映画評「デス・プルーフ in グラインドハウス」
☆☆★(5点/10点満点中)
2007年アメリカ映画 監督クェンティン・タランティーノ
ネタバレあり
ロバート・ロドリゲスと共同で発表した「グラインドハウス」二部作のクェンティン・タランティーノ版。「デス・プルーフ」というのは【死神も近寄れない仕組み】といった意味である。
バーで話しに花を咲かせていた女友達4人組が不気味な自称スタントマン、カート・ラッセルと知り合う。別の女性ローズ・マッゴーワンを<デス・プルーフ仕様>改造車に乗せた男は乱暴な運転で殺害、その足で女性4人組の乗る車を待ち伏せし正面衝突して女性たちを殺す。
というのが二段構えの前段なのだが、とにかく女性たちの駄弁が延々と続くのでうんざり。終盤のアクション、バイオレンスに対する緩急を狙った構成であることは解るが、余りに長すぎて逆効果。あの3分の1でも十分以上である。
この前段ではロドリゲスの「プラネット・テラー」同様にフィルムに雨を降らす加工しているが、ロドリゲス版程は手が込んでいない。
14ヶ月後、ラッセルはやはり女性ばかりの4人組の乗る自動車に目を付ける。暫くは前半同様女性たちの駄弁が続いてがっかりさせられるが、彼女たちが車マニアのスタントウーマンと判明してから俄然面白くなる。
彼女らが近くに売りに出ているダッジに試乗しボンネットの上に立つ「シップ・マスト」をやり出すのを観たラッセルが追跡開始、追突を繰り返して彼女らを怖がらせるのだが、この終盤ではだらだら喋りをする女性4人組という前半との相似を上手く利用して鑑賞者の予想を裏切っていくのである。
タランティーノは映画の中で「今のカー・アクションはCGばかりで、スタントマンは上がったり」という台詞をラッセルに吐かせているが、この後段ではスタントマン大活躍のアクションがたっぷりと拝め、「これが本物のカー・アクションだわい」とご機嫌にしてくれる。有言実行といったところである。
が、映画は全体で評価するものだからそこだけ良くてもダメなわけで、そんなに多く星を進呈して駄弁ティーノ、もとい、タランティーノ坊やを甘やかす必要はない。
「バニシング・ポイント」「ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー」「爆走トラック'76」といった70年代のカー・アクション映画の名前が出てきたり、映画のポスターがちらほら見えたり、タランティーノの映画マニアぶりが伺えるのがオールド・ファンには嬉しい。
前半は、衝撃を大きくしようと伸ばし過ぎて切れてしまったゴムぱっちんのゴムの如し。
2007年アメリカ映画 監督クェンティン・タランティーノ
ネタバレあり
ロバート・ロドリゲスと共同で発表した「グラインドハウス」二部作のクェンティン・タランティーノ版。「デス・プルーフ」というのは【死神も近寄れない仕組み】といった意味である。
バーで話しに花を咲かせていた女友達4人組が不気味な自称スタントマン、カート・ラッセルと知り合う。別の女性ローズ・マッゴーワンを<デス・プルーフ仕様>改造車に乗せた男は乱暴な運転で殺害、その足で女性4人組の乗る車を待ち伏せし正面衝突して女性たちを殺す。
というのが二段構えの前段なのだが、とにかく女性たちの駄弁が延々と続くのでうんざり。終盤のアクション、バイオレンスに対する緩急を狙った構成であることは解るが、余りに長すぎて逆効果。あの3分の1でも十分以上である。
この前段ではロドリゲスの「プラネット・テラー」同様にフィルムに雨を降らす加工しているが、ロドリゲス版程は手が込んでいない。
14ヶ月後、ラッセルはやはり女性ばかりの4人組の乗る自動車に目を付ける。暫くは前半同様女性たちの駄弁が続いてがっかりさせられるが、彼女たちが車マニアのスタントウーマンと判明してから俄然面白くなる。
彼女らが近くに売りに出ているダッジに試乗しボンネットの上に立つ「シップ・マスト」をやり出すのを観たラッセルが追跡開始、追突を繰り返して彼女らを怖がらせるのだが、この終盤ではだらだら喋りをする女性4人組という前半との相似を上手く利用して鑑賞者の予想を裏切っていくのである。
タランティーノは映画の中で「今のカー・アクションはCGばかりで、スタントマンは上がったり」という台詞をラッセルに吐かせているが、この後段ではスタントマン大活躍のアクションがたっぷりと拝め、「これが本物のカー・アクションだわい」とご機嫌にしてくれる。有言実行といったところである。
が、映画は全体で評価するものだからそこだけ良くてもダメなわけで、そんなに多く星を進呈して駄弁ティーノ、もとい、タランティーノ坊やを甘やかす必要はない。
「バニシング・ポイント」「ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー」「爆走トラック'76」といった70年代のカー・アクション映画の名前が出てきたり、映画のポスターがちらほら見えたり、タランティーノの映画マニアぶりが伺えるのがオールド・ファンには嬉しい。
前半は、衝撃を大きくしようと伸ばし過ぎて切れてしまったゴムぱっちんのゴムの如し。
この記事へのコメント
正に駄弁ティーノ映画でした。
各90分2本立てが本来の姿ですから、カットされた部分を付け足して1本の映画として見せられても困ってしまいますね。
>駄弁ティーノ
自分でも気に入ってしまいました。
機会があったらまた使おうっと(笑)。
前半・後半共に55分くらいでしたが、前半は45分くらいありそうな駄弁を3分の1くらいにして15分、残り10分で計25分、後半はとりあえずそのままにして55分、エンディング・タイトルの5分で〆て85分くらいだったら相当面白かったでしょう。
前半は余りにだらけていたので、ダラケンティーノとも言いたくなりましたでずよ、全く。
あっ、そうそう、折角ですから、二本ともTBくださいな。こちらからはできないものですから。
2本ともコメント時に送っていたのですが、タイミングの問題なのか、時折できないことがあるようです。
>タイミングの問題
TBはなかなか難しいですね。
まともな記事でも時々はじかれることがあるので、念の為にスパム記事保管場所も観てきましたが、そこにもありませんでした。
とにかく、今回は無事入りました。^^)v
まず GOOD JOBと 褒めたいです
たしかに女性たちのグダグダトークはうんざりしますね。むろん それこそがタランティーノの狙いでしょうが・・もう少し おしゃべりは少なくして カーアクション場面を起こしてくれたらね~
>前半は、衝撃を大きくしようと伸ばし過ぎて切れてしまったゴムぱっちんのゴムの如し。 オカピーさんの解釈 なかなか ピッタシですね。
後半もグダグダトークで ボクもウンザリ気味になりましたね。”トークはもういいから はよ アクションを(行動)起こせや”って
オカピーさんは見たのでわかると思いますがラストは・・・でした。(ん?)
ボクの解釈は
”二匹目のドジョウは通用せず”です。これは 「デスプルーフ」について感想を書いた他のブログでにもコメント転記しました。本音でしたから
タランティーノの駄弁を結構評価する人が多いですが、彼の映画は本来アレンのようなセリフ劇ではなく、ジャンル映画でしょうから、僕には半ば無駄に思えます。
>ラスト
6年前ですから忘れてしまいましたよ^^;
>映画のコンセプト
もともと深いものや鋭いものを目指していないので、痛くも痒くもない批判ですが、一応言っておきます。
映画評という概念を理解していない浅い批判!
ひまですな。