映画評「キング・コング」
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2005年アメリカ=ニュージーランド映画 監督ピーター・ジャクスン
ネタバレあり
1933年にメリアン・C・クーパーが作った「キング・コング」は、76年に舞台を現在にシフトしてリメイクされ、CGの最盛を迎えた2005年当然のように二度目のリメイクが「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズですっかり大作作家となった感のあるピーター・ジャクスンにより行われた。彼の念願だったようである。
フェイ・レイがクーパーの映画(即ち「キング・コング」)に出ているという台詞があるので、舞台は1933年。
映画会社に企画をつぶされた映画監督デナム(ジャック・ブラック)がフィルムを持ち逃げ、撮影隊と街で拾った失業女優アン・ダロウ(ナオミ・ワッツ)とを猛獣運搬船に乗せて、撮影の為にどこにあるとも知れぬ骸骨島に向かう。
というのが発端であるが、とにかく彼らが最初のピンチを迎えるまでに70分も掛かっている。今回観たのは劇場公開版より13分長い201分特別版だが、バランスの問題ではなく絶対時間的に長すぎる。伏線のばらまきやムード醸成に役立っているものの、さすがに冗長と言わざるを得ない。
しかし、原住民にアンが島の守護神らしいキング・コングへの人身御供の為に誘拐されてからは、息をつかせぬサスペンスの連続となる。
暫くはコングより中・古生代の生物御一行様がお楽しみ(笑)。「ジュラシック・パーク」というよりは「ロスト・ワールド」の世界で、アパトサウルス(ブロントサウルスはアパトサウルスのでっちあげと判明している)やティラノサウルスを始めとする恐竜類は勿論、ゴキブリ、ムカデ、ヒル、サソリなどの超大型版が矢継ぎ早にげっぷが出るほど見せられる。余りにこちらに力が入っているので、コングの場面が見劣りするのではないかと心配になるほどである。
すっかりアンに夢中になったコングが悪役ティラノサウルスを退ける為に奮闘する場面がやっと出てきて安心したが、この後のコングの態度が「男は好きな女には冷たいふりをするもの」という船上のセリフを実践していて微笑ましい。
さて、一行は少なからぬ犠牲者を出した挙句にクロロフォルムで眠らせたコングをニューヨークへ連れ帰り見世物にするが、コングは鎖を引きちぎって劇場から街へ繰り出すと、アンを連れてエンパイア・ステート・ビルの頂上に逃げ、結局複葉機の波状攻撃に墜落してしまう。
お話の構成はオリジナルと殆ど同じだが、島での見せ場はCG時代故に相当長尺になっている。コングはCGとアンディー・サーキス(料理長としても出演)によるモーション・キャプチャーの併用のようで、不満を洩らす方もいらっしゃるが、僕は十分満足した。問題があるとしたらCGそのものではなく、合成ではないかと思う。質感を合わせる難しさはSFXでもVFXでも基本的に同じ。
70年前に戻ったようですなあ。いや、さすがに生まれていませんが。
2005年アメリカ=ニュージーランド映画 監督ピーター・ジャクスン
ネタバレあり
1933年にメリアン・C・クーパーが作った「キング・コング」は、76年に舞台を現在にシフトしてリメイクされ、CGの最盛を迎えた2005年当然のように二度目のリメイクが「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズですっかり大作作家となった感のあるピーター・ジャクスンにより行われた。彼の念願だったようである。
フェイ・レイがクーパーの映画(即ち「キング・コング」)に出ているという台詞があるので、舞台は1933年。
映画会社に企画をつぶされた映画監督デナム(ジャック・ブラック)がフィルムを持ち逃げ、撮影隊と街で拾った失業女優アン・ダロウ(ナオミ・ワッツ)とを猛獣運搬船に乗せて、撮影の為にどこにあるとも知れぬ骸骨島に向かう。
というのが発端であるが、とにかく彼らが最初のピンチを迎えるまでに70分も掛かっている。今回観たのは劇場公開版より13分長い201分特別版だが、バランスの問題ではなく絶対時間的に長すぎる。伏線のばらまきやムード醸成に役立っているものの、さすがに冗長と言わざるを得ない。
しかし、原住民にアンが島の守護神らしいキング・コングへの人身御供の為に誘拐されてからは、息をつかせぬサスペンスの連続となる。
