映画評「美しき野獣」

☆☆★(5点/10点満点中)
2005年韓国映画 監督キム・ソンス
ネタバレあり

思いがけず韓国映画週間になってしまった。
 韓国人の名前は似たようなのが多くて本作のように少なからず人数が入り交じると話がトレースしにくい。

ソウル地方警察の暴力刑事クォン・サンウが、出所したばかりの父違いの弟イ・ジョンムンを殺した暴力団ソン・ビョンホ一味の犯人に復讐しようと大暴れ。
 一方、一味を一網打尽にしようとしている検事ユ・ジテは復讐の機会を探しているとも知らず暴力事件で干されているクォンを協力者に抜擢するが、議員選にも立候補しているソンは用意周到で犯罪の証拠を出さない。それどころか重要な証言者を殺害し、自白を暴力で強制しかどで二人を訴える。

名前の関係で人間関係を把握しにくい部分はあっても話は問題なく解るし、暴力描写は冷徹で強烈と言って良い。が、この後から展開に韓国風の強引さが出て来て、首を傾げることになる。

服役中のクォンは母の葬儀に監視付きで出た時に犯罪の証拠を掴むが、それを無視して脱走しソンを付け狙った挙句に射殺され、一年後出所したユがソンを殺害する。
 これにて一件落着というのだが、証拠があることを観客に示しながら単なる復讐劇にしてしまうのは感心出来ない。そもそも証拠であるメモの争奪戦に過ぎない話を必要以上に膨らませた憾みもある。
 
「こんな紙の為にたくさんの人が死んだ」という台詞をユに吐かせて空しさを強調するが、僕が作者ならユがその証拠を以ってソンを法的に罰するといった話にする。情に溢れる作品は嫌いではないが、この物語なら理が情を抑える大団円のほうが却ってバランスが取れると思うのである。

この記事へのコメント

2008年03月23日 14:54
仰るとおり、単なる復讐劇になってしまったのが残念。困難な道である法で裁いてこそ、だったのに、簡単に殺しちゃうんだもんなぁ。
オカピー
2008年03月24日 01:48
ぶーすかさん、こんばんは!

僕もそう思うんですよねえ。
しかし、幕切れの台詞が「眠狂四郎 殺法帖」(第1作)とそっくりだったのには驚きました。脚本家が観ていたかな?

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