映画評「ステイ」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2005年アメリカ映画 監督マーク・フォースター
ネタバレあり
「ネバーランド」で正攻法のドラマを作ったマーク・フォースターが次に発表したのは似ても似付かぬ幻想的なスリラーである。
主人公は精神科医のユアン・マクレガー。前任者ジャニーン・ガファエロから自殺願望のある学生ライアン・ゴスリングの世話を引き継いだものの、親を殺した罪の意識から21才で自殺した画家と同じ場所で死にたいという彼の願望を留めることができない。
若者には予知能力があり、マクレガーも精査を続けるうちに同じ場面に遭遇して自身に予知能力があるように思えてきたり、死んだはずの彼の母親と話をしたりする。
何が現実で、何が幻想なのか。
結末は言わぬが花だが、「ステイ」、日本語の「行くな」に相当する題名にヒントがある。しかし、結末から溯るように考えていくと高く評価できないタイプの作品なので、そこに拘るのはつまらない。
断然注目したいのはショットや場面の悪夢的な繋ぎ方で、コンピューターを駆使した変則的オーヴァーラップや、カメラを移動すると異なる時空間になる(例えば、マクレガーと話していたゴスリングがビルの外を見ると、患者にして恋人ナオミ・ワッツと話すマクレガーがいる=上の画像)といった手法が大変面白い。
悪夢的な内容にふさわしい技巧と言って良いが、その大半がCGが利用でき、コンピューターで編集も出来る時代ならではの映像である。アナログ時代にこれに近い編集に遭遇したら狂喜乱舞する前に腰を抜かしたであろう。
それが狙いなのだから致し方ないとは言え、視線の主体が本編とプロローグ・エピローグで変わるのが映画的に弱い。しかし、詳細には書けないものの、この作品が試みた実験は興味深い。
西洋版「うつせみ」は趣きが大分違います。
2005年アメリカ映画 監督マーク・フォースター
ネタバレあり
「ネバーランド」で正攻法のドラマを作ったマーク・フォースターが次に発表したのは似ても似付かぬ幻想的なスリラーである。
主人公は精神科医のユアン・マクレガー。前任者ジャニーン・ガファエロから自殺願望のある学生ライアン・ゴスリングの世話を引き継いだものの、親を殺した罪の意識から21才で自殺した画家と同じ場所で死にたいという彼の願望を留めることができない。
若者には予知能力があり、マクレガーも精査を続けるうちに同じ場面に遭遇して自身に予知能力があるように思えてきたり、死んだはずの彼の母親と話をしたりする。
何が現実で、何が幻想なのか。
結末は言わぬが花だが、「ステイ」、日本語の「行くな」に相当する題名にヒントがある。しかし、結末から溯るように考えていくと高く評価できないタイプの作品なので、そこに拘るのはつまらない。
断然注目したいのはショットや場面の悪夢的な繋ぎ方で、コンピューターを駆使した変則的オーヴァーラップや、カメラを移動すると異なる時空間になる(例えば、マクレガーと話していたゴスリングがビルの外を見ると、患者にして恋人ナオミ・ワッツと話すマクレガーがいる=上の画像)といった手法が大変面白い。
悪夢的な内容にふさわしい技巧と言って良いが、その大半がCGが利用でき、コンピューターで編集も出来る時代ならではの映像である。アナログ時代にこれに近い編集に遭遇したら狂喜乱舞する前に腰を抜かしたであろう。
それが狙いなのだから致し方ないとは言え、視線の主体が本編とプロローグ・エピローグで変わるのが映画的に弱い。しかし、詳細には書けないものの、この作品が試みた実験は興味深い。
西洋版「うつせみ」は趣きが大分違います。
この記事へのコメント
昨日コメントを入れたのですがメンテ中で・・・笑。
わたしはミョーに納得しました。
ハマりませんけどね。
そうだったんですよ、ひどく迷惑掛けました。
物語というものは語る主体があるもの。事実だけを語るものは通常は作者であり、神と言っても良い。
幻影はそうではない。この幻影を見ていたのは一体誰でしょうか? 考えると眠れなくなっちゃう(笑)。
しまいました。^^
お話的には最初と最後を
見れば・・・チャンチャン
・・・なのですが^^
本作は
なが~~~~い真ん中を
楽しむ映画と感じました。^^
ところで
花鳥風月や大自然、
ニッポンの旅、温泉めぐり
海外の旅、名所めぐり、観光ウンタラ・・・
年齢が行けば関心・興味が
出てくるか、出てくるか、
今か、今か、と待っているのですが(笑)
ち~~~~~とも
出てきませんの~わたくし~(--)
プロフェッサー?
かなり、ヘンでしょうか、
これって?^^;
>映像
余りCGで作られた映像には惹かれないほうですが、
本作の映像はなかなか良かったなあ。
>お話的には最初と最後を見れば・・・チャンチャン
そうですね。
だから、僕も結末から話を遡ってはダメ
と申したんですねぇ。^^)v
>花鳥風月や大自然、
いんや、ヘンではないです。^^
わちきも実生活ではそうです~。
僕はモノグサですし、溢れる人を見たりその中にいるのは
嫌いなので実際に出かけようとは思わないです~。
しか~し、映画の中で各地を観るのは
映画の醍醐味の一つではないかと。^^
居ながら日本旅行、世界旅行は良いですぜ。
海外で災難に遭う可能性もない!(笑)