映画評「アーサーとミニモイの不思議な国」
☆☆★(5点/10点満点中)
2006年フランス映画 監督リュック・ベッソン
ネタバレあり
製作と脚本でお茶を濁すことが多くなっているリュック・ベッソンの21世紀に入って二本目の監督(兼原作・脚色)作品は子供向け冒険映画である。
アメリカはコネチカット州の田園地帯に祖母(ミア・ファロー)と住む10歳の少年アーサー(フレディ・ハイモア)は、家賃滞納の為に家を追い出されることになったので、失踪した祖父の遺した手紙を頼りに庭に埋められたルビーを探すことを決心、その晩庭に突然現れたアフリカ系の大男たちに導かれ、地下に住む身長2mmのミニモイ族の世界へと入って行く。
少年が一族の世界が見えるスコープに飛び込むや否やミニモイ族そっくりに変身し、ここから3DCGアニメ映画に早変わり。アーサーが誰も抜けない剣を抜くところなどアーサー王伝説に材を求めていることが伺える内容で、王女セレニアとその弟ベタなどと協力して、ルビーを中心に据えた悪の帝国ネクロポリスの帝王マルタザールに戦いを挑むことになる。
一行が庭のジャングルを通り抜ける一連の場面など「バグズ・ライフ」「アンツ」といったアニメ映画や「ミクロキッズ」などの実写映画を併せたような印象だが、どうも感心できない。
感心できないのは冒険場面ではなくてストーリーである。本来少年はルビーを探し庭を守る為にミニモイ族の世界に行ったはずで、現に彼も王様にそう説明をしているのに、その直後から悪漢マルタザールからミニモイ族を助けるという筋違いのお話として展開していく。悪漢を倒すことがルビーを探し当て庭を守ることに繋がるとしても、これでは物語として甚だ見通しが悪い。特に子供が観ることを前提に作るのであれば、やはり如何にルビーを探し当て手に入れるかに焦点を絞って話を構成すべきであったであろう。
尻切れとんぼ的な描写が多いのも残念で、例えばマルタザールが起こした水攻撃を止める為に一行が慌てて根城に戻り扉を閉めて・・・で終わってしまう。その後の衝撃もなければ、二次的な問題が発生するわけでもない。フランス人にはどうか解らないが、日米の観客には欲求不満がたまるに違いない。
僕が観たのは英語版だが、実年齢がアーサーと同じくらいのはずの王女をマドンナ、弟をジミー・ファロンというおよそ可愛さとは程遠い大人にアテレコさせたのは理解しがたい。その点も考慮すると、フレディ君の魅力もあって実写部分の方が遙かに楽しめた。
ベッソン先生は最後の監督作品と宣言したそうだが、話半分ならぬ話2mmに聞いておきましょう。
2006年フランス映画 監督リュック・ベッソン
ネタバレあり
製作と脚本でお茶を濁すことが多くなっているリュック・ベッソンの21世紀に入って二本目の監督(兼原作・脚色)作品は子供向け冒険映画である。
アメリカはコネチカット州の田園地帯に祖母(ミア・ファロー)と住む10歳の少年アーサー(フレディ・ハイモア)は、家賃滞納の為に家を追い出されることになったので、失踪した祖父の遺した手紙を頼りに庭に埋められたルビーを探すことを決心、その晩庭に突然現れたアフリカ系の大男たちに導かれ、地下に住む身長2mmのミニモイ族の世界へと入って行く。
少年が一族の世界が見えるスコープに飛び込むや否やミニモイ族そっくりに変身し、ここから3DCGアニメ映画に早変わり。アーサーが誰も抜けない剣を抜くところなどアーサー王伝説に材を求めていることが伺える内容で、王女セレニアとその弟ベタなどと協力して、ルビーを中心に据えた悪の帝国ネクロポリスの帝王マルタザールに戦いを挑むことになる。
一行が庭のジャングルを通り抜ける一連の場面など「バグズ・ライフ」「アンツ」といったアニメ映画や「ミクロキッズ」などの実写映画を併せたような印象だが、どうも感心できない。
感心できないのは冒険場面ではなくてストーリーである。本来少年はルビーを探し庭を守る為にミニモイ族の世界に行ったはずで、現に彼も王様にそう説明をしているのに、その直後から悪漢マルタザールからミニモイ族を助けるという筋違いのお話として展開していく。悪漢を倒すことがルビーを探し当て庭を守ることに繋がるとしても、これでは物語として甚だ見通しが悪い。特に子供が観ることを前提に作るのであれば、やはり如何にルビーを探し当て手に入れるかに焦点を絞って話を構成すべきであったであろう。
尻切れとんぼ的な描写が多いのも残念で、例えばマルタザールが起こした水攻撃を止める為に一行が慌てて根城に戻り扉を閉めて・・・で終わってしまう。その後の衝撃もなければ、二次的な問題が発生するわけでもない。フランス人にはどうか解らないが、日米の観客には欲求不満がたまるに違いない。
僕が観たのは英語版だが、実年齢がアーサーと同じくらいのはずの王女をマドンナ、弟をジミー・ファロンというおよそ可愛さとは程遠い大人にアテレコさせたのは理解しがたい。その点も考慮すると、フレディ君の魅力もあって実写部分の方が遙かに楽しめた。
ベッソン先生は最後の監督作品と宣言したそうだが、話半分ならぬ話2mmに聞いておきましょう。
この記事へのコメント
マドンナ、デヴィッド・ボウイも降りてしまったそうで。経費節減?(笑)
この1作目、アニメ部分は、絵が独特でわりと面白く見ました。
おじいちゃんを探すなら、ミニモイの国に行かないといけないんだな、とは分かりますが、戦いに巻き込まれたりして、わりと遠回りしてましたよね。
>続編
が作られましたか。で、結局監督をしている?
全くしょうがないなあ。(笑)
>アニメ部分
絵にユニークさはありましたね。
しかし、肝心のお話がまだるっこい。
子供向けはもっとストレートに行って欲しいと思いますねえ。^^