映画評「タイフーン TYPHOON」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2005年韓国映画 監督クァク・キョンテク
ネタバレあり

韓国映画は玉虫色と言うか狙いが不鮮明だったり、トーンが極端に変わる傾向があり、高く評価出来る作品は一握りである。それでもアクション系は昨今の邦画よりは余程良い。

アメリカが台湾で作らせた秘密兵器を極秘裏に輸送している民間の貨物船をチャン・ドンゴン率いる海賊一味が襲撃、乗組員を皆殺しにして兵器を略奪する。
 その彼を捕まえる為に韓国政府は潜伏しているタイに特殊部隊出身の軍人イ・ジョンジェを派遣する。タイでドンゴンは兵器との交換でロシア・マフィアから大量の核廃棄物を手に入れる。

些か描写に適切さを欠くものの、序盤の襲撃場面のアクションの切れ、韓国でのチャンによる元大使暗殺やその後の追跡場面ではスパイ・アクション的なムードがなかなか良い。
 ところが、チャンを誘き出す為に利用される姉イ・ミヨンが登場してきてから南北分断悲劇調の場面が暫く続き、主題らしきものが徐々に見え始めるのだが、映画の基本はやはり全体の統一感であるから些か困ってしまう。
 アクションも悲劇調も独立して判断すれば悪くない出来なので、勿体ない。統一感は韓国映画が最も不得手とする部分である。

終盤はポリティカル・サスペンス風にさらに模様替え。韓国を恨む脱北者チャンが台風の北上を利用して核廃棄物を韓国上空に飛ばそうとしていることが判り、イを始めとする軍人有志がそれを阻止すべくヘリコプターで台風の中に飛び込んで行く。
 内容こそ違うが、この終盤は海洋アクションとして思い出す邦画「ローレライ」より大分上出来。序盤同様描写の不適切さ、カット割りのまずさがあり解りにくいが、CGではなく実写で勝負したところが多いのは大いに結構。

日本の観客にしてみれば、単純なポリティカル・サスペンスに徹してくれたほうが有難かった、という作品でございました。

この記事へのコメント

ぶーすか
2007年08月22日 07:37
TB&コメント有難うございます。体を張ったアクションに、男2人と女1のロマンスというパターンにもはまらず、なかなか面白かったです。御指摘の通り、トーンの統一感がないのが気になりましたが…。「ローレライ」はダメでしたねー(>.<)。韓国に比べて日本映画はこういうアクション作品が下手だなーと思ってしまいましたよ。
オカピー
2007年08月23日 01:44
ぶーすかさん、こちらこそ有難うございます。

あの回想場面にしてももう少し違う風に扱えるでしょうに、そういう統一感に対して韓国映画の認識は著しく低い。これが改善されたら韓国映画は恐るべしです。
韓国も香港も日本よりはアクションの見せ方はずっと上手いですね。

「ローレライ」は長髪の兵卒が出た瞬間に椅子からずり落ちました。そりゃあないよって。

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