映画評「ミリオンズ」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2004年イギリス=アメリカ映画 監督ダニー・ボイル
ネタバレあり
現在通用しているポンドがユーロに変る直前という設定であるから、一種の近未来ファンタジーと言って良い。
主人公は、母親が亡くなり父親ジェームズ・ネスビットと暮らす10歳と8歳の兄弟。
兄のルイス・マクギボン君は投資に興味がある現実派で、弟のアレックス・エテル君は聖人に憧れ、聖人の幻想を見ることがある。ある日弟の段ボールで作られた秘密基地に鞄に詰められた22万ポンドという大金が降って来て、兄はちょっとした買い物に使うが、弟は貧困者に金をばらまく。
という物語で、聖人が見える弟を通して少年らしい無垢な魂を浮び上がらせるわけだが、勿論それだけで98分という上映時間は維持出来ないので、父親に現金の存在がばれた後その22万ポンドを奪還しに強盗犯が侵入してくるサスペンスや父親と女性慈善活動家デイジー・ドノヴァンとのロマンスをちょっと絡ませている。
面白味としてはポンドをユーロにしないと紙屑になってしまうという設定で、大金は一遍に換金してくれないので二手に分れ、幾つも銀行を廻り、その時にアレックス君が頭を捻って大活躍する箇所が大変微笑ましい。
監督は「トレインスポッティング」で人気者になったダニー・ボイルで、幻想的な場面の重用やとぼけた編集スタイルが似通っている。反面、そのせいで、二度出入りする警察の扱い方などに些か抽象的で解りにくいところがある。
刺激を求める向きには些か物足りないものの、最近の流行のように思われる【少年の無垢な魂】というテーマには注目したい。
2004年イギリス=アメリカ映画 監督ダニー・ボイル
ネタバレあり
現在通用しているポンドがユーロに変る直前という設定であるから、一種の近未来ファンタジーと言って良い。
主人公は、母親が亡くなり父親ジェームズ・ネスビットと暮らす10歳と8歳の兄弟。
兄のルイス・マクギボン君は投資に興味がある現実派で、弟のアレックス・エテル君は聖人に憧れ、聖人の幻想を見ることがある。ある日弟の段ボールで作られた秘密基地に鞄に詰められた22万ポンドという大金が降って来て、兄はちょっとした買い物に使うが、弟は貧困者に金をばらまく。
という物語で、聖人が見える弟を通して少年らしい無垢な魂を浮び上がらせるわけだが、勿論それだけで98分という上映時間は維持出来ないので、父親に現金の存在がばれた後その22万ポンドを奪還しに強盗犯が侵入してくるサスペンスや父親と女性慈善活動家デイジー・ドノヴァンとのロマンスをちょっと絡ませている。
面白味としてはポンドをユーロにしないと紙屑になってしまうという設定で、大金は一遍に換金してくれないので二手に分れ、幾つも銀行を廻り、その時にアレックス君が頭を捻って大活躍する箇所が大変微笑ましい。
監督は「トレインスポッティング」で人気者になったダニー・ボイルで、幻想的な場面の重用やとぼけた編集スタイルが似通っている。反面、そのせいで、二度出入りする警察の扱い方などに些か抽象的で解りにくいところがある。
刺激を求める向きには些か物足りないものの、最近の流行のように思われる【少年の無垢な魂】というテーマには注目したい。
この記事へのコメント
下さいましてありがとうございます。
TBさせていただきました。
私は子供をメインにした映画でも、
こういう風にあっさり描いてくれて
しかし、言いたいことはちゃんと言って
お国柄と今の事情(レトロな場合は当時の事情)を
さんわり差し挟んで観せてくれる手法が好きですね。
まるで運命共同体のようにベタベタした親子関係
(ラテン系に多いのね、日本も近いものがある場合あり)
的描き方はカンベンして下さい、になります。
プロフェッサーのお好きな小津さんの「東京物語」でも
私がこの間観た「東京の宿」「東京暮色」でも
あくまでも作り手の視線はクールでありながら
ヒタっと腰を据え、キチンと観てるところは観てる。
そうですね、ラテン系は「ゴッドファーザー」を観ても解るように、べたべたです。私は完全に拒絶反応は呈しませんが、きちんと作ってくれないとやはり「カンベンして下さい」になりますね。
小津さんは基本は写実主義、写生主義ですし、やはり家制度の崩壊という視点で作りながらも、有機的な人間関係を望み続けた方だと思いますので、人間描写は精緻ですね。
この作品、コメントもトラックバックもわたしの「おなじみさん」ばっかり!いやあ、嬉しい嬉しい♪
あんまり子役の子が可愛くって、写真一杯載せてしまって、
めちゃくちゃネタバレ全開の記事となっております(少々反省)
最新作は劇場に出遅れてしまいましたが、本格的SFとのこと。
(DVDまで我慢)
ますます目が離せないD・ボイル監督です。
>ネタバレ
別に良いんじゃないかなあ。
観る予定がある人はそれくらい自制する努力をしなくちゃ。
だから私は本分を読まなくても良いように採点をトップにしているんですよ。実際活用されている方もいらっしゃるようです♪
私は山奥に住んでいるので、余程の事情がないと劇場での鑑賞は諦めているのです。電車も利用できないので、駐車場が結構重要になるんですよね。しかし、なかなか条件が揃わないので、面倒臭いやということになっているんですよ、最近。
東京や埼玉に住んでいたころは三度の飯を抜いても観ましたがねえ。
>ダニー・ボイル
映像派ですね。時々分りにくい場面があったりするのはご愛嬌(笑)。