映画評「ハッスル&フロウ」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2005年アメリカ映画 監督クレイグ・ブリュワー
ネタバレあり
若手クレイグ・ブリュワーが自らの脚本を映像化した音楽風俗ドラマである。
内妻を含む女性三人のポン引きとして生計を成している黒人テレンス・ハワードが自らの生活に内心忸怩たる思いを抱いているある日、成功したラッパーが凱旋帰郷することを知り、また再会した友人アンソニー・アンダースンがゴスペルを録音する現場に立ち会って感銘し、ラッパーとして日の目を浴びることを夢見る。
車を使ったポン引き活動も内輪に収め詩の作詞に明け暮れ、アンダースンを中心とした録音チームを結成、内妻にメロディー部分の歌唱を任せるなど苦労の末にデモテープを完成させ、いよいよ故郷の英雄に手渡す日がやってくるのだが、相手が天狗になっていた為に暴力事件に発展してしまう。
結末をばらしてしまえば主人公の成功物語で、彼の成功に寄与するのが彼の説教に影響を受ける白人娼婦タリン・マニング。
彼女の文字通り体を張った活躍が涙ぐましく、特に楽器店でマイクを巡って店主に差し出されようとする時のいじらしい抵抗に見る、人間性の目覚めと機微には強く感銘させられるものがある。
彼女の人間性の目覚めは即ち主人公の目覚めである。そうして絡み合うように描き出される、主人公の底辺から這い上がろうともがく様は印象深く、演じるハワードも好調。
初めての鑑賞となるブリュワーのタッチはセミ・ドキュメンタリー風で、主人公と売春婦らの共生関係にある生活のうらぶれたムードの醸成が極めて優秀。しかし、それが全編を通して徹底できたとは言えず、特に主人公の服役中にタリンの活躍ぶりを紹介する場面の処理がスマートすぎてトーンを崩しているのは勿体ない。
作品の性格が些か違うので単純に比較はできないものの、ラッパーの成功物語としては実話ベースの「ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン」より相当上出来と言うべし。
2005年アメリカ映画 監督クレイグ・ブリュワー
ネタバレあり
若手クレイグ・ブリュワーが自らの脚本を映像化した音楽風俗ドラマである。
内妻を含む女性三人のポン引きとして生計を成している黒人テレンス・ハワードが自らの生活に内心忸怩たる思いを抱いているある日、成功したラッパーが凱旋帰郷することを知り、また再会した友人アンソニー・アンダースンがゴスペルを録音する現場に立ち会って感銘し、ラッパーとして日の目を浴びることを夢見る。
車を使ったポン引き活動も内輪に収め詩の作詞に明け暮れ、アンダースンを中心とした録音チームを結成、内妻にメロディー部分の歌唱を任せるなど苦労の末にデモテープを完成させ、いよいよ故郷の英雄に手渡す日がやってくるのだが、相手が天狗になっていた為に暴力事件に発展してしまう。
結末をばらしてしまえば主人公の成功物語で、彼の成功に寄与するのが彼の説教に影響を受ける白人娼婦タリン・マニング。
彼女の文字通り体を張った活躍が涙ぐましく、特に楽器店でマイクを巡って店主に差し出されようとする時のいじらしい抵抗に見る、人間性の目覚めと機微には強く感銘させられるものがある。
彼女の人間性の目覚めは即ち主人公の目覚めである。そうして絡み合うように描き出される、主人公の底辺から這い上がろうともがく様は印象深く、演じるハワードも好調。
初めての鑑賞となるブリュワーのタッチはセミ・ドキュメンタリー風で、主人公と売春婦らの共生関係にある生活のうらぶれたムードの醸成が極めて優秀。しかし、それが全編を通して徹底できたとは言えず、特に主人公の服役中にタリンの活躍ぶりを紹介する場面の処理がスマートすぎてトーンを崩しているのは勿体ない。
作品の性格が些か違うので単純に比較はできないものの、ラッパーの成功物語としては実話ベースの「ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン」より相当上出来と言うべし。
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