映画評「クローズZERO」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2007年日本映画 監督・三池崇史
ネタバレあり
僕が観た三池崇史作品は子供向け、一般ファン向けの作品が多いが、高橋ヒロシのコミックをベースにした本作のようなバイオレンスものが本来の彼の路線なのであろう。
不良学生の巣窟たる鈴蘭高校は昔から群雄割拠し、誰も統一を成し得たものはいない。それを成そうと他の学校から転校してきたヤクザの息子・小栗旬と、向かうところ敵なしの山田孝之が互いに派閥をまとめて勢力を拡大し、やがて決戦の火ぶたが切って落とされる。
というお話で、日本映画に何故か伝統的に多い暴力学園ものの中でも戦前を舞台にした鈴木清順の「けんかえれじい」に感覚的に一番近いような気がする。
暴力には余り感心しない僕だが、お色気作戦を筆頭に懐柔策・強硬策取り混ぜて派閥をまとめていく様は大げさに言えば戦国時代絵巻のような面白味があるし、暴力描写に手抜きがなく、全体的に陽性なのが良い。
具体的には、決戦、手術、ヤクザの粛清といった四つの場面がクロスカッティングで進行する終幕場面もすこぶる映画的で大いに盛り上がる。色添え黒木メイサの歌唱場面だけは何の効果もないので「なくもがな」だが、あるいは、「パッチギ!」に対する意識があったか。
反面気に入らないのが格闘場面のいじり過ぎた映像処理である。ハイスピード撮影(スロー)はともかく、編集時に行っているはずのスピードの切り替えは誤魔化しのように思われる。本作に限らず、最近のアクションでは常套手段と化しているが、リアルスピードでの実写の凄みを映画作家が信じないで、どうして若いファンが信じよう。
若い少年諸君は、実際にあんな大騒ぎができると信じてはいけないですぞ。
2007年日本映画 監督・三池崇史
ネタバレあり
僕が観た三池崇史作品は子供向け、一般ファン向けの作品が多いが、高橋ヒロシのコミックをベースにした本作のようなバイオレンスものが本来の彼の路線なのであろう。
不良学生の巣窟たる鈴蘭高校は昔から群雄割拠し、誰も統一を成し得たものはいない。それを成そうと他の学校から転校してきたヤクザの息子・小栗旬と、向かうところ敵なしの山田孝之が互いに派閥をまとめて勢力を拡大し、やがて決戦の火ぶたが切って落とされる。
というお話で、日本映画に何故か伝統的に多い暴力学園ものの中でも戦前を舞台にした鈴木清順の「けんかえれじい」に感覚的に一番近いような気がする。
暴力には余り感心しない僕だが、お色気作戦を筆頭に懐柔策・強硬策取り混ぜて派閥をまとめていく様は大げさに言えば戦国時代絵巻のような面白味があるし、暴力描写に手抜きがなく、全体的に陽性なのが良い。
具体的には、決戦、手術、ヤクザの粛清といった四つの場面がクロスカッティングで進行する終幕場面もすこぶる映画的で大いに盛り上がる。色添え黒木メイサの歌唱場面だけは何の効果もないので「なくもがな」だが、あるいは、「パッチギ!」に対する意識があったか。
反面気に入らないのが格闘場面のいじり過ぎた映像処理である。ハイスピード撮影(スロー)はともかく、編集時に行っているはずのスピードの切り替えは誤魔化しのように思われる。本作に限らず、最近のアクションでは常套手段と化しているが、リアルスピードでの実写の凄みを映画作家が信じないで、どうして若いファンが信じよう。
若い少年諸君は、実際にあんな大騒ぎができると信じてはいけないですぞ。
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