映画評「犬神家の一族」(1976年版)
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1976年日本映画 監督・市川崑
ネタバレあり
申し訳ございません。現在公開中のものではありません。
現在リメイクが公開中ということで観賞。
終戦直後から横溝正史は映画化されるようになったが、横溝が今日の知名度を持つようになったきっかけを作ったのは角川書店である。しかし、それを一般に定着させたのは市川崑監督=石坂浩二主演のシリーズ五本であろう。中でも最初の二本は断然優秀で、これはその第一作。
舞台は終戦2年後の長野県の那須市となっているが、実在しない地方自治体。湖のあることから諏訪市をイメージしたものと思う。
製薬会社として一代で財を成した犬神家当主が死去、遺言が公開される。恩人の孫娘(島田陽子)が条件付きで遺産を継ぐということが書かれていて、母親が全て異なる長女・松子(高峰三枝子)、次女・竹子(三条美紀)、三女・梅子(草笛光子)とその子供たちは動揺する。
横溝ミステリーの特徴でもある怪奇ムードは長女の息子が復員兵で爛れた顔をマスクで覆っている為正体が不明という部分により醸成されているが、この後三人の人間が殺され、金田一耕助(石坂)が到着する前に殺された弁護士事務所の所員を含めて計四人を殺した犯人を突き止める謎解きが展開して行く。
先月「悪魔の手毬唄」でこのベスト・コンビについて述べたのでそちらも参考にして戴けると有難いが、良い意味でけれん味のある演出が大変良い。強調すべき場面では様々な映像処理、例えばモノクロ化、ジャンプカットの使用、モノクロ写真のフラッシュバック的挿入などテクニックを縦横無尽に駆使、洒落っ気もたっぷり。後の金田一ものに相当な影響を残していると思う。
市川崑(久里子亭)自身が加わった五人による脚本も少なからぬ人物の交通整理に優れ、非常に解り易い。「手毬唄」よりコミカルな演出が目立つ一方、ミステリーとしてはかなりオーソドックスな作りで、マスクの扱いに妙がある。
大野雄二の音楽も優秀。主題曲は耳にこびりつく。
余談であるが、70年代初頭「火曜日の女」というシリーズ番組があって、その中で酒井和歌子の主演したミニシリーズが大変怖かった記憶がある。当時は全く気付かなかったが、あれは金田一の出てこない「犬神家の一族」だったと昨年判り、長い間喉につかえたものが取れた思いがした。
1976年日本映画 監督・市川崑
ネタバレあり
申し訳ございません。現在公開中のものではありません。
現在リメイクが公開中ということで観賞。
終戦直後から横溝正史は映画化されるようになったが、横溝が今日の知名度を持つようになったきっかけを作ったのは角川書店である。しかし、それを一般に定着させたのは市川崑監督=石坂浩二主演のシリーズ五本であろう。中でも最初の二本は断然優秀で、これはその第一作。
舞台は終戦2年後の長野県の那須市となっているが、実在しない地方自治体。湖のあることから諏訪市をイメージしたものと思う。
製薬会社として一代で財を成した犬神家当主が死去、遺言が公開される。恩人の孫娘(島田陽子)が条件付きで遺産を継ぐということが書かれていて、母親が全て異なる長女・松子(高峰三枝子)、次女・竹子(三条美紀)、三女・梅子(草笛光子)とその子供たちは動揺する。
横溝ミステリーの特徴でもある怪奇ムードは長女の息子が復員兵で爛れた顔をマスクで覆っている為正体が不明という部分により醸成されているが、この後三人の人間が殺され、金田一耕助(石坂)が到着する前に殺された弁護士事務所の所員を含めて計四人を殺した犯人を突き止める謎解きが展開して行く。
先月「悪魔の手毬唄」でこのベスト・コンビについて述べたのでそちらも参考にして戴けると有難いが、良い意味でけれん味のある演出が大変良い。強調すべき場面では様々な映像処理、例えばモノクロ化、ジャンプカットの使用、モノクロ写真のフラッシュバック的挿入などテクニックを縦横無尽に駆使、洒落っ気もたっぷり。後の金田一ものに相当な影響を残していると思う。
