映画評「迷い婚-すべての迷える女性たちへ-」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2005年アメリカ映画 監督ロブ・ライナー
ネタバレあり

「卒業」を観たことがある人なら楽しめる可能性の高いロマンティック・コメディーである。

新聞の死亡欄担当のジェニファー・アニストンが恋人マーク・ラファロのプロポーズを受け入れるが、完全に踏ん切りがつかない。
 妹の結婚式に参加する為に西海岸の故郷パサディナに戻った時に、映画「卒業」が地元を舞台にしているという噂を耳にする。両親の結婚から9ヶ月後に生まれたことに不審を抱いた彼女は結婚前に母親の取った行動を知ると、「卒業」のモデルは自分の祖母シャーリー・マクレーンと母親ではないかと疑い、父親かもしれない主人公べン(ダスティン・ホフマン)に相当する人物ケヴィン・コスナーの許へ事情を聴きに行く。
 彼が無精子症で子供を作れない立場と聞くと、その安心と酔いから思わずベッドイン、翌日良いムードのところへラファロ君が登場して激昂してしまう。

画像

面白いのは、「卒業」のベースとなったお話が映画や原作の通りではなく実は母親が本来の婚約者の者へ戻っていたという発想から始まり、コスナーが祖母、母、娘の三人と懇ろになるというおふざけの中に、ジェニファーが中年男と親しくなるという、「卒業」とは逆の関係をリピートしてしまう皮肉を挟んだことである。彼に息子がいたことから「すは、近親相姦?」という状況になったりするのも可笑しい。

単に結婚に迷ったり、マリッジ・ブルーになるお話をこしらえて貰っても退屈するだけだが、この一連のアイデアによって世間の評価以上に興趣が生まれたのは確かで、テッド・グリフィンの脚本には努力賞を進呈したい。

ロブ・ライナーの演出も手慣れたものだが、ロマンティック・コメディーとしては配役が些か地味で絵的にTVドラマのような印象を残す。TVでは人気者でもジェニファー嬢は華美を欠き、この類の映画には欠かせないシャーリー・マクレーンの出番がちょっと少ない。コスナーは決して上手くはないが、周りが地味なので相対的に魅力があるように思えてくる、といった具合で、「イン・ハー・シューズ」のように役者のアンサンブルで楽しませるというところまでは行かず。

終盤の父親リチャード・ジェンキンズの「ゆっくり運転するのはお前(娘)を乗せている時だけだ」という言葉はなかなか泣かせます。

生まれて初めて読了した原語本はチャールズ・ウェッブの「卒業」でした。

この記事へのコメント

2007年09月14日 19:36
邦題=書店によくある女性向き人生啓発書名みたいです。(笑)

あの「卒業」を観た方なら
・・・あら、そうだったの!ふんふん・・・なんて言いながら
楽しめる要素はちりばめられておりましたね。

>配役が些か地味で絵的にTVドラマのような

ですね~。^^;
でもロブ・ライナーの語り口がうまいので
最後まで楽しみました。

>コスナー
「フィールド・オブ・ドリームス」「ダンス・ウイズ・ウルブス」
「追いつめられて」「リベンジ」・・・好きでしたけどね~。
ほんと、カッコ良く見せてはいましたが、
急に華がなくなりましたね、彼は。
例えが生活感丸出しで恐縮ですが、北海道人の好きな、
「ホッケの開き」あるでしょ。
それも特売のまるであぶらのノッてないホッケ、みたい。^^;
オカピー
2007年09月15日 02:26
viva jijiさん、こんばんは♪

「卒業」そのままではないというのが捻りでしてね。そうしないと、三代制覇はできない。(爆)

ジェニファー・アニストンはどうもTV臭の強い女優で、なかなか達者ですが、画面が安くなってしまうのがいかんともしがたい。
周辺もやはり達者なんですが、地味なものは地味。シャーリーの出番は意外と少ないし、コスナー氏が出てくるまでは「もっと映画らしくしてくれ~」と叫んでおりました。

>コスナー
出来の悪い大作が続いたのが原因ですかねえ。全く不評だった「ポストマン」は意外と楽しめましたが、「ウォーターワールド」はほんまにつまらんかった。
「13デイズ」と「ラブ・オブ・ザ・ゲーム」はお気に入り。彼は政治関係と野球選手をやらせると良い、といったところでしょ?

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