暫くはコングより中・古生代の生物御一行様がお楽しみ(笑)。「ジュラシック・パーク」というよりは「ロスト・ワールド」の世界で、アパトサウルス(ブロントサウルスはアパトサウルスのでっちあげと判明している)やティラノサウルスを始めとする恐竜類は勿論、ゴキブリ、ムカデ、ヒル、サソリなどの超大型版が矢継ぎ早にげっぷが出るほど見せられる。余りにこちらに力が入っているので、コングの場面が見劣りするのではないかと心配になるほどである。
すっかりアンに夢中になったコングが悪役ティラノサウルスを退ける為に奮闘する場面がやっと出てきて安心したが、この後のコングの態度が「男は好きな女には冷たいふりをするもの」という船上のセリフを実践していて微笑ましい。
さて、一行は少なからぬ犠牲者を出した挙句にクロロフォルムで眠らせたコングをニューヨークへ連れ帰り見世物にするが、コングは鎖を引きちぎって劇場から街へ繰り出すと、アンを連れてエンパイア・ステート・ビルの頂上に逃げ、結局複葉機の波状攻撃に墜落してしまう。
お話の構成はオリジナルと殆ど同じだが、島での見せ場はCG時代故に相当長尺になっている。コングはCGとアンディー・サーキス(料理長としても出演)によるモーション・キャプチャーの併用のようで、不満を洩らす方もいらっしゃるが、僕は十分満足した。問題があるとしたらCGそのものではなく、合成ではないかと思う。質感を合わせる難しさはSFXでもVFXでも基本的に同じ。
70年前に戻ったようですなあ。いや、さすがに生まれていませんが。
この記事へのコメント
8点ですね!もちろんマイナス2点は「長さ」これにつきますよね。こどもたちと一緒に観賞したのですが、前半シーンはやはり退屈そうでした。次男はこれから面白くなるという島上陸から怖いおばあさんのアップでびびりまくり眠ってしまったという・・(笑)
まあ、わたしは髑髏島の素晴らしいシーンをすみずみ観賞できてよかったのですが・・・
長男は終始すごいすごいと食い入るように観てました(^^)
もうね、ピーター・ジャクソン監督の映画愛はこれでもか!っと伝わってくるようでしたね。
僕はこの映画を観て監督になろうと思ったのだなというのがくどいくらいにね。(苦笑)
キング・コングを前にショーをくりひろげるナオミ・ワッツの演技に新鮮さを覚えました。かなり運動神経よさそうですよね、彼女。
させていただきました。
冗長?ほいほい、思い出しました、記事中では
触れておりませんが劇場鑑賞時はそう思いましたね。
で~~~も、あの気味悪い島へ着いてからの
怒涛の展開はまさにこういう手合いの活劇の
ワクワク・ドキドキ感のアドレナリン出まくり状態♪
マイPCカムバックで、いつもの映画おばさん生活にも
戻りまして、これからもよろしくでございます。^^
>8点
事実上大満足という意味でございます。(笑)
髑髏島でのあの巨大生物御一行様のご活躍も、コングの出番とのバランスを考えるともう少し少なくても良いと思わないこともないのですが。
しかし、大ムカデ、大ナマコ、気味悪いでんな。CGに頼るのは嫌いですが、あの気味悪さはCGでなければ無理です、はい。
>ナオミ・ワッツ
容貌的には大変好きな女優です~。
とにかくコングの機嫌を損ねまいと必死でした。コングも3歳児みたいにやんちゃで、なかなか面白い場面でしたね。
それは誠にめでたい限りでござります。^^
>冗長
劇場公開版より13分長いということなのですが、或いはこの前半ですかねえ? 色々仕込んでいるのは私も大人ですから解りますが、正直ちょっと眠くなりました。
>アドレナリン
はいはい、映画館で観たかったですばい。
しかし、昨今のTVの性能は物凄くて、いやはや10年前には、まして子供時代には想像もつかなかった映像が観られます。
なかなかWOWOWに出てこないのにイライラしましたが、ハイビジョンはやはり凄いと思った次第。
こちらこそ宜しくお頼み申します。^^
「キングコング・哀愁場面集」「ナオミワッツお色気場面集」「中・古世代生物CG・設定資料集」それぞれが、発売されても、僕は買いたい!(笑)
僕も結構気に入りましたが、kimionさんは随分お気に召したらしいですね。
ナオミ・ワッツが好みなのも楽しめた理由の一つですが、実は子供時代から中古生代の生物や恐竜が好きでして。
しかし、余りこちらに力を入れてはコングの場面が見劣りしかねないので「程々にね」と思いながら観ておりました。(笑)