映画評「アルフィー」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2004年アメリカ映画 監督チャールズ・シャイア
ネタバレあり
マイケル・ケイン主演で作られた「アルフィー」(1966年)を観たのはもう遥か昔で、ソニー・ロリンズのジャズがご機嫌だったことくらいしか憶えていないが、この映画から直接に換骨奪胎したリメイクのようである。つまり、66年版の原作だったビル・ノートンの戯曲は殆ど参考にされていないのではないかと思う。尤も、最初の映画化は彼自身が脚色していたのだが。
舞台はロンドンからニューヨークに変っているが、主人公がイギリスから来た青年という設定なのはオリジナルへの配慮と青年に扮したジュード・ローの英国訛りを考慮したものだろう。骨相学的にローはケインに似ている感じがあり、なるほどと思わせるキャスティングであります。
リムジン運転手のアルフィーは所謂独身貴族で、シングルマザーで結婚を望むジュリー(マリサ・トメイ)を最もステディーな相手としてはいるが、運転を依頼した人妻との情事を楽しみ、仕事のパートナーで親友(オマー・エップス)の恋人ロネット(ニア・ロング)と成行きで一線を超えてややこしいことになり、ジュリーとサヨナラした後スタイル抜群のジャンキー女二ッキー(シエナ・ミラー)と同棲を始める一方で、美容界で成功した金持ち女リズ(スーザン・サランドン)とも関係を持つ。が、紆余曲折の末全ての女性が自分の前を通り過ぎていた事実に気付き呆然とする。
一言で言えば、女を弄んだつもりが弄ばれていた哀れな男の物語。
オリジナルも同じような寂しさをもって終ったような幽かな記憶があるが、定着出来ない身の上の寂しさはわが寅さんと何ら変るところもない。結局アルフィーも精神的な遊子である。
映画的には、66年当時の「アルフィー」が持っていた映像的な新感覚をきちんと踏襲出来ているような気がする。画面に向って話し掛ける演劇的な手法や映像分割など決して新しいとは言えないが、映像に生き生きした躍動感がある。採点は抑え気味だが、買っておきたい作品。
2004年アメリカ映画 監督チャールズ・シャイア
ネタバレあり
マイケル・ケイン主演で作られた「アルフィー」(1966年)を観たのはもう遥か昔で、ソニー・ロリンズのジャズがご機嫌だったことくらいしか憶えていないが、この映画から直接に換骨奪胎したリメイクのようである。つまり、66年版の原作だったビル・ノートンの戯曲は殆ど参考にされていないのではないかと思う。尤も、最初の映画化は彼自身が脚色していたのだが。
舞台はロンドンからニューヨークに変っているが、主人公がイギリスから来た青年という設定なのはオリジナルへの配慮と青年に扮したジュード・ローの英国訛りを考慮したものだろう。骨相学的にローはケインに似ている感じがあり、なるほどと思わせるキャスティングであります。
リムジン運転手のアルフィーは所謂独身貴族で、シングルマザーで結婚を望むジュリー(マリサ・トメイ)を最もステディーな相手としてはいるが、運転を依頼した人妻との情事を楽しみ、仕事のパートナーで親友(オマー・エップス)の恋人ロネット(ニア・ロング)と成行きで一線を超えてややこしいことになり、ジュリーとサヨナラした後スタイル抜群のジャンキー女二ッキー(シエナ・ミラー)と同棲を始める一方で、美容界で成功した金持ち女リズ(スーザン・サランドン)とも関係を持つ。が、紆余曲折の末全ての女性が自分の前を通り過ぎていた事実に気付き呆然とする。
一言で言えば、女を弄んだつもりが弄ばれていた哀れな男の物語。
オリジナルも同じような寂しさをもって終ったような幽かな記憶があるが、定着出来ない身の上の寂しさはわが寅さんと何ら変るところもない。結局アルフィーも精神的な遊子である。
映画的には、66年当時の「アルフィー」が持っていた映像的な新感覚をきちんと踏襲出来ているような気がする。画面に向って話し掛ける演劇的な手法や映像分割など決して新しいとは言えないが、映像に生き生きした躍動感がある。採点は抑え気味だが、買っておきたい作品。
この記事へのコメント
現代版アルフィーは意外に情に厚いな~と見比べて思ってしまいました。
わたしは最初と最後に出てくるジェーン・クラコウスキーという女優さんが好きなんです。
TVドラマ「アリーmyラブ」でアリーの秘書役でした。
何しろ遠い昔のことですから、オリジナルのアルフィーがどうであったか忘れましたが、意外とそんな感じがしましたね。
TVドラマは題名くらいしか解らないです。何しろ映画を観る時間が欲しいもので。すみません。
M・ケイン版はすっかり忘却の彼方ですが
若い頃のケインのイメージが私には大層クールに
映っていたものですから、彼のアルフィーは
そのまんまの感じ。
(もう一度観直さなくては。風俗のギャップが怖いけど)
一方、J・ローは小狡いスマートさでしょうか。
私的には、ケインには知性を感じるのですが、
ローには、ない。(時代性かしら?)
バカラックのテーマ曲「アルフィー」♪
歌い手の器量を弄ぶかのような、
UP&DOWNの多い超難曲。
たまに歌いますが、イジメられているような気がします。(笑)
66年はまだミニスカートが流行る前ですか、それとも丁度その頃ですかね。
両アルフィーに関しては、姐さんの人間分析のほうが一日の長あり、でしょう。個人的には何となく、ケインとダブるような感じがしたようなしないような(笑)。
オリジナルは、画面に向かって話しかけるという演劇スタイルが取られたごく初期の作品ではないでしょうか。リメイクは、その感覚を生かしながら21世紀的に処理したところを買いました。
バカラックはそういう傾向がありましたっけ。カーペンターズの「クロース・トゥ・ユー」も結構上がったり下がったりするような。