映画評「マイアミ・バイス」
☆☆★(5点/10点満点中)
2006年アメリカ映画 監督マイケル・マン
ネタバレあり
1980年代半ばにアメリカで人気を呼んだ同名TVシリーズのリメイク的映画化。ほぼ平行して日本でも観られたが、70年代半ば以降TVドラマは洋の東西を問わず観ていないので、オリジナルとの比較は全く出来ない。
情報屋の家族が殺された事件から麻薬密輸組織に関する合同捜査が行き詰ったとの報を得たマイアミ警察のコリン・ファレルとジェイミー・フォックスが、それを打開する為に自ら組織に潜入していく。
マイケル・マンは映像に粘りがあり、直線的な展開の中にパワーを感じるので、高く評価している監督なのだが、粘りやパワーのある印象は余り変わらないものの、その特徴が本作ではマイナスにしか働いていないような印象を覚える。
実は演出の問題ではなく、ストーリー構成の問題で、捜査ものなのにファレルと組織側の美人コン・リーとのラブ・シーンばかり盛り込み、展開に要領を得ないのである。
恋愛に犯罪を絡めるのは良いが、組織捜査ものに恋愛を絡めるのはセンスがないと言うしかない。手持ちカメラを駆使した粘っこいドキュメンタリー・タッチがラブ・シーンに寄り道する展開をさらに鈍重にし、出てくるのは眠気か失望の溜息ばかり。或いは、脚本も書いているマンにはハードボイルド映画的な狙いがあったのかもしれないが完全に不発に終った。
僅かに最後の銃撃戦に実力者マンの片鱗が見出せる。
コリンとコン・リーのラブ・シーン、何だかややこしい。
2006年アメリカ映画 監督マイケル・マン
ネタバレあり
1980年代半ばにアメリカで人気を呼んだ同名TVシリーズのリメイク的映画化。ほぼ平行して日本でも観られたが、70年代半ば以降TVドラマは洋の東西を問わず観ていないので、オリジナルとの比較は全く出来ない。
情報屋の家族が殺された事件から麻薬密輸組織に関する合同捜査が行き詰ったとの報を得たマイアミ警察のコリン・ファレルとジェイミー・フォックスが、それを打開する為に自ら組織に潜入していく。
マイケル・マンは映像に粘りがあり、直線的な展開の中にパワーを感じるので、高く評価している監督なのだが、粘りやパワーのある印象は余り変わらないものの、その特徴が本作ではマイナスにしか働いていないような印象を覚える。
実は演出の問題ではなく、ストーリー構成の問題で、捜査ものなのにファレルと組織側の美人コン・リーとのラブ・シーンばかり盛り込み、展開に要領を得ないのである。
恋愛に犯罪を絡めるのは良いが、組織捜査ものに恋愛を絡めるのはセンスがないと言うしかない。手持ちカメラを駆使した粘っこいドキュメンタリー・タッチがラブ・シーンに寄り道する展開をさらに鈍重にし、出てくるのは眠気か失望の溜息ばかり。或いは、脚本も書いているマンにはハードボイルド映画的な狙いがあったのかもしれないが完全に不発に終った。
僅かに最後の銃撃戦に実力者マンの片鱗が見出せる。
コリンとコン・リーのラブ・シーン、何だかややこしい。
この記事へのコメント
本作の“破綻”再度、確認いたしましたわ。
俳優&演技が気にかかる私からしますと、やはり
マンのテイストにはこの3人はミス・キャストだったと
思います。
「ヒート」でのパチーノやデ・ニーロ、あのチンピラ・
キルマーでさえ、対女性との絡みはあっさりめでありながら
キチンと印象つけているのに、マンのお家芸のマイアミ・
バイスのはずなのに、プロフェッサーがおっしゃる通り
やたらに不必要な粘るラヴシーン・・・
(そこまでに至る必然ラヴの高揚も何も感じさせないでね・笑)
粘るのは「夜の大都会の映像美と硬質な銃撃戦」だけに
して欲しかったわね。^^;
マイケル・マンはこんなに手持ちカメラに拘る人だったかな、というのが観ている時の印象で、自然光を重視したようなパッとしない絵づらで、目を凝らしているうちに、見事に眠気が出て参りまして困りました。
つまらないのは眠気のせいかと思ったりもしましたが、だらだらした印象は皆様もお持ちのようで、安心致しました。(笑)
組織捜査もののラヴ・シーンは形式と相場が決まっているのに、裏をかいたのか知りまへんが、それを眼目にしてしまったみたい。
「コラテラル」みたいにきっちりしたのを期待した私が馬鹿だったのかい?
いや、マンさん、私はまだ見捨てていないよ。^^