映画評「ゲルマニウムの夜」
☆☆★(5点/10点満点中)
2005年日本映画 監督・大森立嗣
ネタバレあり
原作となった花村萬月の小説は芥川賞受賞というが、これは観るべきではなかった。観るより読んで考えたほうが良い。
青年・新井浩文が以前所属していた教会の付属救護院で働きはじめるが、恩師である告悔神父・佐藤慶に殺人を犯したこと、修道女を孕ましたことを告げ、赦しを受ける。実は後者は嘘で、赦しを受けたことでキリスト教的偽善により、彼は無条件にそれを実行することが出来るのだ。
性と暴力の為に生れてきたような若者がそうした涜神行為で神の存在を確かめようとするのは、古くて新しい主題でそれなりに興味が湧く。
また、登場する人物は殆ど破戒僧の類で、院長(石橋蓮司)は学生たちに口淫などさせるし、修道女も青年と交わる。彼らも破戒により神に近づこうとしているのかもしれないが、我々のそうした思考を停止させるのはおぞましい場面の数々。
同性同士の淫行、唾や吐瀉物を舐めるといった行為、犬との性行為、そして数々の暴力が繰り広げられ、気分が悪くなる。道徳云々ではなく、生理的に嫌になってしまうのである。暴力と性が交錯して嫌な気持ちにさせられたのはピエル・パオロ・パゾリーニの「ソドムの市」以来ではないかと思うが、あの作品に比べればまだましか。
2005年日本映画 監督・大森立嗣
ネタバレあり
原作となった花村萬月の小説は芥川賞受賞というが、これは観るべきではなかった。観るより読んで考えたほうが良い。
青年・新井浩文が以前所属していた教会の付属救護院で働きはじめるが、恩師である告悔神父・佐藤慶に殺人を犯したこと、修道女を孕ましたことを告げ、赦しを受ける。実は後者は嘘で、赦しを受けたことでキリスト教的偽善により、彼は無条件にそれを実行することが出来るのだ。
性と暴力の為に生れてきたような若者がそうした涜神行為で神の存在を確かめようとするのは、古くて新しい主題でそれなりに興味が湧く。
また、登場する人物は殆ど破戒僧の類で、院長(石橋蓮司)は学生たちに口淫などさせるし、修道女も青年と交わる。彼らも破戒により神に近づこうとしているのかもしれないが、我々のそうした思考を停止させるのはおぞましい場面の数々。
同性同士の淫行、唾や吐瀉物を舐めるといった行為、犬との性行為、そして数々の暴力が繰り広げられ、気分が悪くなる。道徳云々ではなく、生理的に嫌になってしまうのである。暴力と性が交錯して嫌な気持ちにさせられたのはピエル・パオロ・パゾリーニの「ソドムの市」以来ではないかと思うが、あの作品に比べればまだましか。
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