映画評「ブラウン夫人のひめごと」
☆☆(4点/10点満点中)=悪条件につき暫定
2002年フランス映画 監督ローラン・ブーニク
ネタバレあり
BS日テレ放映による鑑賞。
無料放送の最大の弱点はCMによる中断である。まして中断を前提としていない映画の場合、CMによる中断は放送時間に合わせる為の本編カットより罪が大きいと言っても過言ではない。まして、本作のように現在・過去・大過去を大胆に交錯させて語る、流れが寸断しがちなタイプの作品では、気が散って仕方がない。その為にこの放映版での評価はこんなものである。
歴史小説で有名なオーストリアの作家シュテファン・ツヴァイクの「女の一生の中の24時間」を重層的に作り直したドラマ。監督は日本初お目見えのローラン・ブーニク。
恐らくは第1次大戦中のリヴィエラ、英国軍人の未亡人であるブラウン夫人(アニエス・ジャウィ)が、ポーランド貴族ながら賭博地獄に落ち込んでいたアントン(ニコライ・コスター=ワルドー)を救おうとして恋に落ちるが、賭博を止めるという男の誓いはたった24時間で破られてしまう。
というのが本筋で、母親に失踪されて動揺するルイ少年(クレマン・ヴァン・デン・ベルグ)に20年後のブラウン夫人がその話を聞かせて落ち着かせる。少年は母親と同じくらいの年齢の彼女に思慕を情を寄せるが、勿論何の発展があるものではない。
という話を、その65年後大使となるものの人生に絶望するルイ(ミシェル・セロー)が真実の愛を求めて苦しむ少女オリヴィア(フランシス・バーバー)に語る。
まず序盤の短いショットの解りにくい組合せに閉口するが、徐々に落ち着きが出てくる。
ブラウン夫人の若い日の恋は情熱と破滅性が入り混じり、クラシックな衣装によりムード満点で充実しているものの、時系列が入り組んでいる為にじっくり堪能している間がないのが惜しい。
現在の部分は知り合うことで二人が互いに救われるという主題となっているわけだが、中を繋ぐ少年時代の描写が薄い。扱い次第では「ベニスに死す」のような耽美的なムードも出せたと思うのだが。
さらに、そうでなくても連続性に欠けるお話がCMによりまるでばらばらになってしまうのだから、承知して観たとは言え、怒りたくもなる。作者に申し訳ないとしか言いようがない。
夢の中の夢の如し。
2002年フランス映画 監督ローラン・ブーニク
ネタバレあり
BS日テレ放映による鑑賞。
無料放送の最大の弱点はCMによる中断である。まして中断を前提としていない映画の場合、CMによる中断は放送時間に合わせる為の本編カットより罪が大きいと言っても過言ではない。まして、本作のように現在・過去・大過去を大胆に交錯させて語る、流れが寸断しがちなタイプの作品では、気が散って仕方がない。その為にこの放映版での評価はこんなものである。
歴史小説で有名なオーストリアの作家シュテファン・ツヴァイクの「女の一生の中の24時間」を重層的に作り直したドラマ。監督は日本初お目見えのローラン・ブーニク。
恐らくは第1次大戦中のリヴィエラ、英国軍人の未亡人であるブラウン夫人(アニエス・ジャウィ)が、ポーランド貴族ながら賭博地獄に落ち込んでいたアントン(ニコライ・コスター=ワルドー)を救おうとして恋に落ちるが、賭博を止めるという男の誓いはたった24時間で破られてしまう。
というのが本筋で、母親に失踪されて動揺するルイ少年(クレマン・ヴァン・デン・ベルグ)に20年後のブラウン夫人がその話を聞かせて落ち着かせる。少年は母親と同じくらいの年齢の彼女に思慕を情を寄せるが、勿論何の発展があるものではない。
という話を、その65年後大使となるものの人生に絶望するルイ(ミシェル・セロー)が真実の愛を求めて苦しむ少女オリヴィア(フランシス・バーバー)に語る。
まず序盤の短いショットの解りにくい組合せに閉口するが、徐々に落ち着きが出てくる。
ブラウン夫人の若い日の恋は情熱と破滅性が入り混じり、クラシックな衣装によりムード満点で充実しているものの、時系列が入り組んでいる為にじっくり堪能している間がないのが惜しい。
現在の部分は知り合うことで二人が互いに救われるという主題となっているわけだが、中を繋ぐ少年時代の描写が薄い。扱い次第では「ベニスに死す」のような耽美的なムードも出せたと思うのだが。
さらに、そうでなくても連続性に欠けるお話がCMによりまるでばらばらになってしまうのだから、承知して観たとは言え、怒りたくもなる。作者に申し訳ないとしか言いようがない。
夢の中の夢の如し。
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