映画評「ザスーラ」

☆★(3点/10点満点中)
2005年アメリカ映画 監督ジョン・ファブロー
ネタバレあり

CGで実在する動物をそれらしく描くのは難しい(まだ時期尚早)と確認することになった「ジュマンジ」の原作者クリス・ヴァン・オールスバーグの続編的絵本の映画化だが、こうなるともはや映画とは言えないのではないかと思いつつ何とか見続けた。

離婚家庭で父ティム・ロビンズと母の間を行ったり来たりしている10歳の兄ジョシュ・ハッチャースンと6歳の弟ジョナー・ボボは仲が悪い。地下室に行った弟が双六形式の古いゲーム盤を発見して早速操作、止まった数字だけ宇宙線型の駒が動いて文章の書いてあるカードが飛び出す。その直後家には隕石が落ちてきたように穴があく。カードの文言通りになるという仕組みで、家は何故か宇宙空間を飛んでいる。
 以降、二人は元の状態に戻る為にゲームを続け、危険はどんどん大きくなっていく。

というお話は、ゲームの映画化とは似て非なるもの、ゲームをやっている人の頭の中のイメージを見ているような内容である。どちらも大人には困るタイプで、どちらが良いというわけではない。

つまり、映画はどんな形であれ人間を描く芸術の一つであるという立場で観ている僕には、残念ながら本作に現実との接点を感じることは出来ないのである。難しいことにあらず。人の血と骨と肉を感じされることが出来れば、人間ドラマは必要ない。例えば「スピード」は立派に人間を描いている。
 そもそも余りにもご都合主義ではないだろうか。宇宙空間を飛んでいるのに家の中だけは地球上と全く同じ。水や電気が使え、引力も空気も全く問題なし。しかし、ブラックホールに近づけばそんな設定にはお構いなしに吸い込まれてしまう。
 ゲームをしている子供の頭の中くらいの発想ちゅうことで、面白い、つまらない以前の問題ではないかいな。寧ろ夢落ちのほうが余程落ち着くというもの。

離婚家庭と仲の悪い兄弟という設定で説教臭く作っている部分に有り難味を感じる鑑賞者もいるだろうが、そんな付け焼刃で満足するほど当方の精神年齢は幼くなく、邪魔なだけ。くだらんことで喧嘩ばかりしている兄弟にもうんざり。

「ジュマンジ」の頃に比べるとCGは随分良くなってはいますがね。

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