映画評「僕の大事なコレクション」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2005年アメリカ映画 監督リーヴ・シュライバー
ネタバレあり、観賞予定の方は避けられたし
ユダヤ系アメリカ人の作家ジョナサン・サフラン・フォアが祖父が第2次大戦初期まで祖父が暮していたウクライナに出かけた経験に基づいて綴った小説を、俳優のリーヴ・シュライバーが映画化した監督デビュー作。
ジョナサン(イライジャー・ウッド)は家族にまつわるあらゆるものを集めている変人だが、臨終の床にいる祖母から渡された祖父サフランの若い時の写真に写っている、祖父の命の恩人だという女性に恩返しをする為にウクライナのトラクムブロドという村を訪れることにし、変な英語を使うオデッサの青年アレックス(ユージーン・ハッツ)を通訳に、目が見えるのに見えない振りをしている彼の祖父(ボリス・レスキン)を運転手に、ウクライナの田舎道を進んで行く。
という中盤まではのらりくらりしたおとぼけムードで、イライジャ・ウッドは凸レンズの眼鏡を掛けて珍妙だし、ユージーン・ハッツはアメリカかぶれで軽薄な印象、盲導犬を連れているのに車の運転をする祖父はお惚け、サミー・デーヴィス・ジュニア・ジュニアと呼ばれる盲導犬は実は雌といった具合に、オフビートで多少苦みのある笑いに包まれる。
が、かつて紅涙を絞った名編「ひまわり」を思い出させる広大なひまわり畑の中にある一軒屋を訪れてからムードはがらりと変り、我々を歴史の重みに包(くる)む。ちょっと紹介しよう。
一軒家にはサフランの婚約者だった写真の娘の姉がただ一人住んでいる。何故か。60年前に彼女の村はナチスの虐殺に遭い、彼女ともう一人を除いて村人全員が殺されたのである。もう一人とは誰か。運転をする老人である。彼は助かった後ユダヤ人でないふりをして60年間過してきたのだ。
二人はおよそ60年ぶりに再会する。60年間家を守った老女は戦争が終ったことを遂に知り、老人は自分がユダヤ人であることを認める。
祖父の婚約者は何故恩人なのか、オデッサの老人にあのような行動を取らせたのは何か。
ユダヤ人である主人公即ち原作者が自らのアイデンティティを求めることは、ユダヤの悲劇を直視することである、という重みに僕は押しつぶされそうな気分になった。二つの墓で締めくくられる幕切れは痛切であり、作りは僅かにぎくしゃくしているものの、もっと注目されて良い作品ではないか。ひまわり畑だけでも観る価値はある。
「ひまわり」「屋根の上のパイオリン弾き」と併せて、ウクライナ3部作ここに完結。
2005年アメリカ映画 監督リーヴ・シュライバー
ネタバレあり、観賞予定の方は避けられたし
ユダヤ系アメリカ人の作家ジョナサン・サフラン・フォアが祖父が第2次大戦初期まで祖父が暮していたウクライナに出かけた経験に基づいて綴った小説を、俳優のリーヴ・シュライバーが映画化した監督デビュー作。
ジョナサン(イライジャー・ウッド)は家族にまつわるあらゆるものを集めている変人だが、臨終の床にいる祖母から渡された祖父サフランの若い時の写真に写っている、祖父の命の恩人だという女性に恩返しをする為にウクライナのトラクムブロドという村を訪れることにし、変な英語を使うオデッサの青年アレックス(ユージーン・ハッツ)を通訳に、目が見えるのに見えない振りをしている彼の祖父(ボリス・レスキン)を運転手に、ウクライナの田舎道を進んで行く。
という中盤まではのらりくらりしたおとぼけムードで、イライジャ・ウッドは凸レンズの眼鏡を掛けて珍妙だし、ユージーン・ハッツはアメリカかぶれで軽薄な印象、盲導犬を連れているのに車の運転をする祖父はお惚け、サミー・デーヴィス・ジュニア・ジュニアと呼ばれる盲導犬は実は雌といった具合に、オフビートで多少苦みのある笑いに包まれる。
が、かつて紅涙を絞った名編「ひまわり」を思い出させる広大なひまわり畑の中にある一軒屋を訪れてからムードはがらりと変り、我々を歴史の重みに包(くる)む。ちょっと紹介しよう。
一軒家にはサフランの婚約者だった写真の娘の姉がただ一人住んでいる。何故か。60年前に彼女の村はナチスの虐殺に遭い、彼女ともう一人を除いて村人全員が殺されたのである。もう一人とは誰か。運転をする老人である。彼は助かった後ユダヤ人でないふりをして60年間過してきたのだ。
二人はおよそ60年ぶりに再会する。60年間家を守った老女は戦争が終ったことを遂に知り、老人は自分がユダヤ人であることを認める。
祖父の婚約者は何故恩人なのか、オデッサの老人にあのような行動を取らせたのは何か。
ユダヤ人である主人公即ち原作者が自らのアイデンティティを求めることは、ユダヤの悲劇を直視することである、という重みに僕は押しつぶされそうな気分になった。二つの墓で締めくくられる幕切れは痛切であり、作りは僅かにぎくしゃくしているものの、もっと注目されて良い作品ではないか。ひまわり畑だけでも観る価値はある。
「ひまわり」「屋根の上のパイオリン弾き」と併せて、ウクライナ3部作ここに完結。


この記事へのコメント
この映画に少なからず感動しました。
子役時代のイライジャ・ウッドはほんとに可愛くて大ファンでしたよ。
ジョナサン役もおかしくて上手いですね。
ところでオカピーさんのこの「ひまわり畑の写真」ダウンロードできないでしょうか?
トラックバックした記事に貼り付けたいのです。ダメでしょうか?
写真はデジカメで撮っていらっしゃるのですか?
イライジャ・ウッドの子役時代、ついこの間のような気がしますね。
当時の「わが心のボルチモア」は大好きな作品でした。監督のバリー・レヴィンスンはこれでご贔屓に加えましたよ。
「ロード・オブ・ザ・リング」の後も色々な役柄に挑戦しているのは結構なことですね。
写真は右クリックして「名前を付けて画像を保存」を出し、右クリックして名前を付ければOKだと思います。
写真は自由にどうぞ。
HDDレコーダーをパソコンに付いているビデオキャプチャーに連結して貼付すべき場面を静止画保存しています。それから画像編集ソフトでトリミングして色の補正などして貼り付けています。手馴れたものですぐにできてしまいますよ。
おことばにあまえてしまいました。本当にありがとうございます!
画像保存はHDDレコーダーとビデオキャプチャーが必要なんですね。
少し勉強しないと・・・。
この頃、TVでもリアルタイムで映画をみる癖がついてしまって、見過ごす場面やら理解できない事柄などあります。内容が難しい映画もあるので録画してくり返して見るべきですね。反省・・。
昨日「ダイハード4.0」をシネコンで観てきました。52歳のブルース・ウィリス大活躍!そしてウィンブルシートをはじめて体験しました。プラス200円ですがあってもなくてもいいものですけどね。(^^ゞ
他にも方法があるかもしれませんが、とりあえず一般的な方法ではないかと思います。
映画は一回で勝負という考え方もあるので、一概にどちらが良いとは言えませんね。
最近はブログに画像を貼り付けることが増えたので、めぼしい作品は生で観る作品も録画したりします。ご苦労様です(笑)。
>ウィンブルシート
30年以上も前の「大地震」で椅子が揺れたことがあり、これと似たようなものでしょうか。昔匂いが出る映画もあったような?