映画評「ピエロの赤い鼻」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2003年フランス映画 監督ジャン・ベッケル
ネタバレあり
1950年代の優れた写実映画作家だったジャック・ベッケルの息子ジャンは60年代からぼちぼちと作品を発表しているが、父親とはやや持ち味が違い、特に最近は温かみのある作品を発表している。前作「クリクリのいた夏」は抜群の秀作(☆☆☆☆★)だった。
14才の少年(ダミアン・ジュイユロ)は小学校の教壇に立つ父親ジャック・ヴィユレが日曜日毎に赤い鼻を付けたピエロになり皆から笑われるのが気に入らないが、父の親友であるアンドレ・デュソリエがその由来を説明する。
20年近く前のこと、ドイツ占領下の同じ地区、レジスタンス気取りのヴィユレとデュソリエは、鉄道のポイントを爆発してサボタージュに成功するが、ドイツ軍は犯人が自首するまで村の四人の男を人質にし、翌朝までに名乗り出ない場合は処刑すると宣言。
二人は偶然その中に入ってしまうものの、事件で重傷を負った老ポイント係は自らの犯行と告げ処刑され、おかげで四人とも助かるのだが、犯行者である二人は未亡人にやっとの思いで真相を告白する。
また、処刑の直前穴に放り込まれた四人を慰めてくれたのは戦前フランスでピエロをしていたという一兵士で、銃を向けなかった罪で射殺されてしまう。その時彼らの許に転がってきたのが赤い鼻だった。
それを聞いた少年は態度を改める。
オー・ヘンリーを読んだ後のように温かみを覚える物語だが、プロローグ・エピローグと本編の繋ぎにぎこちない感じがあるのが些かマイナス。また、本編が暗い場面ばかりで非常に見づらかったので、その温かみが完全には発熱しきらなかったように思う。気分転換をかねて現在と過去をカットバックで描いたほうが良かったかもしれない。
素材としては非常に優れているだけに、残念でした。
2003年フランス映画 監督ジャン・ベッケル
ネタバレあり
1950年代の優れた写実映画作家だったジャック・ベッケルの息子ジャンは60年代からぼちぼちと作品を発表しているが、父親とはやや持ち味が違い、特に最近は温かみのある作品を発表している。前作「クリクリのいた夏」は抜群の秀作(☆☆☆☆★)だった。
14才の少年(ダミアン・ジュイユロ)は小学校の教壇に立つ父親ジャック・ヴィユレが日曜日毎に赤い鼻を付けたピエロになり皆から笑われるのが気に入らないが、父の親友であるアンドレ・デュソリエがその由来を説明する。
20年近く前のこと、ドイツ占領下の同じ地区、レジスタンス気取りのヴィユレとデュソリエは、鉄道のポイントを爆発してサボタージュに成功するが、ドイツ軍は犯人が自首するまで村の四人の男を人質にし、翌朝までに名乗り出ない場合は処刑すると宣言。
二人は偶然その中に入ってしまうものの、事件で重傷を負った老ポイント係は自らの犯行と告げ処刑され、おかげで四人とも助かるのだが、犯行者である二人は未亡人にやっとの思いで真相を告白する。
また、処刑の直前穴に放り込まれた四人を慰めてくれたのは戦前フランスでピエロをしていたという一兵士で、銃を向けなかった罪で射殺されてしまう。その時彼らの許に転がってきたのが赤い鼻だった。
それを聞いた少年は態度を改める。
オー・ヘンリーを読んだ後のように温かみを覚える物語だが、プロローグ・エピローグと本編の繋ぎにぎこちない感じがあるのが些かマイナス。また、本編が暗い場面ばかりで非常に見づらかったので、その温かみが完全には発熱しきらなかったように思う。気分転換をかねて現在と過去をカットバックで描いたほうが良かったかもしれない。
素材としては非常に優れているだけに、残念でした。
この記事へのコメント
>人間味のあるドイツ兵
忘れ難いですね。
最近では「戦場のピアニスト」の将校。
「西部戦線異状なし」の主人公パウルが、殺したフランス兵に詫びる場面も感激しました。