映画評「男はつらいよ 寅次郎の休日」
☆☆☆(6点/10点満点中)
1990年日本映画 監督・山田洋次
ネタバレあり
「男はつらいよ」シリーズは第1作を除いてテーマ【映画 あ行】から省きましたので、テーマ【山田洋次】にて検索をお願い致します。
シリーズ第43作は、所謂ゴクミ・シリーズ第2弾。
父(寺尾聡)を探しに泉(後藤久美子)が東京を訪れるが、既に退社して愛人(宮崎美子)のいる大分の日田に越したと聞く。結局現在の父の住居まで行く決意をした彼女について満男も付いていってしまい、すれ違いにくるま屋を訪れた母親(夏木マリ)と寅さんが追いかける。
第42作よりは寅さんの出番がやや多いような印象はあるが、それでも序盤ちょっと顔を見せた後40分過ぎまで登場がないのは事情があるとは言え寂しい。
今回も勿論若い二人の青春模様で、余り盛り上がりがないように見えるのは話運びがスムーズであるのが一因と言えるものの、強力なハイライトがなかったのは事実であろう。
とは言え、二階にいる満男と泉の挙動が気になって落着かないさくらと博を捉えた場面で楽器の音を利用した演出、泣き崩れる母親を慰めに行かない寅さんの心理など、面白い箇所は幾つかある。
本編のテーマは、山田洋次がずっと探究してきた「幸せとは何か」という、決して結論に到達しそうもない深遠なもの。
泉が真面目そうな愛人と一緒にいる父親を幸せそうと思う。彼は恐らくそうであろう。しかし、満男が語るように、寅さんが幸せなのかそうでないのか誰にも分らない。それは観点によって違うから、当人にも分らない。但し、彼が旅先でしばしば幸福とは程遠い孤独を感じているのは確かである。
1990年日本映画 監督・山田洋次
ネタバレあり
「男はつらいよ」シリーズは第1作を除いてテーマ【映画 あ行】から省きましたので、テーマ【山田洋次】にて検索をお願い致します。
シリーズ第43作は、所謂ゴクミ・シリーズ第2弾。
父(寺尾聡)を探しに泉(後藤久美子)が東京を訪れるが、既に退社して愛人(宮崎美子)のいる大分の日田に越したと聞く。結局現在の父の住居まで行く決意をした彼女について満男も付いていってしまい、すれ違いにくるま屋を訪れた母親(夏木マリ)と寅さんが追いかける。
第42作よりは寅さんの出番がやや多いような印象はあるが、それでも序盤ちょっと顔を見せた後40分過ぎまで登場がないのは事情があるとは言え寂しい。
今回も勿論若い二人の青春模様で、余り盛り上がりがないように見えるのは話運びがスムーズであるのが一因と言えるものの、強力なハイライトがなかったのは事実であろう。
とは言え、二階にいる満男と泉の挙動が気になって落着かないさくらと博を捉えた場面で楽器の音を利用した演出、泣き崩れる母親を慰めに行かない寅さんの心理など、面白い箇所は幾つかある。
本編のテーマは、山田洋次がずっと探究してきた「幸せとは何か」という、決して結論に到達しそうもない深遠なもの。
泉が真面目そうな愛人と一緒にいる父親を幸せそうと思う。彼は恐らくそうであろう。しかし、満男が語るように、寅さんが幸せなのかそうでないのか誰にも分らない。それは観点によって違うから、当人にも分らない。但し、彼が旅先でしばしば幸福とは程遠い孤独を感じているのは確かである。
この記事へのコメント
いや、私はこのシリーズは全て好きなんです。シリーズ全部を併せると満点です。6点というのもシリーズ故の点で、単独作品ならもっと多くて良いです。
病気で寅さんの出番が少ないのがやはり残念。渥美清あってのシリーズですから。
私はごくみシリーズが始まった89年に何らかの病気が発見され、山田監督が知ったのだと思います。当時映画の中での主役交替に相当首をかしげたのですが、彼は97年だったか亡くなった時に初めてピンと来たのでした。従って42作からは観るのがつらいところがあります。