映画評「七人のマッハ!!!!!!!」

☆☆(4点/10点満点中)
2004年タイ映画 監督パンナー・リットグライ
ネタバレあり

マッハ!」はタイ映画のアクションを世に知らしめたが、CGやワイヤーを使わないアクションが過大評価された感がある。僕の判断では、お話がブルース・リー時代のクンフー映画(僕は大正時代の邦画並みと称している)を思わせる古色蒼然ぶりで、素晴らしいアクションを以ってしても平均点程度がやっとという出来栄えだった。
 「マッハ」というタイトルが付いていても同作と直接の関係はないが、同作の監督プラッチャー・ピンゲーオが製作に回った作品なので関連性はある。

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将軍と呼ばれる麻薬王を逮捕したばかりの捜査官ダン・デューポンがテコンドー選手である妹ゲーサリン・エッタワッタクンの慰問先の小村に付き添っていくが、将軍の解放を願う配下の兵隊たちがこの村を制圧、村人を惨殺する様子をネット配信し政府に要求を突きつける。やがて、核弾頭ミサイルを持つ彼らに対し国の危機を感じたデューポンに鼓舞された村人たちが一致団結して反撃する。

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この辺りで本作の題名の由来が「七人の侍」にあることが判る。「七人」には全く意味がないが、強者と村人が協力するという共通点を配給会社が見出したのだろう。しかし、核弾頭を持つ卑劣な麻薬王と比べられては「七人の侍」の必死な野武士が余りにも可哀想ですな。

ストーリーは相変わらず弱く、悪党どもが麻薬王を逮捕した凄腕の捜査官が出かけた村にわざわざ目を付けるのはご都合主義が著しい。捜査官が気を失っている間に何もせずやっつけられるのを待っているように見えるのも馬鹿馬鹿しい。「海に落ちて良かった」という核弾頭の扱いも疑問で、発射前で止めないのではいかにも漫画である。

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「マッハ!」に続いてアクションには「命がけだなあ」と目を見張るものが少なくないが、問題はその扱いである。延々と続く格闘場面の各アクションが判で捺したようにノーマル・スピードとスローモーション(ハイスピード撮影)の二段構えで構成されているのには誠にがっかりで、特に素晴らしいアクションに限ってスローを使う。
 スローは強調手段であるから常時使っては強調の効果がなくなるだけでなく、迫力のなさを誤魔化したり時間稼ぎに使えるので、かくも頻繁に使う監督は才能を疑われても仕方があるまい。同じアクションをノーマルとスローで二度使うのも甚だ興覚めで、「マッハ!」のほうがきちんと作っていたような記憶がある。

最後の30分をノンストップで作った意気込みだけは買いたい。

邦題のエクスクラメーション・マーク(!)もご丁寧に七つです。

この記事へのコメント

2008年02月15日 11:30
観たばかりなのに、もう内容を忘れてしまいました。 オカピーさんの記事の写真を見るとなんだか立派な映画のように思えてきます。
オカピー
2008年02月16日 01:38
みのりさん、TB&コメント有難うございます。

あははは。
かなりいい加減な話ですしね。^^;
アクションには良いものもありますが、編集があれでは。

自前で写真(画像)を作るもなかなか大変なんです。^^

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    Excerpt: 2004年 タイ 97分 原題 Kerd ma lui(Born to Fight) 監督 パンナー・リットグライ 原案 パンナー・リットグライ 脚本 タナパット・タウィスック 撮影 スラチェート・ト.. Weblog: 楽蜻庵別館 racked: 2008-02-15 11:26