市川崑(久里子亭)自身が加わった五人による脚本も少なからぬ人物の交通整理に優れ、非常に解り易い。「手毬唄」よりコミカルな演出が目立つ一方、ミステリーとしてはかなりオーソドックスな作りで、マスクの扱いに妙がある。
大野雄二の音楽も優秀。主題曲は耳にこびりつく。
余談であるが、70年代初頭「火曜日の女」というシリーズ番組があって、その中で酒井和歌子の主演したミニシリーズが大変怖かった記憶がある。当時は全く気付かなかったが、あれは金田一の出てこない「犬神家の一族」だったと昨年判り、長い間喉につかえたものが取れた思いがした。
この記事へのコメント
「犬神」高得点で、私は非常に嬉しく思います。やはりオリジナルのが出来がはるかにいいですね。その話の核も明確ですし、遺言状もきちんとよまれますし。
画的にも、プロフェッサーも書かれている通り、カット割り等これぞ市川崑というものです。そして音楽もいいですね。個人的には5作中、「手毬唄」が一番好きなんですけど。
私的に犯人はあまりに有名であろうと勝手な解釈で書いたネタバレ記事をTBさせていただきます。
TB有難うございました。早速お返しに伺いました。
80年以降色々な役者がTBや映画で金田一を演じていますが、演出も雰囲気も市川=石坂版には到底及ばず殆ど観ておりません。先日稲垣吾郎主演の「悪魔が来たりて笛を吹く」を流し観しましたが、金田一は兵ちゃんのイメージを継いでいますが、演出にやはり腰がない。ビデオ撮影の粘着性のなさもつまらない原因になっていますね。
新版は観られるチャンスが巡ってくるまでは観ないでしょう。兵ちゃんももう若くないし。
私も一番好きなのは「手毬唄」でございます。正統派としての完成度は本作です。
「手毬唄」はすごく評判がよいのですね。
私は見たことがないので、見てみたいです。
やっぱり石坂浩二が一番似合います。
稲垣版は、CGも目に付くし、
人工的におどろおどろしさを作り出している感じがして苦手です。
「手毬唄」と「犬神家」は拮抗していると思います。「犬神家」のほうが正統派のイメージで、「手毬唄」は変化球と言っても良いでしょう。
稲垣版はざっととは言え観たのはこれが初めて、きちんと見れば映画ではないけれど映画評を書きました。TVは予算が限られているので比較的安価で済むCGを使うのでしょうが、演出力の差は歴然。日本映画史の中でもベスト10に入るであろう名匠・市川崑とTV演出家を比べるのも無謀ですね(笑)。
おっしゃるように映画技術に凝っていますよね。
思えば角川全盛期。
わたしの思春期、青年期を象徴するのが、角川かもしれません。良い時代でした。当時はわたし、坂口良子さんが大好きでした。ああいう配役も角川ならではのアイドル嗜好だったのかもしれませんね。
『八つ墓村』は角川映画でなく、松竹の作品でしたね。これも好きでしたが、金田一役は、おっしゃるように渥美清さんより石坂浩二さんのほうが印象的です。
『野生の証明』など証明シリーズや『白昼の死角』『悪魔が来たりて笛を吹く』など東映の角川作品も観に行った記憶があります。
推理・ミステリーも単純な体系ではないですよね。
そうそう小松左京の『復活の日』などもありましたね。映画のエンタテイナーともいえる角川春樹。角川映画に対する賛否両論はあると思いますが、映画をこよなく愛している方であることは間違いないように思います。
では、また。
70年代半ばから暫く角川書店の時代でしたね。横溝正史や森村誠一を徹底的に売り、映画化もして相乗効果を狙って見事に成功しました。
角川春樹の最初の失敗は時分で監督をしてしまったこと、次のことは言うまでもないですね。映画が好きで、実業家としての才能もあったのでしょう。多分もっと評価されても良い作品群を発表しましたよね。
「人間の証明」は当時原作に圧倒されたので、映画はどうにも平凡な印象がありました。「野性の証明」は寧ろ映画の方が良かったかな。
月末から5月にかけて、市川=石坂コンビ5本が連続放映されるようなので、保存版DVDを作ります。
>坂口良子
ちょっととぼけていて、いつの間にか金田一に懸想するところが可愛かったですよね。私も割合好きだなあ。小動物的で(笑)。
