映画評「ローレライ」
☆☆(4点/10点満点中)
2005年日本映画 監督・樋口真嗣
ネタバレあり
福井晴敏はここへ来て次々と映画化されているが、最初に観た「亡国のイージス」が映画的に(あくまでその比較において)断然優れている。「亡国のイージス」をそのまま太平洋戦争に移し替えたような本作は、同作の良いところを最大限縮小し悪いところを最大限拡大したような印象。
舞台は1945年8月なのだが、過去を舞台にしたパラレルワールドの日本と思っても首を傾げることばかり。
SFと解釈して観ても、あんな髪型の日本軍人を見せられては椅子から転げ落ちるしかない。言葉遣いも相当変だが、それ以上に長髪の軍人は気分を殺ぐ。人気役者だろうが何だろうが、軍人役は全員坊主になるべし。リアリティ以前の問題であり、これを為さねば演技力もへちまもない。
そこへふけば飛ぶようなCGが加わって益々意気消沈。二次元アニメでももっと立体感・重量感を出せますぜ。
敗戦したドイツ軍から秘密裏に接収された特殊潜水艦が、役所広司を司令官に、二度目の原爆投下を阻止すべく南下するが長崎への投下は回避できず、やがて、東京に第三の原爆を落とそうとしているアメリカと結託した連中がクーデターを起す。
「亡国のイージス」は時限サスペンスとして手に汗を握る部分があったが、本作の姦計者は全く手応えのない連中で、手に汗が滲み出る前にあっさりとやられてしまう。
また、福井晴敏は女性を乗せなければ気が済まないようで、超能力者のユダヤ少女(香椎由宇=日本人の血が混じっているという設定)を絡めているが、彼女が出ている場面は尽く水増し的でつまらない。
といった次第で、「イージス」同様現代の日本人に何かメッセージを残したいのだろう(敢えてぼかす)が、この貧相な作品から感じるのは作品そのものが持つ<空しさ>だけである。
監督から<NO出ない>映画でござるな(余りにつまらないので駄洒落を考えてみた)。
2005年日本映画 監督・樋口真嗣
ネタバレあり
福井晴敏はここへ来て次々と映画化されているが、最初に観た「亡国のイージス」が映画的に(あくまでその比較において)断然優れている。「亡国のイージス」をそのまま太平洋戦争に移し替えたような本作は、同作の良いところを最大限縮小し悪いところを最大限拡大したような印象。
舞台は1945年8月なのだが、過去を舞台にしたパラレルワールドの日本と思っても首を傾げることばかり。
SFと解釈して観ても、あんな髪型の日本軍人を見せられては椅子から転げ落ちるしかない。言葉遣いも相当変だが、それ以上に長髪の軍人は気分を殺ぐ。人気役者だろうが何だろうが、軍人役は全員坊主になるべし。リアリティ以前の問題であり、これを為さねば演技力もへちまもない。
そこへふけば飛ぶようなCGが加わって益々意気消沈。二次元アニメでももっと立体感・重量感を出せますぜ。
敗戦したドイツ軍から秘密裏に接収された特殊潜水艦が、役所広司を司令官に、二度目の原爆投下を阻止すべく南下するが長崎への投下は回避できず、やがて、東京に第三の原爆を落とそうとしているアメリカと結託した連中がクーデターを起す。
「亡国のイージス」は時限サスペンスとして手に汗を握る部分があったが、本作の姦計者は全く手応えのない連中で、手に汗が滲み出る前にあっさりとやられてしまう。
また、福井晴敏は女性を乗せなければ気が済まないようで、超能力者のユダヤ少女(香椎由宇=日本人の血が混じっているという設定)を絡めているが、彼女が出ている場面は尽く水増し的でつまらない。
といった次第で、「イージス」同様現代の日本人に何かメッセージを残したいのだろう(敢えてぼかす)が、この貧相な作品から感じるのは作品そのものが持つ<空しさ>だけである。
監督から<NO出ない>映画でござるな(余りにつまらないので駄洒落を考えてみた)。
この記事へのコメント
これ、
私、観る! 絶対、観る!!
プロフェッサーの文章拝読しましたらムラムラと
観たくなりましたっ!
B型の不治の病い!
“spirit of アマノジャク”全開!!(笑)
>そこへふけば飛ぶようなCGが
かの昔、ふけば飛ぶのは“将棋の駒”と相場が決まって
おりましたが、昨今はCGが“昇格”なされましたかや?(笑)
>椅子から転げ落ちるしかない。
そうです、ますます私たち映画ファンはアタマもクチも
最近は“腰”も鍛えて置かねば“持ちません”(笑)
(隊員が私も含めて2人しかいない)
「北海シネマ好きスキ隊々長」viva jijiより!
恐らく、恐らくですよ、「某国のイージス」おっと違った「亡国のイージス」が良い映画に見えますよ。難だ神田、もとい何だかんだ言っても阪本順治監督は一流ですよ。腕が違う。
本作の監督は「日本沈没」も監督しているらしい。いやあ、期待できますなあ、何と言っても<NO出ない>監督ですから(笑)。
まあ、観てくなはれ。姐さんの腰力では椅子からすべり落ちるくらいですかね(笑)。
隊員は優一郎さんですか? 最近来ないです。
樋口さんは、戦争映画のフィルムを観たことがあるのかいな。どこの国に言っても兵隊は坊主でしょうが。時間が経って伸びるのは別として。
しかし、不思議なことにこの作品を貶す人もその点に触れる人が全くいない。鑑賞者が若いとしても理解に苦しみます。
CGも余りにお粗末。