映画評「ホワイト・プラネット」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2006年フランス=カナダ映画 監督ティエリー・ラコベール、ティエリー・ピアンタニーダ
ネタバレあり
21世紀に入って日本に輸入されるドキュメンタリーが増えたが、それに比例するように自然ドキュメンタリーも増えた。或いはその逆かもしれない。
恐らくその端緒はフランス映画の「ミクロコスモス」で、火付け役になったのは「WATARIDORI」だろう。数では他を圧倒するフランスだが、ドキュメンタリーとしてはけれんに近い匠気が目立つ印象がある。本作はその欠点が殆どなく、英国映画「ディープ・ブルー」に近い自然体だが、編集では大分及ばない。
タイトルから予想されるように北極圏に棲息する動物たちの生態を一年の四季の中に映し出す。中心となるのはホッキョクグマの母子三匹で、母グマは子供たちの為にアザラシの子供を捕獲する。厳しい弱肉強食の世界である。
ウミガラス(カラスではなくチドリに近い)の卵をホッキョクギツネが狙ったり、ホッキョクオオカミがネズミなどの小動物を狙うのもその例だが、TVの自然ドキュメンタリーで何度も観た場面で新味は薄い。
それでも雲霞の如きカリブー(北米トナカイ)の大移動やジャコウウシ雄の決闘などは大したスペクタクルで、珍獣イッカクの姿(下図)が見られたのは収穫。
四季が一回りしてクマの子供も成長して独立する頃になる。映画はここで北極圏の生物が地球の温暖化により絶滅の危機に晒されていることを告げるのだが、些か唐突な感あり。最初からそういう視点で語ったほうが観客の意識に染み込むはずで、終盤にちょっとだけ触れるのでは効果に疑問がある。尤もこれに関しては、「たっぷり北極圏の自然を描き込んだ後だから最小限の言葉で効果が出る」といった逆の見方もできないわけではない。
2006年フランス=カナダ映画 監督ティエリー・ラコベール、ティエリー・ピアンタニーダ
ネタバレあり
21世紀に入って日本に輸入されるドキュメンタリーが増えたが、それに比例するように自然ドキュメンタリーも増えた。或いはその逆かもしれない。
恐らくその端緒はフランス映画の「ミクロコスモス」で、火付け役になったのは「WATARIDORI」だろう。数では他を圧倒するフランスだが、ドキュメンタリーとしてはけれんに近い匠気が目立つ印象がある。本作はその欠点が殆どなく、英国映画「ディープ・ブルー」に近い自然体だが、編集では大分及ばない。
タイトルから予想されるように北極圏に棲息する動物たちの生態を一年の四季の中に映し出す。中心となるのはホッキョクグマの母子三匹で、母グマは子供たちの為にアザラシの子供を捕獲する。厳しい弱肉強食の世界である。
ウミガラス(カラスではなくチドリに近い)の卵をホッキョクギツネが狙ったり、ホッキョクオオカミがネズミなどの小動物を狙うのもその例だが、TVの自然ドキュメンタリーで何度も観た場面で新味は薄い。
それでも雲霞の如きカリブー(北米トナカイ)の大移動やジャコウウシ雄の決闘などは大したスペクタクルで、珍獣イッカクの姿(下図)が見られたのは収穫。
四季が一回りしてクマの子供も成長して独立する頃になる。映画はここで北極圏の生物が地球の温暖化により絶滅の危機に晒されていることを告げるのだが、些か唐突な感あり。最初からそういう視点で語ったほうが観客の意識に染み込むはずで、終盤にちょっとだけ触れるのでは効果に疑問がある。尤もこれに関しては、「たっぷり北極圏の自然を描き込んだ後だから最小限の言葉で効果が出る」といった逆の見方もできないわけではない。
この記事へのコメント
さてさて、エキサイトさんの処理能力が限界みたいで14日メンテおこなうそうですが今日の時点で自分のブログにもログインできない状態に陥っております。明日はアクセス等もできないと思いますのでご連絡まで…。またお話できる記事、私も頑張りますね!ではお元気で。
それと、
この作品が☆☆☆止まりなのは、新味不足に尽きます。とにかく、自然ドキュメンタリーは好きで、少年時代から見まくっていますから。
そんな私の目を久しぶりに覚ましたのが「ディープ・ブルー」。凄かった。構成・編集も良かった。
「WATARIDORI」は鳥好きにはたまらないものがありますが、やや作り過ぎ。
「皇帝ペンギン」は怪しからん。動物の声を人間が代弁するのは下卑た発想だと思います。ポップスを使った音楽もセンスが悪い。
>ありのままに撮ろうとしたのでは
その通りと思います。
環境問題に関して私は全く適当に言ったのですが、作者自身も「北極圏の自然を描き込めば声高に言う必要もないような気がした」と言っているようです。
確かにコメントは大事なのですが、TB自体が無言のメッセージと考えられないこともないので、私は有難く受け取っております。
完全に自己ブログ宣伝の為に貼り付けられたTBは不愉快ですが、何らかの関連がある映画の記事であれば多くの場合は残します。
私が姐さんと知り合い、そこからまた多くの方と親しくなれたのは、恐らくは無言のTBがあったからだと思います。このようにどこに縁があるか解りませんので、多少は大目に見たほうが宜しいのではないでしょうか。
逆にこちらから送るケースについては、極端に意見が分かれているような場合は、コメント付きでTBするか、TBしません。それが礼儀と思います。
そうですね。これも出会いですね。
選んでくださったわけですからね。
どうしたもんかとちょっと考えていたもんですから、ありがとうございました。
コメントなしのTBに対するTB返しが面倒臭いなら、放置すれば良いでしょう。そうするとその人はTBしなくなります。
私の場合TB返ししていたつもりのに、実際にTBが入っていなかった為に先方さんから途絶えてしまったケースがあります。彼はコメントなしでも私の記事を読んでくれていたと思うと、残念でしたね。
無言TB覗いてみて、キチンと記事かいてられるブログもあり、選んでコメント&TBすることにしました。少し面倒ですけど、これも出会いですね。お話できそうなブログもいくつか…です。