映画評「天空の草原のナンサ」
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2005年ドイツ映画 監督ビャンバスレン・ダバー
ネタバレあり
「らくだの涙」というドラマ的なドキュメンタリーを作ったビャンバスレン・ダバーが今度はドキュメンタリー的なドラマを発表した。
天空というにふさわしいだだっ広いモンゴル草原に生活する両親と三人の姉弟の物語である。
まだ6歳だが馬に乗って羊番もできる長女ナンサ(ナンサル・バットチュルーン)は燃料になる動物の糞を拾いに出た時にほら穴にいた子犬と知り合い可愛がるが、両親特に父親(ウンジンドルジ・バットチュルーン)は狼と仲間になっているかもしれないので捨てるように促す。やがてゲル(モンゴル式移動住居)を解体し移動する日が遣って来るが、犬を連れて行くことは許されない。
実際の家族五人を役者として使い、彼らの日常をドラマ化した内容と言って差し支えない。その意味では、終盤の急展開を別にすると、ドキュメンタリーと言っても通用しそうな作り方である。
演技はごく自然だが、多分多くの部分を実際の情景から取込んでいるのでそうしたことが可能になるのであろう。
これは少女と犬の愛情交換一点に絞った仄々とした内容につき遊牧生活の艱難辛苦に全く触れられていないということもあって、今すぐにでもああいう風に生活してみたいと思ってしまう。映画が見られないのはつまらないけれどね。
ナンサは祖母に聞いた「黄色い犬の伝説」の影響で輪廻転生を信じるようになり、母親からは「手のひらを噛もうとしてもできないように出来ないこともある」と言われ犬を飼うのを諦めるように諭される。
他に何もないのだから当然とは言え、肉親間のコミュニケーションが豊か、同じウラル・アルタイ語系民族であるのに現在の日本人とはかくも違うものかと愕然とする。
最後の一幕については色々ご意見もあるだろうが、トーンの変調を特に感じない。多少作り事めいてはいても違和感は全くないので、誠に結構。
三人姉弟の可愛らしさを含め、伸び伸びとしたまたゆったりとした情景に、気分を害して本作を見終える人は少ないであろう。
2005年ドイツ映画 監督ビャンバスレン・ダバー
ネタバレあり
「らくだの涙」というドラマ的なドキュメンタリーを作ったビャンバスレン・ダバーが今度はドキュメンタリー的なドラマを発表した。
天空というにふさわしいだだっ広いモンゴル草原に生活する両親と三人の姉弟の物語である。
まだ6歳だが馬に乗って羊番もできる長女ナンサ(ナンサル・バットチュルーン)は燃料になる動物の糞を拾いに出た時にほら穴にいた子犬と知り合い可愛がるが、両親特に父親(ウンジンドルジ・バットチュルーン)は狼と仲間になっているかもしれないので捨てるように促す。やがてゲル(モンゴル式移動住居)を解体し移動する日が遣って来るが、犬を連れて行くことは許されない。
実際の家族五人を役者として使い、彼らの日常をドラマ化した内容と言って差し支えない。その意味では、終盤の急展開を別にすると、ドキュメンタリーと言っても通用しそうな作り方である。
演技はごく自然だが、多分多くの部分を実際の情景から取込んでいるのでそうしたことが可能になるのであろう。
これは少女と犬の愛情交換一点に絞った仄々とした内容につき遊牧生活の艱難辛苦に全く触れられていないということもあって、今すぐにでもああいう風に生活してみたいと思ってしまう。映画が見られないのはつまらないけれどね。
ナンサは祖母に聞いた「黄色い犬の伝説」の影響で輪廻転生を信じるようになり、母親からは「手のひらを噛もうとしてもできないように出来ないこともある」と言われ犬を飼うのを諦めるように諭される。
他に何もないのだから当然とは言え、肉親間のコミュニケーションが豊か、同じウラル・アルタイ語系民族であるのに現在の日本人とはかくも違うものかと愕然とする。
最後の一幕については色々ご意見もあるだろうが、トーンの変調を特に感じない。多少作り事めいてはいても違和感は全くないので、誠に結構。
三人姉弟の可愛らしさを含め、伸び伸びとしたまたゆったりとした情景に、気分を害して本作を見終える人は少ないであろう。
この記事へのコメント
現在の日本人とはかくも違うものかと愕然とする。
その歴史と環境が人を作る・・・ということでしょうか。
あと20年もたてば彼らのような遊牧民はいなくなるとも
言われていますね。
「足る」ことを知っている彼らの生活は美しいと思いました。
日本人は余るほど「足りて」いるのに
なんと不満そうな人たちばかりなのでしょう。
なぜにこの頃はTBが「ツインズ」で
入ってしまいます。
1コ、削除いつものようにお願いしますね。
姐さんをしてまたもがっかりさせてしまった例の事件で頭がもやもやしている時に観たのですが、見ている間はすっかりそれを忘れました。
映画的に大変興味深いですし、あの子供たちや犬の可愛らしさと来たらたまりませんね。
>ツインズ
Livedoorは本当に、私と同じように本当に困ったちゃんですね。
僕もああいう生活したいんですよ。
JAZZ喫茶に行けないのは、つまらないけどね(笑)
kimionさんはJAZZ喫茶ですか。呼応して戴き有難うございました。
冬は寒そうだから、夏だけ限定なら良いかもですね(笑)。
TBを持参させていただきました <(_ _*)>
実に見事な作風、映像に心洗われるようで、本作に憧れを感じて鑑賞された方は多いことでしょうね。
動物と子供・・・私はこの取り合わせに、デレデレになってしまうタチなのですよ。意外なことに^^;
ラストの一幕については・・・私は何事もドラマチックなことが起こらずに、新天地へと向うというので良いのじゃないか、なんて思いましたです^^;
何のキッカケもなく「犬を飼っても良いけど、お勉強もがんばろうね」ってお父さんが優しく言うくらいで、私は大感動しちゃうかもです(笑)
私もモンゴルで生活をしてみたいですが、MLBで松坂や井川らの活躍が観られないのは、つまらないけどね(笑)
いいですよね~、三人が可愛いですよね~。
一番下は坊主なんですが、髪を縛っているので女の子のように見えますね。
犬の工まざる演技も良いなあ。犬を買った事はないのですが、犬の能力には人を癒す力もあるようで、面白そうだなあ。
映画と野球と音楽が味わえないのはつまらないけど、モンゴルで暮らしてみたいです!(笑)