映画評「ブレイキング・ニュース」

☆☆★(5点/10点満点中)
2004年香港=中国映画 監督ジョニー・トー
ネタバレあり

香港の犯罪映画の今後を考えればこういう作品があるのは健全である。

リッチー・レン率いる強盗団が市街戦を引き起こし、犯人たちを取り逃がしただけでなく警官が命乞いをする場面まで放送されて香港警察の権威が失墜。若いながら指揮官に任命された女性警視ケリー・チャンは、権威回復を期してTVを逆に利用して犯人逮捕劇のショー化を提案、カメラを装備した機動部隊がアパートの8階に人質を取って篭城した犯人4人を目がけて突撃するのだ。

日本の「誘拐」では犯人がTVを利用したが、本作では警察側で、全体的にハリウッド・テイスト。しかし、度々出て来る画面分割が必ずしも効果的に使えているとは言えず却って野暮ったい印象を残してしまっていること、犯人たちと部隊との位置関係など今一つ正確に分らない不満、最後に生き残った一人に拘束されてしまうケリー・チャンの扱いの智恵の無さなど問題点が目立つ。

とは言え、作者だけが良い気になっている芸術気取りのフィルムノワールに比べればずっと宜しい。

この記事へのコメント

FROST
2007年02月20日 17:18
オカピーさん、コメント&TB、ありがとうございました。
香港のアクション映画は、素直に楽しめるので結構好きです。この作品は、香港ものによくある”カッコよく見せるための非現実さ”もあまりなくてよかったと思います。
しかし、オカピーさんが指摘してらっしゃる登場人物の位置関係のあいまいさやラストシーンの詰めの甘さなどはそのとおりですね。強盗団篭城の部隊を迷路のようなアパートにすることで、逮捕ショーとしてのスリリングさとか、プロフェッショナルな駆け引きとかを強調したかったのかと思いますが、必ずしも思惑通りにはいかず、そのまま観客にとってのわかりにくさにつながってしまっているようです。
ラストシーンは、ケリー・チャンの他愛なさもさることながら、強盗団のリーダーと殺し屋の友情みたいなものをあんなに強調する必要はないと思いました。あのシーンだけは、非現実的なわざとらしさが見えてしまっているような気がして好きになれません。
オカピー
2007年02月21日 17:23
FROSTさん、こんばんは。

FROSTさんは<私の採点>に関する記事を読まれたでしょうか。
星も多くなく、余り褒めてもいないのですが、嫌いではないですね。星の数と好き嫌いが必ずしも比例しないのが私のブログの特徴であります。

>強盗団のリーダーと殺し屋の友情
【友情】というオブラートは人によっては感動の要素になりますが、ある程度経験を積んだ鑑賞者にとっては邪魔になることが多いのもまた事実。
語弊がありますが、程度の低い鑑賞者にとってプラスになる要素は、理知的な鑑賞者にとっては寧ろマイナスになる可能性があるわけです。ですから、万人受けする作品が理想と言っても、それはまず絶対的に不可能なわけですね。「ローマの休日」などはかなりそれに近い作品でしょう。

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