これだけ良いものがあるのにリメイクするのは、市川監督にし足りないことがあったということなのでしょうが、私は敢えてリメイクの必要性は感じませんねえ。
兵ちゃんが50歳前にもう一本観たかったなあ。ましてリメイクでは気が乗りませんや。
佐武(地井武男)の生首が菊人形の上に乗っていて金田一耕助が叫び声をあげる。佐武の首が落ちる。あれはブラックユーモアかなと思いました。
>韓国が勧告、洒落としては面白いデスが(笑)
面白いです(笑)。
>国連も日本に対し死刑廃止の勧告をしたと思います。
光市母子殺害事件でご主人が「僕は犯人に対して償いをしろなどとは言ってない。僕は犯人に死んでくれと言ってるんです!」と言った事も思い出します。悲痛な叫びでした・・・。
>先日島田陽子さんが亡くなりました。
>昭和を代表する女優さんがまた一人天国に旅立ちました。
兄と同世代の女優ですね。兄ももう家に帰れない体になってしまいました。
そう言えば、今朝夢で元気な兄を見ましたよ。
映画の出演も多いですが、TVのイメージが強いです。
中でも僕が高校の時に始まり、大学のある東京から帰省した時に、まだ両親が見ていた「花ぼうろ」。今は2ヶ月くらい続く程度ですが、当時は1年を超えるドラマが結構あり、「花ぼうろ」は2年以上続きました。
映画では、この映画の印象がやはり強いでしょうか。
>佐武の首が落ちる。あれはブラックユーモアかなと思いました。
結構マジメと思いますが、兵ちゃん(石坂浩二)の驚き方が大仰で、そんな感じもしますね。
兵ちゃんは、今、東京新聞で、自伝的なものを書いています。
>>韓国が勧告、洒落としては面白いデスが(笑)
>面白いです(笑)。
続きがありまして、中国が忠告(笑)
ネトウヨがまたいい加減なことを言い始めました。統一教会は悪いものではないだろう、ということ。結局安倍氏を悪く言ったり、縁を切りたくないので、嫌いなはずの韓国発のあやしい宗教団体もどきまで擁護する始末。困った人たちだ。
>光市母子殺害事件でご主人が
>「僕は犯人に対して償いをしろなどとは言ってない。僕は犯人に死んでくれと言ってるんです!」
>と言った事も思い出します。
日本は、殺人犯に対して感情的になる国民が多いでしょうね。
なかなか死刑廃止という議論に至らない気がします。
その一方で、加害者の人権が重んじられ、被害者の権利が軽んじられていた時代もあります(今も?)。
1990年代、僕は被害者の権利をもっと考えるべき、という意見を放ち、加害者人権重視派の部下の女の子と口論になったのを思い出します。
>そう言えば、今朝夢で元気な兄を見ましたよ。
お兄さんとの楽しい思い出が蘇って良かったですね。
>見ていた「花ぼうろ」。
未見です。「くるくるくるり」は見ました。ショーケンと若い夫婦役。
>兵ちゃんは、今、東京新聞で、自伝的なものを書いています。
今まで出演したドラマ?それとは別に私生活?
>続きがありまして、中国が忠告(笑)
三波伸介さん。座布団一枚取りますか?(笑)
>嫌いなはずの韓国発のあやしい宗教団体もどきまで擁護する始末。
わが身がかわいい。それが人間の本性なのでしょう。
>1990年代、僕は被害者の権利をもっと考えるべき
某ニュース番組で死刑に次ぐ重罰、無期懲役囚の特集がありました。
あれだけの事をして、まだ生きているんだな・・・・と思いました。
>仕事でミスをして自分の無能さを改めて思う今日この頃です。
今日読んだ記事で、脳科学者の茂木健一郎氏が、国際政治学者の三浦瑠璃氏が“大喪の礼”を”たいものれい”と読んだことに対してネットで騒がれている件に関し、“人間は誰しもポンコツ、一々騒ぎ立てるほどのことではない”という主旨を仰っていましたよ。
僕も色々とやらかしました。どちらかと言うと、意図的にやっていたんですが(笑)
>「くるくるくるり」は見ました。ショーケンと若い夫婦役。
そんな作品があったような。
沢田研二、ちあきなおみ、研ナオコ、天地総子も出演。こんなに歌手が共演した作品もなかなかないかも。
>今まで出演したドラマ?それとは別に私生活?
