映画評「旅するジーンズと16歳の夏」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2005年アメリカ映画 監督ケン・クワピス
ネタバレあり

80年代の青春映画はえげつないものが多かったが、最近は幾らか上品になっているかもしれない。

誕生以来いつも一緒だった4人の仲良し女子高生アレクシス・ブレデル、アメリカ・フェラーラ、ブレイク・ライブリー、アンバー・タンブリンが、16歳の夏休みに初めて別行動を取ることになるが、出発前に性格も体型も全く違う四人なのに何故か全員にフィットする不思議なジーパンを1ヶ月の旅の間一人ずつ1週間ずつ順番にはき合って友情を温める誓いをする。

ここからがいよいよ本番で、細身で内気なアレクシスは祖父母のいるギリシャへ赴き初恋を成就、離婚した父親のところへ出かけた陽気で太目のアメリカは再婚騒動で相手にされず落ち込み、長身でスタイル抜群のブレイクはサッカー合宿先のメキシコで初体験をするが軽率な行為に自己嫌悪、そして中肉中背でドキュメンタリー作りが趣味のアンバーは白血病を病む少女と知り合って人生を見つめる契機とする。

監督は「バイブス秘宝の謎」以来の鑑賞となるケン・クワピスで、大して面白味はないが、まずは無難な演出。
 全体に爽やかなのは、恐らく原作(アン・ブラシェアーズ)の持ち味で、少女が4人も集まれば【文殊の智恵】ではなくて【かしましい】だけなので、それを分散したのがまず宜しい。恋愛模様を二組、家族問題を一組、生死の問題を一組とテーマに多様性をもたせたのも好感が持てる。

ジーンズを狂言回し的なアクセントとしたのも群像劇としては新味。アレクシス以外に記憶のない顔ぶれはそう魅力的とは言えないが、演技的にはまずまずの部類であります。

この記事へのコメント

十瑠
2009年03月11日 17:53
ターゲットは完全に少女なので、おじさんはお薦め度をどうしようか迷いました。
日本の若者向きのテレビドラマも戯画的にならずに、これくらい爽やかに演出してくれたらと思いますね。

アンバーちゃんは、ラス・タンブリンのお嬢ちゃんらしいですよ。
オカピー
2009年03月12日 02:04
十瑠さん、こんばんは。

奇遇です!
十瑠さんがコメントを残している頃僕は、ケン・クワピスの新作「ライセンス・トゥ・ウェディング」を見ていたんですよ。
たった3本しか日本公開作がない監督にも拘らず!
偶然と言えば偶然ですが、面白いですねえ。

で、その新作はこちらに比べると相当つまらない作品でして、数日後にはUPしますが、小規模とは言え日本で劇場公開されたのが不思議なくらいです。

こちらは一時のエロ気丸出しのティーンエイジャー映画と違って爽やかでしたね。

>アンバーちゃん
名前から言ってそうではないかと思っていましたが、やはり!

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