映画評「皇帝円舞曲」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1948年アメリカ映画 監督ビリー・ワイルダー
ネタバレあり

ビリー・ワイルダーはサスペンスに素晴らしい業績を残した後尊敬するエルンスト・ルビッチに倣ってシチュエーション・コメディーに転じて行ったが、これは本格転向する前の音楽コメディーである。

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恐らく20世紀初めと思われるオーストリアが舞台で、皇帝フランツ・ヨーゼフ1世主催の舞踏会にアメリカ人ビング・クロスビーが若い伯爵未亡人ジョーン・フォンテインと踊り始めるが、その奇妙な様子に貴婦人方が噂を始める。
 ここから回想になり、犬を連れて蓄音器を売りに来たクロスビーが蓄音器を売りに王宮を訪れ、テロリストと間違えられ追い出された時に、皇帝の犬との交配を希望されるジョーンの雌犬シェラザードに彼の雄犬バトンズが襲いかかったことから、人間の二人も知り合う。最初はいがみ合っていた二人と二匹も、シェラザードの神経衰弱治療に協力したことから共に宜しきムードになっていく。

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いかに音楽コメディーとは言え、のんびりしすぎている嫌いはあるが、舞踏会から回想へ入っていく形式が非常に上手い。犬のカップルが人間のカップルの気持ちを代弁するような形にしたアイデアも宜しく、この辺りの才覚はやはりワイルダーとチャールズ・ブラケットの脚本コンビならではという印象。
 細かなところでは、彼の愛犬バトンズがフォックステリアなのでビクターの商標と同じ格好させたり、オーストリアが舞台だけにフロイトの夢判断を犬に行うといった、一種のパロディーが楽しめる。

タイトルにもなっているヨハン・シュトラウス作曲の「皇帝円舞曲」やラルフ・アーウィン作曲のタンゴ「奥様お手をどうぞ」といった有名な歌曲も聞き応えあり。

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