映画評「野良猫ロック 暴走集団’71」
☆☆☆(6点/10点満点中)
1971年日本映画 監督・藤田敏八
ネタバレあり
シリーズ最終第5作。監督は第2作の藤田敏八である。
新宿のフーテン族の仲間となっていた実業家・稲葉義男の御曹司・地井武男が親衛隊風グループの襲撃に遭い、父親の許に連れ戻される。
恋人の梶芽衣子は彼の反撃時に起こした殺人の身代わりとして鑑別所に送られるが、脱走して彼のいる町へ旅に出る。
原田芳雄を筆頭とするフーテンたちが後を追い、口封じの為に実業家の屋敷に監禁された彼女を救出しようと騒ぎを起こし、やがて連中の逃げ込んだ廃坑地は銃弾とダイナマイトが飛びかう戦場に変わっていく。
本シリーズは日本であって日本ではない、無国籍映画としての魅力に溢れていたと言って良いと思うが、本作の羽目の外し方はシリーズ随一、西部ショー用に改造された廃坑でのアクションは正にマカロニ・ウェスタンを観るが如し。
いずれも反体制的ではあるが、藤田シリーズのほうが直接的に体制に抵抗する姿を描き、大学闘争末期のムードが強く反映されている。アクションの見せ方が面白い長谷部シリーズに対し、藤田シリーズの物語における面白さの所以である。
幕切れの荒唐無稽さは言うまでもなく、モップスが突然現れロック版「ええじゃないか」を披露するシュールな展開が作者たちの無力感から生ずるやけくそ気味の気分を象徴しているように感じられ、興味深い。
60年代後半から70年代にかけて邦画は喜劇映画を別にすると、陰湿な映画が大半を占めていたような記憶があるが、本シリーズはそんな時代にあって暴力をテーマにしながらも能天気な明るさも持ち合わせ、予想外の面白さに満ちたシリーズだったと評価できるのではないか。
1971年日本映画 監督・藤田敏八
ネタバレあり
シリーズ最終第5作。監督は第2作の藤田敏八である。
新宿のフーテン族の仲間となっていた実業家・稲葉義男の御曹司・地井武男が親衛隊風グループの襲撃に遭い、父親の許に連れ戻される。
恋人の梶芽衣子は彼の反撃時に起こした殺人の身代わりとして鑑別所に送られるが、脱走して彼のいる町へ旅に出る。
原田芳雄を筆頭とするフーテンたちが後を追い、口封じの為に実業家の屋敷に監禁された彼女を救出しようと騒ぎを起こし、やがて連中の逃げ込んだ廃坑地は銃弾とダイナマイトが飛びかう戦場に変わっていく。
本シリーズは日本であって日本ではない、無国籍映画としての魅力に溢れていたと言って良いと思うが、本作の羽目の外し方はシリーズ随一、西部ショー用に改造された廃坑でのアクションは正にマカロニ・ウェスタンを観るが如し。
いずれも反体制的ではあるが、藤田シリーズのほうが直接的に体制に抵抗する姿を描き、大学闘争末期のムードが強く反映されている。アクションの見せ方が面白い長谷部シリーズに対し、藤田シリーズの物語における面白さの所以である。
幕切れの荒唐無稽さは言うまでもなく、モップスが突然現れロック版「ええじゃないか」を披露するシュールな展開が作者たちの無力感から生ずるやけくそ気味の気分を象徴しているように感じられ、興味深い。
60年代後半から70年代にかけて邦画は喜劇映画を別にすると、陰湿な映画が大半を占めていたような記憶があるが、本シリーズはそんな時代にあって暴力をテーマにしながらも能天気な明るさも持ち合わせ、予想外の面白さに満ちたシリーズだったと評価できるのではないか。
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