映画評「ニワトリはハダシだ」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2003年日本映画 監督・森崎東
ネタバレあり

松竹喜劇からスタートした森崎東については恥ずかしながら5、6本しか見ていないので余り偉いことを言う資格がない。映画監督としての先輩・山田洋次みたいな有無を言わせぬ上手さには欠けるようだが、温かみのある映画は作っていると思う。

京都の舞鶴、潜水業の父親・原田芳雄と二人暮らしの知的障害の少年・浜上竜也はどうもサバン症候群らしく記憶力抜群。それが災いして暴力とつるんだ国を揺るがす大事件に巻き込まれ、警察に少年院に送り込まれそうになる。
 権力側の臭いものには蓋をするという図式に対し、少年を養護学校で面倒をみている肘井美佳は警部の父親・石橋蓮司に働きかけて阻止しようと奮闘するのだが…。

というお話で、体制風刺を諧謔的に構成しながら家族の絆と愛情を描くのが狙い。やはり愛しながら別れて行く警部の一家とダブらせることでそれを強調しているが、少年と別れて暮らす母親・倍賞美津子が在日韓国人であるのも主題故の設定なのかもしれない。

森崎東らしくコミカルな描写による家族の愛情交換風景にほだされる部分も少なくないものの、教師の肘井が担当警部の娘であるという設定はご都合主義的で、多彩な要素を盛り込み過ぎた反動なのか、主題が深く沈潜していないような印象を伴なう。

原田、倍賞、石橋といったベテラン組の演技は安定しているが、面白いのは新人の肘井美佳嬢と浜上竜也君。奮闘を高く評価したい。

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