映画評「ドゥーマ」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2005年アメリカ映画 監督キャロル・バラード
ネタバレあり

動物ものが得意なキャロル・バラードがまたも動物をテーマにした冒険映画。

南アフリカの白人一家の父キャンベル・スコットと息子アレクサンダー・ミハルトスが親とはぐれたチーターの赤ん坊を拾って“ドゥーマ”と名付けるが、成長が早く野生に帰すべき時がすぐに訪れる。
 父親を病で失い都会ヨハネスブルクに引っ越した時にドゥーマが学校に繰り出して大騒ぎになったのを契機に少年は一人で拾った場所へ帰す旅に出る。

ロード・ムービー&サバイバル型の冒険映画と言えば犬と猫がロッキーを超える「三匹荒野を行く」や「アドベンチャー・ファミリー」、「裸足の1500マイル」といった作品が思い浮かぶが、夫々に楽しさのある作品で、同じ列に加えたい。
 チーターの精悍さ、小型原猿ギャラコの可愛らしさ。ワニや水牛やライオン襲撃のピンチをかい潜り、雲霞のような虫の大群の襲撃といった動物に絡む場面など、定石ばかりとは言え、視覚的に非常に楽しめる作品である。サイドカーに帆を張って走る場面も爽快。

しかし、荒野の危険性を熟知しているはずのアフリカ荒野育ちの少年が、ワニがいる危険性のある川を横切ろうとしたり、ガソリンの切れることが分っているバイクに乗って砂漠地帯に乗り出すといった辺り物語に荒唐無稽さが目立ち、同時に母親への思いが足りないなあと少年に憤りさえ感じてしまう。それが少年の成長というテーマを形成しているのはよく理解出来るのだが、少年の心理に関し描き足りない部分があるのである。

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  • <ドゥーマ> 

    Excerpt: 2005年 アメリカ 101分 原題 Duma 監督 キャロル・バラード 原案 キャロル・フリント  カレン・ジャンセン 脚本 カレン・ジャンセン  マーク・セント・ジャーメイン 撮影 ヴェルナー・マ.. Weblog: 楽蜻庵別館 racked: 2007-05-02 16:47