映画評「ダンボ」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1941年アメリカ映画 監督ベン・シャープスティーン
ネタバレあり

スティーヴン・スピルバーグが「1941」に本作を観て感動する軍人を登場させたように1941年に作られたディズニーの長編アニメ。以前僕が観たのは「1941」より前だったか後だったか。

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アメリカ、サーカス団の雌象ジャンボにこうのとりが赤ちゃんを授けるが、子象は耳が大きくて「みっともない」と他の雌象たちにからかわれ、ダンボと名付けられる。子を守る為に暴れた母象を隔離された挙句にピエロ役になった孤独なダンボは、ピエロたちが残した酒により酔った時に偶然飛べることに気付き、やがてサーカス団の英雄になる。

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ディズニー・アニメは最初の長編「白雪姫」から今日に至るまでセミ・ミュージカル仕立てを順守してきた側面がある一方で時代に即して変わってきた部分も少なくない。総じて悪い方向に進んでいると思っている。
 その一つが台詞。余りに台詞が多くてしばしばうんざりさせられる昨今の作品群と対照的に、本作ではこうのとりが赤ちゃんを運ぶなかなか美しい序盤を始め、象母子の愛情交換模様など台詞に頼らずに進行する箇所が多い為に理屈っぽくならない。

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ストーリーは思わず涙を催さざるを得ない人情をベースに素直に構成されているが、アルコールを無意識に含んでしまったダンボが見る幻想場面はなかなかシュールで、ちょっとしたモダン・バレエを見ているような楽しみが味わえる。この部分はお子様には些か退屈かもしれないが、40年の「ファンタジア」に通ずる大人の鑑賞に耐える立派な芸術である。

映像にざらつきはあるものの、日本映画界に初のカラー作品がお目見えする10年も前の作品としては発色も全く素晴らしい。

戦中とは言え、最後の戦争絡みの表現はさすがに苦笑ざます。

この記事へのコメント

2008年02月04日 18:51
こんばんは!記事にされていたんですね。
TBいれさせていただきます。
 初期ディズニー作品は今見ても素晴らしいものが多く、『白雪姫』『ファンタジア』『ふしぎの国のアリス』などもたまに見たくなるときがあります。映像表現の卓越性はもちろんですが、作品中に色々なメッセージが込められているので、油断できませんね。
 ところで、最近また更新サボり症候群がやってきました(汗)
のんびりやっていきますので、またよろしくおねがいいたします。
ではまた!
オカピー
2008年02月05日 17:37
用心棒さん、こんばんは!

何気なく記事にしておりました。^^
思い切り淡白さを発揮している記事でございます。

僕は割合素直に本作を観ましたが、確かにメッセージと言いますか、昨今のディズニーではまずお目にかかれない毒がありますね。
何よりこの時代の作品は芸術として純粋ですよ。

>サボり症候群
こちらはサボれない症候群です。^^;
用心棒さんはなかなか細かいですからね、僕のようなわけには行かないでしょう。Go your wayですよ。

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