東京新聞には二種類の自伝のコーナーがあり、兵ちゃんは短い方。10回から12回程度で、慶応時代に芸能界との関係ができたこととか、絵画、プラモデルのこととか。ミスター(長嶋茂雄氏)に絵を贈った話もありました。
映画の話もありまして、今日は「病院坂の首縊りの家」の坂道の話。
そう言えば、高校時代の僕のあだ名は、ジャイアンツでした。連日野球の話ばかりしていたので。
>三波伸介さん。座布団一枚取りますか?(笑)
それは困ります(笑)
>わが身がかわいい。それが人間の本性なのでしょう。
一種の宗教ですね。安倍教。
安倍のやることは全て正しいので、統一教会も良い集団となる。トランプに肩入れするのも同じ原理。さすがにプーチンの応援はしないか?
トランプと言えば、民間出身の元防衛大臣・森本敏氏が先日の「朝まで生テレビ」で、次の米国大統領はトランプにならないで済むのではないか、と発言していました。彼はトランプでは国際関係論的に困るという立場のようです。
統一教会で騒がれている下村博文氏は、僕の高校の先輩。結構デタラメなので、後輩として呆れていますが。
100mほど離れた近所に、彼と同期の先輩がいます。群馬県立小学校の校長をやった秀才ですが、今度村の寄り合いで会った時にでも、個人的に知っているか訊いてみましょう。
岸田政権は党として統一教会について調べることをしないようですが、政権にとって痛手になるかも。この件がはっきりしただけではないかもしれませんが、共同通信の調べで支持率が11%も下がりました。
国葬の件も、政権が思っているほど国民は支持してない。これも多少尾を引いたかも。コロナ対策、物価高対策も上手く行っていない。次回は一気に40%前半まで下がってしまうかも。
>あれだけの事をして、まだ生きているんだな・・・・と思いました。
加害者の人権を全面的に否定するつもりもないですが、被害者の立場からすれば、そういう気分になるでしょうね。
ロケでの青い空や緑がきれいでした。そして爆弾がどんどん飛んできて戦車もどんどん炎上する。
パットンは軍事の天才。しかし放言・失言が多かった。失読症(ディスレクシア)だったとか。
>どちらかと言うと、意図的にやっていたんですが(笑)
意図的にミスをするのは能力が高いから出来る事です。僕じゃあ無理です(苦笑)。
>病院坂の首縊りの家
兵ちゃんが主演兼監督の予定だったんですね。しかし企画をした角川春樹事務所から「これは新作だ。過去作なら兎も角、新人監督では困る」とクレームがつき、結局、市川崑監督になったとか。
>彼はトランプでは国際関係論的に困るという立場のようです。
トランプがまた過激発言?
>結構デタラメなので
代表を務める「自由民主党東京都第11選挙区支部」は、統一教会の関連団体「世界平和女性連合」に会費15,000円を支払ったそうで。
>コロナ対策、物価高対策も上手く行っていない。
無難な政権ではあるけど、立て直しも出来ない政権でしょうか?
>フランクリン・J・シャフナー監督「パットン大戦車軍団」を見ました。
僕が映画を観始め頃に公開された映画ですが、実際に観たのは数年後高校生の時、TVの前後編放映でした。
この頃は「猿の惑星」だの「ゴッドファーザー」だの大作や話題作の放映が楽しみでした。今のようにTV放映しかソフトのない受動的な時代でしたからねえ。
しかし、そういう不自由な時代の方が一つの作品に対する思い入れが強いような気がします。映画館や自主上映でも苦労して色々と歩いたもので、有難味が強い。昔の映画が良いと思えるのは、そういう環境の問題もあるかもしれませんね。
>パットンは軍事の天才。しかし放言・失言が多かった。失読症(ディスレクシア)だったとか。
失読症は結構多くて、スピルバーグもトム・クルーズもそうだとか。
当時はそういう病気を知りませんでした。学校の成績が上がらない級友の中にはそういう人もいたかもしれません。
>「これは新作だ。過去作なら兎も角、新人監督では困る」とクレームがつき、結局、市川崑監督になったとか。
兵ちゃんは才人だから案外うまく作ったかもしれませんね。
却って観たかったなあ。
>トランプがまた過激発言?
