映画評「メリンダとメリンダ」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2004年アメリカ映画 監督ウッディー・アレン
ネタバレあり
最近のウッディー・アレンを不調という人もいるが、全くそうは感じず、2001年の「スコルピオンの恋まじない」は傑作と思ったし、前々作「さよなら、さよならハリウッド」も映画界と映画批評を皮肉ってなかなか興味深かった。
しかし、今回は従来の作品の焼き直しみたいな部分が多くそう楽しめたとは言えない。
マンハッタンのビストロで悲劇作家と喜劇作家が「人生は悲劇か喜劇か」という論議の為に夫々の立場から話を紡ぎ出し始める。
メリンダ(ラダー・ミッチェル)という同一のヒロインが同じ立場からスタートし、片や黒人作曲家(キウェテル・イジョフォー)を巡って彼も親友(クロエ・セヴィニー)をも失って行く悲劇と、片やピアニストに一目惚れしたものの女性映画監督(アマンダ・ピート)と離婚した俳優(ウィル・フェレル)が気になって舞い戻って来る喜劇とが展開していく。
作者たちの考えが映像になって行くという例は、ジュリアン・デュヴィヴィエの「アンリエットの巴里祭」やそのリメイク的ロマンティック・コメディー「パリで一緒に」などがあり、本作のスタートは「アンリエット」に酷似しているが、同一ヒロインに二つの道を部分的にクロスさせながら歩ませようというアイデアが一応面白いと言って良い。
が、会話特に男性の心境吐露的な会話はアレン自身の出演した旧作と変わり映えせず、登場人物の性格描写にもニュアンスが乏しい。
そして、肝心の作家たちの「人間生きているうちが花」という結論も常識的で面白くない。
キャストについてはまずまずの女性陣に対し、男性陣が弱い印象あり。
野球に喩えれば<良い当たりはしたが、一塁手の好捕にあってアウト>といったところですかな。
2004年アメリカ映画 監督ウッディー・アレン
ネタバレあり
最近のウッディー・アレンを不調という人もいるが、全くそうは感じず、2001年の「スコルピオンの恋まじない」は傑作と思ったし、前々作「さよなら、さよならハリウッド」も映画界と映画批評を皮肉ってなかなか興味深かった。
しかし、今回は従来の作品の焼き直しみたいな部分が多くそう楽しめたとは言えない。
マンハッタンのビストロで悲劇作家と喜劇作家が「人生は悲劇か喜劇か」という論議の為に夫々の立場から話を紡ぎ出し始める。
メリンダ(ラダー・ミッチェル)という同一のヒロインが同じ立場からスタートし、片や黒人作曲家(キウェテル・イジョフォー)を巡って彼も親友(クロエ・セヴィニー)をも失って行く悲劇と、片やピアニストに一目惚れしたものの女性映画監督(アマンダ・ピート)と離婚した俳優(ウィル・フェレル)が気になって舞い戻って来る喜劇とが展開していく。
作者たちの考えが映像になって行くという例は、ジュリアン・デュヴィヴィエの「アンリエットの巴里祭」やそのリメイク的ロマンティック・コメディー「パリで一緒に」などがあり、本作のスタートは「アンリエット」に酷似しているが、同一ヒロインに二つの道を部分的にクロスさせながら歩ませようというアイデアが一応面白いと言って良い。
が、会話特に男性の心境吐露的な会話はアレン自身の出演した旧作と変わり映えせず、登場人物の性格描写にもニュアンスが乏しい。
そして、肝心の作家たちの「人間生きているうちが花」という結論も常識的で面白くない。
キャストについてはまずまずの女性陣に対し、男性陣が弱い印象あり。
野球に喩えれば<良い当たりはしたが、一塁手の好捕にあってアウト>といったところですかな。
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