をパロディー化した映画は・・・ええと・・・「恋は邪魔者」だったかな。
「恋人よ帰れ」もお二人さんでしたよね?
ああいう深刻さがなく、お菓子でも食べながら観ると楽しい映画は大好きです。点は☆3つくらいしか出しませんけど、採点と好き嫌いをごっちゃにしたらつまらない。
ブログ改変、ご苦労様でした。
本日BSで夜中1:10から「JAZZ SEEN/カメラが聴いたジャズ」放映されます。
「トゥルーへの~」もいいですが、これも素晴らしく、好きな作品なんです。
往年のムーヴィ・スターのお顔も拝見できますよ。
ジャズ&映画好きには堪えられない映画です。
あっ、本コメントにレスはけっこうですよ。
知ってらっしゃるとは思いましたが、お知らせしたくて。(笑)
やってみましたが、本当にTB出来ませんね。
我が家は本格的に犬を飼ったことはありません。10歳くらいの時に人懐こい野良犬がいついて1ヶ月ほど面倒を見たことがあるくらい。勿論野良犬ですから、悲しい別れが待っていたのですが。
ちなみに「JAZZ SEEN/カメラが聴いたジャズ」も好きですー。
写真の専門家だから絵が良いのは当たり前として、構成その他はどうかなあと思い、とりとめない感じで最初にうちは「やはり」という印象でしたが、やがて計算されていることが解ってくるという構成でしたね。
>JAZZ SEEN/カメラが聴いたジャズ
良い映画でしたね。2007年2月4日に記事にしておりますので、宜しかったらどうぞ。
http://okapi.at.webry.info/200702/article_6.html