映画評「オーシャンズ13」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2007年アメリカ映画 監督スティーヴン・ソダーバーグ
ネタバレあり
第一作が「オーシャンと11人の仲間」のリメイクだったことなどもはや誰も頓着しないが、第一作公開当時はオリジナルのメンバーと比べて大分貧弱だったリメイク・メンバーの中にマット・デイモン、ドン・チードルなどこの間に知名度をぐっと上げた人がいて相対的に話題性を上げている。「荒野の七人」みたいなものですな。お話は、第二作が仲間内のどんちゃん騒ぎに堕して評判が悪かったので、言わば原点回帰した模様。
仲間のベテラン、エリオット・グールドがカジノ付きの新ホテル建設に関してホテル王アル・パチーノに騙されて財産も名誉も奪われたショックで心臓麻痺を起こし重態に陥る。
ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、デイモンら仲間は復讐を誓う。まず偽のホテル調査員として年長カール・ライナーがホテルに入り、グループを挙げて本物の調査員をこっぴどい目に遭わせる。これが作戦の第一である。
続いて、ダイス、カード、スロットマシーン、ルーレットにも細工を施す。生産の時点まで厳しく管理されるダイスに至ってはメキシコの工場にまで仲間を送る。これが作戦の第二。
逃げられなくては元も子もないので、巨大なドリルを使って地震を偽装しその騒ぎの間隙をついて逃げるのが作戦の第三だが、着想的にこれが馬鹿馬鹿しくて一番面白い。
彼らはこれで十分だったのに、壊れたドリルの代品を買う資金が足りずに仇敵アンディ・ガルシアの資力に頼らざるを得なくなり、代償としてホテル王が五つ星を受賞する度に作る特注ダイヤ・ネックレスを奪えと要求されてしまう。これが一番難しいのだから皮肉な話でござる。
作品の狙いは一種の頭脳合戦だが、相手のパチーノが陣営の防衛力を信用する余り隙だらけなのでとんとん拍子に行き過ぎ、サスペンスとしては物足りない。しかるに、一種の冒険映画として見るとなかなか見応えのある出来栄えで、並行展開のように見えても目的は一つだから直線的展開と言って良く、評判の良い第一作よりも気に入ったくらい。
劇中何度かフランク・シナトラの名前が出てくるが、言うまでもなくオリジナル作品でオーシャンを演じた彼への敬意を込めた楽屋落ちである。ITのライバル関係として出てくるグレコとローマンという名前もふざけている。レスリングじゃあるまいし。
昨日の敵は今日の友もどき。
2007年アメリカ映画 監督スティーヴン・ソダーバーグ
ネタバレあり
第一作が「オーシャンと11人の仲間」のリメイクだったことなどもはや誰も頓着しないが、第一作公開当時はオリジナルのメンバーと比べて大分貧弱だったリメイク・メンバーの中にマット・デイモン、ドン・チードルなどこの間に知名度をぐっと上げた人がいて相対的に話題性を上げている。「荒野の七人」みたいなものですな。お話は、第二作が仲間内のどんちゃん騒ぎに堕して評判が悪かったので、言わば原点回帰した模様。
仲間のベテラン、エリオット・グールドがカジノ付きの新ホテル建設に関してホテル王アル・パチーノに騙されて財産も名誉も奪われたショックで心臓麻痺を起こし重態に陥る。
ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、デイモンら仲間は復讐を誓う。まず偽のホテル調査員として年長カール・ライナーがホテルに入り、グループを挙げて本物の調査員をこっぴどい目に遭わせる。これが作戦の第一である。
続いて、ダイス、カード、スロットマシーン、ルーレットにも細工を施す。生産の時点まで厳しく管理されるダイスに至ってはメキシコの工場にまで仲間を送る。これが作戦の第二。
逃げられなくては元も子もないので、巨大なドリルを使って地震を偽装しその騒ぎの間隙をついて逃げるのが作戦の第三だが、着想的にこれが馬鹿馬鹿しくて一番面白い。
彼らはこれで十分だったのに、壊れたドリルの代品を買う資金が足りずに仇敵アンディ・ガルシアの資力に頼らざるを得なくなり、代償としてホテル王が五つ星を受賞する度に作る特注ダイヤ・ネックレスを奪えと要求されてしまう。これが一番難しいのだから皮肉な話でござる。
作品の狙いは一種の頭脳合戦だが、相手のパチーノが陣営の防衛力を信用する余り隙だらけなのでとんとん拍子に行き過ぎ、サスペンスとしては物足りない。しかるに、一種の冒険映画として見るとなかなか見応えのある出来栄えで、並行展開のように見えても目的は一つだから直線的展開と言って良く、評判の良い第一作よりも気に入ったくらい。
劇中何度かフランク・シナトラの名前が出てくるが、言うまでもなくオリジナル作品でオーシャンを演じた彼への敬意を込めた楽屋落ちである。ITのライバル関係として出てくるグレコとローマンという名前もふざけている。レスリングじゃあるまいし。
昨日の敵は今日の友もどき。
この記事へのコメント