映画評「レジェンド・オブ・ゾロ」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2005年アメリカ映画 監督マーティン・キャンベル
ネタバレあり

ネタ不足に苛まれるハリウッドのメジャー作品の約3割はリメイクかシリーズ作品である。これも「マスク・オブ・ゾロ」の続編で、つまらなかったら文句を言ってやろうと思っていたが、意外に好調だった。

1850年アメリカ合衆国31番目の州になろうとしていたカリフォルニア、旧体制で利権を得ていた人々は悪党と手を組んで投票を妨害するが、民衆の味方であるゾロ(アントニオ・バンデラス)が立ち塞がる。
 というプロローグはまずは無難なお楽しみ。

続いて暫くゾロ即ちアレハンドロとその妻エレナ(キャサリン・ゼータ・ジョーンズ)や不在がちの父と息子の関係がだらだらと描かれるのであくびが出始めるのだが、後半夫婦喧嘩が大々的に冒険的展開に絡んで来るのでこの部分に関する悪い印象はかなりのところまで払拭される。

彼女からアレハンドロの許に離婚届が送られて来るが、実は一種の偽装離婚で、石鹸から作り出すニトログリセリンを使ってアメリカ制覇を企むフランスのアルマン伯爵(ルーファス・シーウェル)をアメリカのスパイとして内偵する為の方策と判明、終盤はエレナと息子ホアキン(アドリアン・アロンソ)を拉致して鉄道で横断する伯爵をゾロが追い、結果として「Mr.インクレディブル」よろしく一家を挙げて一味と闘うことになる。

「快傑ゾロ」は、ジョンストン・マッカレーが、大デュマ「モンテ・クリスト伯」からモーリス・ルブラン「アルセーヌ・ルパン」シリーズと引き継がれたフランス冒険小説の精神をアメリカに輸入して作り上げたものと勝手に思っているのだが、直接はマッカレーの原作と関係のない本作も先立って公開されたフランス映画「ルパン」と似た要素が揃えられている。しかし、冒険ものとしてはこちらのほうがずっと明朗・明快に作られていてぐっと面白い。
 具体的には豪邸での内偵あり、ニトログリセリンあり、鉄道の大活躍あり、さらに、列車の上でのチャンバラあり、「荒野の1ドル銀貨」のパロディ的場面まであり、後半の80分は殆ど文句の付けようがない。前半40分くらいまでの家族の揉め事をもう少し整理してくれれば★一つ分、場合により☆一つ分増やせたかもしれない。

この記事へのコメント

トム(Tom5k)
2007年04月04日 00:25
オカピーさん、こんばんは。
私事ですが、人事異動がございまして、日々クソ忙しい・・・。
へとへとですよ。

>つまらなかったら文句を言ってやろうと思っていたが、意外に好調だった
とのことですが、
やはりクシックは良いですねえ。これにつきるんじゃないでしょうか?
基本的なセオリーが単純で、かつしっかりしている。
好調なはずですよ。

>前半40分くらいまでの家族の揉め事をもう少し整理・・・
やはり、思い切って単純化して痛快そのもののプロットにすることが、むしろ必要なのかもしれません。
そういった意味では、やはりファンのひいき目もありますが、アラン・ドロン版は大成功でしたよね。
では、また。
オカピー
2007年04月04日 03:24
トムさん、こんばんは。
仕事のほう、頑張ってくださいね。

生意気な映画ファンたちは、しかし、そういう単純さを嫌うんですよね。連中はメッセージだの、(表面的な)芸術性だの、青臭いことばかり言うんですよ。映画はそんな窮屈なものではない。ジャンルや作者の狙いに沿って判断する力をつけにゃあいかんとですよ(笑)。

家族に関するところですが、今ハリウッドは家族の再生がテーマなんです。そんなところがこうした冒険映画にまで反映されてしまっているということでしょう。本作の場合は意外と上手く使われていますが、それでも面倒臭い印象は拭えませんでした。

今月は「黒いチューリップ」が地上波放映(多分字幕)されるので、久しぶりに観ようと思っております。

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