映画評「わんわん物語」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1955年アメリカ映画 監督ハミルトン・リュースク、クライド・ジェロミニ、ウィル・ジャクスン
ネタバレあり

ディズニーには「101匹わんちゃん大行進」という、実写版リメイクも作られたアニメの名作があるが、僕はこちらのほうが絵が美しくて好きなので、懐かしんで再び観てみた。

若い夫婦が飼い始めた子犬が成長してレディと呼ばれる美人犬になるが、夫婦に赤ちゃんが出来た後理解のない叔母さんに外に出された時に暴漢に襲われて暫くトランプと呼ばれる野良犬と付き合ううちに捕獲される。鑑札があるので間もなく家に戻されるが、二匹の間に愛が芽生えて子犬が生まれる。

という基本的には屈託のないお話で、「男はつらいよ」よろしく<自由と安定>というテーマもあるが、そう難しく考える必要もない。
 断然宜しいのは物語よりレディ、トランプ、老犬二頭、双子の猫といった多彩なキャラクターで、それぞれが大変個性的で楽しい。

映画的には、常に犬視線で描かれるローポジションの絵作りが興味深く、人の顔が見える時は影になるなど殆ど人間を意識させないように設計されているのが注意を引く。
 さらに、雨に濡れた路面の質感の見事さ。50年前の二次元アニメの実力もなかなか侮れない。アニメ映画初のシネマスコープを謳うだけのことはあります。

この記事へのコメント

viva jiji
2006年11月17日 10:07
アニメーション・ファンタジー、それも動物系であれば幼かった子供たちと一緒に(いや私のほうが熱心に)観ました、観ました。

スコッチ・テリアの老犬が♪~フフフ~ン、これがオイラの銀行~~♪とか歌って骨をせっせと埋めてはどこへ埋めたか??になってるシーンや、すでに鼻がダメになっているダブダブ犬の悲哀とか・・・

イタリア人のシェフでしょうか、カンツォーネ風のメロディにのせてレディとトランプがミートボール入りスパゲッティを食べるシーンとか、いまだに色濃く残っています。

「リトル・マーメイド」はDVD化されたのですが全く台詞も歌の歌詞も変わってしまって、ガックリ!!

昨今は映画題名にヘンテコリンな副題をつけるやら、またなんでかチョン切ってしまうやら、台詞&歌詞変えるやら、(そうだ吹替者もビデオ時と変わっていましたわ)・・・

もう、やめってって、言いたい。
オカピー
2006年11月17日 15:03
viva jijiさん
ディズニー・アニメは協力作品を別にすると例外なくセミ・ミュージカル仕立てですが、吹き替え版の場合歌詞がぎこちないことが多いです。本作の日本初公開の時の日本語版は相当優秀だったらしいですが、勿論今回の鑑賞版は全く別ものでした。

題名も仰るように色々ありまして、水野晴郎氏が懸命に考えた長いタイトルが「ハード・デイズ・ナイト」になった例もあります。日本人の横文字好きは今始まったことではありませんが、日本語らしいタイトルも欲しい。
また、放送コード(要は差別語の扱い)の関係で、「気狂いピエロ」や「やぶにらみの暴君」も改題を余儀なくされましたね。放送コードなんて実にくだらない。viva jijiさんの記事は伏字だらけになってしまう(笑)。
恩師の故・原卓也先生も「本当に困るんだよ~」と嘆いていました。ドストエフスキーの「白痴」は今どうなっているのだろう?

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  • わんわん物語

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