特に大きな問題になるようなことは聞いていません。
しかし、一時に比べると、徐々に一般人が離れているようです。寧ろ議員の方が離れられない。バイデンもそうですが、トランプも高齢すぎる。
>「世界平和女性連合」に会費15,000円を支払ったそうで。
>無難な政権ではあるけど、立て直しも出来ない政権でしょうか?
支持率急降下を受けて、内閣改造を打ち出しましたね。統一教会に関連が深い安倍派を排除するかもしれません。調査はしないと言っていたのに、これもやるようです。現金なものです。
国葬問題も今や反対が多数派。茂木幹事長が反対する野党に言った“国民と認識がずれている”に寧ろ国民が反発したのかもしれず、賛成派が反対派に回った可能性も。
>支持率急降下を受けて、内閣改造を打ち出しましたね。
統一教会と関係がある人が6人でした・・・。
>国葬問題も今や反対が多数派。
総額37億円。やめて欲しいです。
>バイデンもそうですが、トランプも高齢すぎる。
トランプ宅の家宅捜査。いろいろあります。
>兵ちゃんは才人だから案外うまく作ったかもしれませんね。
惜しい事をしました。何でもいいけど芸名よりも本名の方が味があります。武藤兵吉さん!
>TV放映しかソフトのない受動的な時代でしたからねえ。
>しかし、そういう不自由な時代の方が一つの作品に対する思い入れが強いような気がします。
その通りです。一度見たいと思っていた「猿の惑星」をテレビで見た時は感動しました。衝撃のラスト!
惜しむらくは第4作→第2作→第1作の順番で見た事です・・・。
>統一教会と関係がある人が6人でした・・・。
結局安倍派を、完全には、排除できなかった。
安倍派が多いということを考えても、岸=安倍一族の教会との関係はずぶずぶということが解りますね。
連中は、友好団体とか言っていますが、実質的に同一ですよ。
宗教法人として問題以上に、日本の政治や道徳観に口を挟んでいることのほうが問題。
この組織は、韓国に被害をもたらした日本の国旗や国歌を憎んでいるくせに、右派の顔をして、国旗掲揚などで日本の右派議員に働きかけている。全くけしからん。一部ネトウヨがその正体を碌に知らなくも、教会は反日だと言っていたのは実は正解でした。安倍が殺されると、案外良い団体ではないの、と言い始めたのは、まるで節操がない。
>総額37億円。やめて欲しいです。
学生の借金返済にでも充てたほうが良いですね。
右派の自己責任論は全く無責任。自己責任は本来投資用語で、一般の生活に当てはめるべきではありません。
>トランプ宅の家宅捜査。いろいろあります。
自分が問題あるから捜査されているのに、これは民主党の妨害行為と抜かしている(それも実際にあるかもしれませんが、火のない所に煙は立たぬ)。
ロシアの理屈にそっくり!
>「猿の惑星」をテレビで見た時は感動しました。衝撃のラスト!
>惜しむらくは第4作→第2作→第1作の順番で見た事です・・・。
それは残念でしたねえ。
第一作のラストは、全く知らずに観て、ゾッとしました。あんな衝撃は、僕には、他に一つか二つしかありません。
この「犬神家の一族」は、劇場公開時に並んで観た記憶があります。
とにかく、公開当時の盛り上がり方は、今から振り返っても、凄いものがありましたね。
これはやはり、角川春樹のメディア戦略が功を奏したのだと思います。
この映画「犬神家の一族」は、日本映画界に一石を投じた"角川映画"の記念すべき第一作目の作品で、映画における名探偵・金田一耕助像を決定づけた、市川崑監督、石坂浩二主演のコンビによる大作ミステリー・シリーズの一本ですね。
久里子亭というペンネームを持ち、自他ともに認めるミステリー好きである市川崑監督が、初めて横溝正史の原作を忠実に映像化したんですね。
日本の地域社会にある独特の因習、オドロオドロしい殺人、横溝正史の原作の持ち味を損なうことなく、市川崑監督ならではの映像美を散りばめた、堂々たる風格を持った作品を作ったと思いますね。
主演の石坂浩二もボサボサ頭にフケもたっぷりまぶし、ヨレヨレの着物と袴で風采の上がらない、原作そのままの金田一耕助像を好演していて、この金田一耕助のスタイルは、彼以後の金田一役者に多大な影響を与えたと思います。
