映画評「大怪獣ガメラ」
☆☆(4点/10点満点中)
1965年日本映画 監督・湯浅憲明
ネタバレあり
映画マニアとしては恥ずかしいことに、ガメラ昭和シリーズを見るのは本作が初めてである。パース(めんこ)の絵柄になっていた記憶があるだけ。勿論シリーズ第1作。
北極海上で原爆を積んだ国籍不明の飛行機が撃墜された為に搭載された原爆が爆発、氷に閉じ込められていたカメに似た大怪獣ガメラが蘇る。
世界各地で空飛ぶ円盤が目撃された後、ガメラが北海道に突然出現、灯台を壊すが、灯台守の息子・内田喜郎君を助けて姿を消す。
今度は地熱発電所に現れたガメラを生物学者・船越英二に指導された自衛隊が冷凍作戦でひっくり返すものの、ガメラは手足の穴から噴射して回転しながら(即ち空飛ぶ円盤はガメラなり)飛び去ると南下して東京に現れ、人類側は米ソ日で進めている大プロジェクト【Z計画】を敢行してガメラを火星へと運ぶ去る。
「ゴジラ」程ではないにしても第1作だからもう少し面白味のあるお話かと思いきや、一昨日観た「小さき勇者たち~ガメラ~」のほうが余程楽しめたというのが正直なところ。
カメが大好きな少年には前述作と共通する部分もすくなくないが、こちらの少年は建設的な活躍をせず、大人たちの邪魔をする為に出てくるようなものである。ガメラの立場が全然違うので一概には批判できませんがね。
一方、肝心の大人たちも全く大したことがない。
序盤原爆が見える位置で爆発しても「放射能の影響はない」などと能天気で、発電所の場面でも軽々に「原爆ミサイルの用意ができました」と発言する隊員が出てくる。さすがにこれは実現しないが、攻撃を加えることでガメラがエネルギーを好むと判るのは良いとしても、冷凍作戦プラスαとは余りに知恵が足りないのではございますまいか。
Z計画遂行の場面では、台風の影響で火が消えた後こっそり乗り込んでいた新聞記者が建物などに火を放ってもそれが熱を好むガメラを誘き寄せる作戦と気付かない船越博士と自衛隊員たちは間が抜けていることこの上ない。ロケットが飛んだら即ち大成功の扱いで、それまではむくれていた少年がそれを見て「大きくなったら科学者になって火星へ行きガメラに会いたい」と豹変、誠に恐れ入るお話でござる。
また、船越博士のアシスタントに扮する霧立はるみは全く色添えの域を出ない。
本作ではガメラは悪役というよりは恐怖の対象なので火星へ飛ばされて終わり。これだけではシリーズ化が前提になっていたかどうかは解りかねるが、作者たちがシリーズ化を前提としていたのなら、登場人物たちが右往左往するだけのつまらなさも多少は擁護できる。つまり、ガメラ紹介編というわけで、イントロダクションは退屈を免れないことが多いのである。
特撮は当時の東宝映画に大分及ばぬものの、回転するガメラだけは大変恰好が宜しい。
その昔「血を吸うカメラ」という恐怖映画がありましたが、こちらは「火を吸うガメラ」ですな。
1965年日本映画 監督・湯浅憲明
ネタバレあり
映画マニアとしては恥ずかしいことに、ガメラ昭和シリーズを見るのは本作が初めてである。パース(めんこ)の絵柄になっていた記憶があるだけ。勿論シリーズ第1作。
北極海上で原爆を積んだ国籍不明の飛行機が撃墜された為に搭載された原爆が爆発、氷に閉じ込められていたカメに似た大怪獣ガメラが蘇る。
世界各地で空飛ぶ円盤が目撃された後、ガメラが北海道に突然出現、灯台を壊すが、灯台守の息子・内田喜郎君を助けて姿を消す。
今度は地熱発電所に現れたガメラを生物学者・船越英二に指導された自衛隊が冷凍作戦でひっくり返すものの、ガメラは手足の穴から噴射して回転しながら(即ち空飛ぶ円盤はガメラなり)飛び去ると南下して東京に現れ、人類側は米ソ日で進めている大プロジェクト【Z計画】を敢行してガメラを火星へと運ぶ去る。
「ゴジラ」程ではないにしても第1作だからもう少し面白味のあるお話かと思いきや、一昨日観た「小さき勇者たち~ガメラ~」のほうが余程楽しめたというのが正直なところ。
カメが大好きな少年には前述作と共通する部分もすくなくないが、こちらの少年は建設的な活躍をせず、大人たちの邪魔をする為に出てくるようなものである。ガメラの立場が全然違うので一概には批判できませんがね。
一方、肝心の大人たちも全く大したことがない。
序盤原爆が見える位置で爆発しても「放射能の影響はない」などと能天気で、発電所の場面でも軽々に「原爆ミサイルの用意ができました」と発言する隊員が出てくる。さすがにこれは実現しないが、攻撃を加えることでガメラがエネルギーを好むと判るのは良いとしても、冷凍作戦プラスαとは余りに知恵が足りないのではございますまいか。
Z計画遂行の場面では、台風の影響で火が消えた後こっそり乗り込んでいた新聞記者が建物などに火を放ってもそれが熱を好むガメラを誘き寄せる作戦と気付かない船越博士と自衛隊員たちは間が抜けていることこの上ない。ロケットが飛んだら即ち大成功の扱いで、それまではむくれていた少年がそれを見て「大きくなったら科学者になって火星へ行きガメラに会いたい」と豹変、誠に恐れ入るお話でござる。
また、船越博士のアシスタントに扮する霧立はるみは全く色添えの域を出ない。
本作ではガメラは悪役というよりは恐怖の対象なので火星へ飛ばされて終わり。これだけではシリーズ化が前提になっていたかどうかは解りかねるが、作者たちがシリーズ化を前提としていたのなら、登場人物たちが右往左往するだけのつまらなさも多少は擁護できる。つまり、ガメラ紹介編というわけで、イントロダクションは退屈を免れないことが多いのである。
特撮は当時の東宝映画に大分及ばぬものの、回転するガメラだけは大変恰好が宜しい。
その昔「血を吸うカメラ」という恐怖映画がありましたが、こちらは「火を吸うガメラ」ですな。
この記事へのコメント
ほんとうにトホホな感じで、吉本新喜劇のようなボケが満載の本編には引っくり返りそうになりました。
平成版では自衛隊の活躍も盛り込まれていて見応えがあるのですが、昭和版の本編はキツイですね。ただ子供向けという姿勢ははっきりしているだけマシでしょうか。
ではまた
「ウルトラQ」「ウルトラマン」は真面目に観た世代ですが、その時代には映画館に行きませんでしたし、中学になると一般映画に移ってしまい、寧ろ成人になってから怪獣映画は見始めたほうです。
>ボケ
きちんと観る力を持った人々を除けば、昔の人々は純朴でしたから子供は勿論大人も殆ど喜劇と言えそうなものを「変だ」とも思わずに観ていたんですよね。
「吸血ゴケミドロ」もそうですが、決して喜劇として作ったわけにあらず。内容は変わっていないが人間が変わったんですよね。