映画評「運命の女」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2002年アメリカ映画 監督エイドリアン・ライン
ネタバレあり
2004年映画鑑賞メモより。
会社経営者リチャード・ギアの妻ダイアン・レインはNY郊外で一人息子と共に平凡だが満ち足りた生活を送っているが、猛烈な風が吹くある日、本の売買を生業にするフランス人青年オリヴィエ・マルティネスと知り合う。青年は口実を設けてこの美しい人妻に接近しているようにも見えるのだが、彼女のほうも新しい刺激に抗し難く一線を超えてしまい密会を重ねることになる。
部下から妻の行状を暗示されたギアは妻の行動を内偵し、遂にその証拠を得、妻を詰る前に青年の部屋を訪れ悲劇へと発展する。
エイドリアン・ラインは一昔前に作った「危険な情事」の二番煎じにするまいと努力しているのが伺われるのだが、前半はダイアンを主人公にした恋愛映画、後半はギアを主人公にしたサスペンス映画に変わる。
一般的に余り歓迎できない作り方で、二人の主演俳優を綺麗に分担する苦肉の策ではないかと邪推をしたくなるほどだが、見方によっては大変面白い。しかし、作者は後半ですらも正当派サスペンスを狙ったものではないような気がする。最後まで観れば解るが、一人の主婦の心象風景の変遷、つまり夫婦の愛情模様の変遷を描いた心理サスペンスが狙いではなかったかと思うのだ。
それにしてはギアの扱いが正統派サスペンス的すぎるが、幕切れが実に良い。
信号が赤になり止った車の中で夫婦が高飛びの話をしている。信号が青になっても車を出さない。カメラがズームアウトしていくと"Police"というサインが現れる。先日の「エデンより彼方に」の幕切れも良かったが、それ以上に素晴らしい幕切れであろう。編集のセンスだけでなく、夫婦の愛情の絆の再構築が上手く描かれているのである。
ラインらしく全編に渡り映像センスが抜群。単に美しいのではなく、映画らしい深みのある映像である。
2002年アメリカ映画 監督エイドリアン・ライン
ネタバレあり
2004年映画鑑賞メモより。
会社経営者リチャード・ギアの妻ダイアン・レインはNY郊外で一人息子と共に平凡だが満ち足りた生活を送っているが、猛烈な風が吹くある日、本の売買を生業にするフランス人青年オリヴィエ・マルティネスと知り合う。青年は口実を設けてこの美しい人妻に接近しているようにも見えるのだが、彼女のほうも新しい刺激に抗し難く一線を超えてしまい密会を重ねることになる。
部下から妻の行状を暗示されたギアは妻の行動を内偵し、遂にその証拠を得、妻を詰る前に青年の部屋を訪れ悲劇へと発展する。
エイドリアン・ラインは一昔前に作った「危険な情事」の二番煎じにするまいと努力しているのが伺われるのだが、前半はダイアンを主人公にした恋愛映画、後半はギアを主人公にしたサスペンス映画に変わる。
一般的に余り歓迎できない作り方で、二人の主演俳優を綺麗に分担する苦肉の策ではないかと邪推をしたくなるほどだが、見方によっては大変面白い。しかし、作者は後半ですらも正当派サスペンスを狙ったものではないような気がする。最後まで観れば解るが、一人の主婦の心象風景の変遷、つまり夫婦の愛情模様の変遷を描いた心理サスペンスが狙いではなかったかと思うのだ。
それにしてはギアの扱いが正統派サスペンス的すぎるが、幕切れが実に良い。
信号が赤になり止った車の中で夫婦が高飛びの話をしている。信号が青になっても車を出さない。カメラがズームアウトしていくと"Police"というサインが現れる。先日の「エデンより彼方に」の幕切れも良かったが、それ以上に素晴らしい幕切れであろう。編集のセンスだけでなく、夫婦の愛情の絆の再構築が上手く描かれているのである。
ラインらしく全編に渡り映像センスが抜群。単に美しいのではなく、映画らしい深みのある映像である。
この記事へのコメント
不倫の証拠&凶器になった小道具のね、
「スノーボール」って言うんですか?
アメリカの方って
あれ、買い集めるのお好きですよね~。
なにか意味があるのかしら。
わが北海道にもあれに似た形状の
「まりも」がガラス瓶に入ったのが
よく駅の土産物屋さんにありましたが。
今もあるのかしら。
私?いいえ~、買い集めませんわ~。
だいたいが、水に入っているのに
腐らないって、イヤ~な感じぃ。
あの、まりもの中って
・・・どうなってるんだろう・・・
あっ、ごめんなさい、映画と無関係ざましたわ。(笑)
スノーボールについてはよう分りまへんなあ。
まりもは植物ですから、それなりに植物しているんでしょうねえ(笑)。まりもも死ねば腐るのでは?
不思議な生き物といえば、サンゴ。あれで動物ですからね。高速度撮影すると明らかに動いている。食事もする。しかし、食虫植物というのもいるし、植物も高速度撮影すれば動く。見た目では分らないちゅうことですわね。
映画についてはとにかく、序盤の風の暗喩と、ラストシーンに痺れました。ああいうのを観ると映画を観ている気になりますよね。