しかし、その後、彼を凌ぐ役者は現れませんでしたね。
製薬王・犬神佐兵衛(三國連太郎)が残した遺言状が公開され、その莫大な遺産を相続する権利が、三人の孫(あおい輝彦・地井武男・川口恒)に与えられる。
だがその条件は、佐兵衛の恩人の孫娘・珠世(島田陽子)と結婚することだった。
そして、珠世をめぐって三人の男たちの間で争奪戦が繰り広げられるが、遂に殺人事件にまで発展する。
依頼を受けた、一見とぼけた、人のよさそうな青年の金田一耕助探偵が、この連続殺人事件の謎解きに挑むが、更に第二、第三の殺人が--------。
横溝正史のこの映画の原作の探偵小説は、いかにも不気味な環境、いかにも大仰な憎悪で複雑に絡み合う人物たちが、ぞろぞろ登場して来ます。
そして、市川崑監督は、この原作の持つ大時代的なところを逆手に取って、彼独特の華麗な映像美の世界として描いているんですね。
旧家のたたずまいや各種の大道具小道具類を、現代にはない「幻想妖美」な雰囲気を漂わせながら描き出し、ユーモアさえ加えて、レトロ趣味たっぷりに、実にモダンな映像美をたたえた映画に仕上げていると思います。
そして、何と言っても、この映画が成功した大きな理由の一つとして、名探偵・金田一耕助を石坂浩二に演じさせたことだと思います。
この市川崑監督言うところの、"天使的存在"として、あるいは、石坂浩二がこの金田一耕助というキャラクターを演じるにあたって意識した"神的存在"という、実に難しい役どころを、飄々と演じていて、実に見事でしたね。
そして、探偵らしく凄んだり、機敏そうにふるまったり、ハードボイルドに決めたりするところのない、明るく爽やかな優男であって、ニコニコと気弱そうにふるまいながら、明快に謎を解き明かしていく。
石坂浩二の役者としての"口跡の素晴らしさ"が、ひと際光るセリフ廻しも、観ていて実に味わい深いものがありました。
私はこの口跡の素晴らしい俳優として、石坂浩二、市川雷蔵、三船敏郎、佐藤慶、草刈正雄を特に愛しています。
悪を憎んでそれと対決するというよりは、謎解きの過程で浮かび上がって来る、古い家系にありがちな事件関係者間の"怨念"に理解を示し、親身になって共感する風情が、実に良かったですね。
また、そんな自分と探偵という職業との矛盾に苦笑しているようなユーモアが、スマートで洒落ているとも思います。
日本人にはやはり、アメリカ映画をそっくり真似たようなタフ・ガイぶりよりも、"情とはにかみ"のある名探偵の方が、しっくりくると思います。
そして、この市川崑監督、石坂浩二主演の金田一シリーズで、もはや名物的ともなった、何かと言うとすぐ早合点して、「よし、わかった!!」と叫ぶ加藤武の警察署長も、オドロオドロした妖美の世界に、"一服の清涼剤的"な笑いを盛り込んで楽しませてくれましたね。
>久里子亭というペンネームを持ち、自他ともに認めるミステリー好きである市川崑監督
アガサ・クリスティーがペンネームの由来ですね^^
>日本の地域社会にある独特の因習、オドロオドロしい殺人、横溝正史の原作
金田一耕助シリーズの一部を読んで僕が感じたのは、横溝はエラリー・クイーン、アガサ・クリスティー、ヴァン・ダインの影響を強く受けていること。本作の結構(お話のベース)はヴァン・ダインの「グリーン家殺人事件」だと思います。
しかし、日本人特に現在の日本人にはクイーンやヴァン・ダインの論理性より、横溝やクリスティーのような情に傾倒する作風が好まれるように感じ、今でも二人が人気があるのはそのせいと思います。
>何と言っても、この映画が成功した大きな理由の一つとして、名探偵・金田一耕助を石坂浩二に演じさせたことだと思います。
大いに賛同します。
石坂浩二はインテリですからこういう頭脳派が似合い、彼のようなハンサムにおとぼけを演じさせたのも楽しかったと思います。
横溝御大ご本人は、リップサーヴィスもあってか、松竹の「八つ墓村」で演じた渥美清が金田一耕助のイメージに一番近いと言ったようですが、寅さんのイメージが強い一般ファンにはちょっと遠い感じがしましたよね。