映画評「サイレントヒル」
☆☆★(5点/10点満点中)
2006年アメリカ=日本=カナダ=フランス映画 監督クリストフ・ガンズ
ネタバレあり
僕がやったことがあるコンピューターのゲームと言えば、トランプのフリーセルくらい。大学時代に流行したインベーダー・ゲームもしたことがなく、現在人気のアドヴェンチャー・ゲームの類には全く興味がない。
実物のゲームと映画への関心とは全く関係ないわけだが、「バイオハザード」第1作がまずまずと思えた程度で、ゲームの映画化で面白いと思った作品はこれまで一本もない。オリジナルのホラー映画と思って見始めた本作も途中でそれらしい雰囲気が出てきたので鑑賞後調べてみたらやはりゲームの映画化だそうな。
夢遊病の9歳になる娘ジョデル・フェルランドが時に口走る地名「サイレントヒル」に病気を治すヒントがあると思って娘と共に同地を目指すラダー・ミッチェルは、その町が30年前に大火災で廃墟になり現在も地下火災の為に近寄れないことを知るが、白バイに追われるにまかせて通行止めを突破してしまう。
街の端で起こした事故で気を失っている間に娘は姿を消し、彼女を追って街を彷徨っていると、サイレンが鳴って正体不明の怪物に襲撃される。その頃夫ショーン・ビーンは二人を懸命に探していた。
この序盤の展開で僕は「千と千尋の神隠し」を思い出したが、果せるかな、どうもこれはパラレル・ワールドと思ったほうが辻褄が合うと思える展開となっていく。
フランスから招聘された監督クリストフ・ガンズと撮影監督ダン・ロートセンのコンビがフランスで撮った「ジェヴォーダンの獣」同様に、素晴らしい美術と相まって、灰でくすんだ街を捉えた撮影が大変美しい。残念ながらものものしいだけで大して面白くないのも同じ。
終盤は30年前に残酷な仕打ちを受けたジョデル嬢そっくりの娘の復讐が教会を舞台にホロコーストよろしく大々的に繰り広げられるわけだが、ここに至ってやっと退屈感から脱却できる。70年代のB級怪奇映画の生贄場面みたいな暗黒ムードも面白く、最後の20分で☆一つがとこ稼いだ。
母が娘を思う映画としては邦画「仄暗い水の底から」に及ばず、寧ろ、他人を悪魔と名指す自称信心家の悪魔性にドキッとする。
2006年アメリカ=日本=カナダ=フランス映画 監督クリストフ・ガンズ
ネタバレあり
僕がやったことがあるコンピューターのゲームと言えば、トランプのフリーセルくらい。大学時代に流行したインベーダー・ゲームもしたことがなく、現在人気のアドヴェンチャー・ゲームの類には全く興味がない。
実物のゲームと映画への関心とは全く関係ないわけだが、「バイオハザード」第1作がまずまずと思えた程度で、ゲームの映画化で面白いと思った作品はこれまで一本もない。オリジナルのホラー映画と思って見始めた本作も途中でそれらしい雰囲気が出てきたので鑑賞後調べてみたらやはりゲームの映画化だそうな。
夢遊病の9歳になる娘ジョデル・フェルランドが時に口走る地名「サイレントヒル」に病気を治すヒントがあると思って娘と共に同地を目指すラダー・ミッチェルは、その町が30年前に大火災で廃墟になり現在も地下火災の為に近寄れないことを知るが、白バイに追われるにまかせて通行止めを突破してしまう。
街の端で起こした事故で気を失っている間に娘は姿を消し、彼女を追って街を彷徨っていると、サイレンが鳴って正体不明の怪物に襲撃される。その頃夫ショーン・ビーンは二人を懸命に探していた。
この序盤の展開で僕は「千と千尋の神隠し」を思い出したが、果せるかな、どうもこれはパラレル・ワールドと思ったほうが辻褄が合うと思える展開となっていく。
フランスから招聘された監督クリストフ・ガンズと撮影監督ダン・ロートセンのコンビがフランスで撮った「ジェヴォーダンの獣」同様に、素晴らしい美術と相まって、灰でくすんだ街を捉えた撮影が大変美しい。残念ながらものものしいだけで大して面白くないのも同じ。
終盤は30年前に残酷な仕打ちを受けたジョデル嬢そっくりの娘の復讐が教会を舞台にホロコーストよろしく大々的に繰り広げられるわけだが、ここに至ってやっと退屈感から脱却できる。70年代のB級怪奇映画の生贄場面みたいな暗黒ムードも面白く、最後の20分で☆一つがとこ稼いだ。
母が娘を思う映画としては邦画「仄暗い水の底から」に及ばず、寧ろ、他人を悪魔と名指す自称信心家の悪魔性にドキッとする。
この記事へのコメント
コメントしようかどうしようか悩んだのですが、プロフェッサーがショーンの画像を貼り付けてくださったことに感謝して(そこかい・笑)コメント投下。
あまり気分がよろしくないときに鑑賞したのがまずかったのか、この映画を見た後、ものすごく鬱ってしまいました(^_^;)。
最後にプロフェッサーが指摘されていたように、私もむしろ、年端も行かぬ子供を焼こうとしたり、外界からやってきたよそ者(これにはコミュニティ内からはずれた人間も含まれる)が死んでいくのを大喜びで眺めていたりする人々の狂気が恐ろしかったです。ホラー描写のそのものは、少々期待はずれの感なきにしもあらずなのですが、集団ヒステリーに陥る人間様の描写がよほどホラーであったという、奇妙な味わいのある映画でした。二度と観ようとは思いませんけど。
豆酢さんの苦手な分野と思いつつショーン豆氏に釣られて、ご来館戴けるやもと期待しておりました。^^)v
>集団ヒステリー
スプラッターも原型を留めないようにやられると、却って残酷味が薄くなるものの、人間性の残酷さは形ではないですから妙に印象的でした。
宗教や信仰家の偽善を風刺する狙いは大してないのでしょうが、嫌が上にも感じてしまいますよね。
しかし、ゲームの映画化はどうしてこうもつまらないんでしょうか!
(理由は解っていますけど、笑)