映画評「永遠のマリア・カラス」
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2002年イタリア=フランス映画 監督フランコ・ゼッフィレッリ
ネタバレあり
2004年映画鑑賞メモより。
晩年は舞台に立つことがなかったという不世出のオペラ歌手マリア・カラスの晩年を親交のあった映画監督フランコ・ゼッフィレッリが虚実を大胆に織り交ぜて作ったドラマ。特別にオペラに造詣が深いわけではない僕でも相当楽しめた。
かつての美声を失ったマリア(ファニー・アルダン)はパリで隠遁生活を送っているが、そこへかつての仕事仲間で音楽プロデューサーのラリー(ジェレミー・アイアンズ)が現れ、オペラ映画「カルメン」を作らないかと誘いをかける。マリアは勿論拒絶するが、昔の録音を使いオーヴァーダブすることで簡単に解決することを知り引き受け「カルメン」は完成する。
芸術家魂に火を付けられたものの所詮は今の声ではない。そこで今度は「トスカ」を新録音でやろうと逆に持ちかけ、ラリーもしぶしぶ引き受けるが、結局面倒を見るプロモーターが現れず、全てがお蔵入りになってしまう。
そして1977年彼女は失意のうちに53歳で夭逝する。
という物語で、ゼッフィレッリ自身を投影したと思われる男色家のプロデューサーと実在のマリアの丁々発止のやり取りが抜群に面白く、扮するアイアンズとファニー・アルダンの演技合戦が素晴らしい。特にファニーは抜群で、全てをお蔵入りさせた後彼を残して森から去っていく幕切れにおける情感の表現は圧巻だった。
映画としての余韻もたっぷりで、まさに芸術を堪能させる108分である。
2002年イタリア=フランス映画 監督フランコ・ゼッフィレッリ
ネタバレあり
2004年映画鑑賞メモより。
晩年は舞台に立つことがなかったという不世出のオペラ歌手マリア・カラスの晩年を親交のあった映画監督フランコ・ゼッフィレッリが虚実を大胆に織り交ぜて作ったドラマ。特別にオペラに造詣が深いわけではない僕でも相当楽しめた。
かつての美声を失ったマリア(ファニー・アルダン)はパリで隠遁生活を送っているが、そこへかつての仕事仲間で音楽プロデューサーのラリー(ジェレミー・アイアンズ)が現れ、オペラ映画「カルメン」を作らないかと誘いをかける。マリアは勿論拒絶するが、昔の録音を使いオーヴァーダブすることで簡単に解決することを知り引き受け「カルメン」は完成する。
芸術家魂に火を付けられたものの所詮は今の声ではない。そこで今度は「トスカ」を新録音でやろうと逆に持ちかけ、ラリーもしぶしぶ引き受けるが、結局面倒を見るプロモーターが現れず、全てがお蔵入りになってしまう。
そして1977年彼女は失意のうちに53歳で夭逝する。
という物語で、ゼッフィレッリ自身を投影したと思われる男色家のプロデューサーと実在のマリアの丁々発止のやり取りが抜群に面白く、扮するアイアンズとファニー・アルダンの演技合戦が素晴らしい。特にファニーは抜群で、全てをお蔵入りさせた後彼を残して森から去っていく幕切れにおける情感の表現は圧巻だった。
映画としての余韻もたっぷりで、まさに芸術を堪能させる108分である。
この記事へのコメント
涙した記憶が甦ってきました。
クラシック・オンチの私。(オペラは特に)
この映画を観せていただいたおかげで
ちょっとばかりカラスには明るくなりましたよ。(笑)
オペラ歌手に詳しい知人によると、数多いディーバの
中でもカラスは「別格」なんだそうです。
声質も技術もその表現力も。
豊かな情感をたたえたあの歌唱は言葉はわからなくても
アジア人の私の胸に響き渡りました。
F・アルダンをキャスティングしたスタッフにも
拍手を贈りたい!
F・ゼッフィレッリの作風、好きです。
私も「ロミオとジュリエット」以来ゼッフィレッリが好きで、その後の「ブラザー・サン・シスター・ムーン」も良かったですし、リズの出た「じゃじゃ馬ならし」も面白かったです。
幾つか作ったオペラ映画も良いですし、本作も相変わらず巧いですね。
「マザー・テレサ」はゼッフィレッリが作ったらもっと良かったかもしれないなどと思ったりもしましたよ。
ゼッフィレッリの作品では、みなさんが挙げていらっしゃるものの他に、「ムッソリーニとお茶を」なんてのも気に入ってます。
オペラ映画はやはりお家芸なのでしょうか、素晴らしかったです。
「ムッソリーニとお茶を」・・・おおっ、忘れておりました。
少年の見た戦前のイタリアの空気を描いてなかなか良かった。異国のイギリス女性たちを素材にした点も面白かったですね。
ゼッフィレッリの個人的体験に基づくのではないかと思っています。あの当時彼はローティーンだったはずですから。